日本栄養士会雑誌
Online ISSN : 2185-6877
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63 巻, 8 号
女子長距離選手における6カ月間のn-3系脂肪酸含有食品の摂取が血中脂質の変化に及ぼす影響
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  • 河村 亜希, 杉田 正明, 西澤 美春, 佐藤 洋平, 小林 史明
    2020 年 63 巻 8 号 p. 439-446
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル フリー
    運動の現場におけるn-3系脂肪酸の摂取が注目されているが、スポーツ選手を対象とした先行報告は少ない。本研究は、n-3系脂肪酸含有食品であるえごま油の6カ月間の摂取が、女子長距離選手の血中脂質の変化に及ぼす影響を検討することを目的とした。18名の選手を、非摂取群、えごま油9gおよび18g摂取群の3群に分け、体重測定、血液検査、食事調査を実施した。摂取群においては、9gまたは18gのえごま油を毎日摂取させた。その結果、18g摂取群におけるEPAは介入前と比較し、介入2カ月後に31.1%、6カ月後に33.8%増加し(p <0.05)、EPA/AA比は、4カ月後に44.4%増加した(p <0.05)。また、9g摂取群においても、EPAは介入前と比較し、介入4カ月後に45.8%増加した(p <0.05)。一方、体重、中性脂肪、LDLコレステロール値に変化は見られなかった。したがって、9g以上のえごま油の摂取は、EPAの摂取手段として有用であり、高用量の摂取はEPA/AA比をより高める可能性が示唆された。
  • 西村 一弘
    2020 年 63 巻 8 号 p. 447-453
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル フリー
    WHO(世界保健機関)は、糖類(フリーシュガー)摂取の増加が世界各国の人々の健康に及ぼす影響(非感染性疾患の増加)を懸念し、「糖類摂取ガイドライン」を2015年に公表した。本ガイドラインは、糖類の具体的な推奨摂取量を示しており、肥満とう蝕を対象に行ったシステマティックレビュー(SR)がその科学的根拠となっている。 著者はSRの詳細を原著論文で確認し、次の点を見出した。(1)メタ解析の結果、糖類摂取を増やすことでエネルギー摂取が増える場合に肥満が起きたが、糖類を他の炭水化物に置き換えた(エネルギー摂取が増加しない)場合には体重は変化しなかった。(2)本ガイドラインの摂取推奨量は、糖類とう蝕に関するSRから導き出されたものであり、そのエビデンスの一部には信頼性の乏しいものも含まれていた。 本ガイドラインはわが国の栄養政策においても参考とされるものであり、本稿ではわれわれ栄養士が本ガイドラインをどのように捉えるべきかを日本人の健康状況と併せて考察する。
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