本研究の目的は、病院での栄養サポートチーム(nutrition support team, NST)介入による入院患者の栄養状態の改善効果と、地域連携をめざした栄養情報提供書の意義について検討することである。茨城県立中央病院入院患者347 名を対象に、NST 介入前後の栄養状態の変化と、在院日数にもたらす効果および市販栄養補助食品や一般食品を患者食に付加した場合のエネルギー充足率について検討した。また、地域連携をめざした栄養情報提供書の実態を調査し、NST 活動にかかわる業務時間調査を実施した。 その結果、NST 介入を早期に行うことの重要性が考えられた。患者食に栄養補助食品、一般食品を付加することは、エネルギー充足率を高めるのに有効であった。転院先への栄養情報提供書は、患者への素早い誤嚥対応や継続した栄養サポートなどにつながった。 NST が地域の医療機関や福祉施設と連携を強めることで、今後在宅栄養サポートの実施や管理栄養士の資質の向上などが期待できると推察された。NST 活動の試みで今後の管理栄養士の病院内における活動の拡大の可能性が考えられた。
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