日本栄養士会雑誌
Online ISSN : 2185-6877
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60 巻, 11 号
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  • 都築 毅
    2017 年 60 巻 11 号 p. 625-632
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/27
    ジャーナル フリー

    日本人が健康長寿である理由は、欧米人と異なる特徴的な食生活に起因すると考えられている。日本食の特徴的な食品に含まれる個々の成分が生体に与える影響を検討した試験は、これまでにも数多く有ったが、食事のメニューまるごとを総合して検討した研究は無かった。そこで、現在の日本食と米国食を再現し、ラットに一定期間これらの食事を与えた後、食事内容の違いによる生体への影響の差異を調べ、日本食はストレス性が低く、エネルギー消費を促進し、健康維持に有益であることを示した。また、現在の日本食は欧米の影響を受け 「食の欧米化」 が進行し、生活習慣病の罹患率が増加している。よって、どの時代の日本食が健康維持に有益かを詳細に検討した。さまざまな年代の食事献立を作成し、それらを試験飼料としマウスに摂食させたところ、1975年の日本食摂取により、内臓脂肪が減少し、エネルギー消費が亢進することが認められ、さらに、老化による脂質・糖質代謝調節機能の低下を防いで脂肪肝や糖尿病の発症リスクを低減し、認知症の発症リスクも低減し、寿命も延伸することが示され、1975年の日本食は、高い健康有益性を持つことが明らかとなった。また、この1975年日本食の効果はヒト介入試験においても、その有効性が一部確認できた。

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