日本通信教育学会 研究論集
Online ISSN : 2760-7518
Print ISSN : 2187-1434
2021 巻
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  • 〈顔〉の意味
    古壕 典洋
    2021 年2021 巻 p. 11-29
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/04/05
    ジャーナル フリー
    学習メディアは他者とのかかわりをその存立条件とする。それでは「独りで学ぶ」はずの講義録が、なぜ学習メディアとして存在しているのか。それは講義録に、従来の教育学的な思考様式では捉えることのできない講義録固有の他者とのかかわり=〈顔〉が内在しているからではないのか。〈顔〉は、学習メディアとしての講義録の在りよう を基礎づけているのではないか。 本稿はこうした仮定のもとで講義録の〈顔〉に注目し、〈テクスト-存在論〉の分析枠組みを用いて講義録の記述を追跡しながら、戦前の講義録の教育学的意義を考察する。 当初明確な形式を有しなかった講義録の言説は、明治30年代後半になると〈楽学/苦学〉の区分によって、大正期に入ると〈通学/通信〉の区分によって構成された。言説の内容に注目すれば、講義録は肯定・否定・正当化の3つの言説に類型化でき、そこに「書物」と「自分」という2つの〈顔〉を見出すことができる。 〈顔〉は、講義録の学びが学習者の意志を源にするがゆえの、自己責任の論理という講義録の難点と、学びの時間性という講義録の固有性を同時に示している。 以上の議論を踏まえると、戦前の講義録の教育学的意義は、教育の 自明性の相対化と教育の別のあり方を示唆したところにある。
  • 高校新卒者に焦点を当てて
    石原 朗子
    2021 年2021 巻 p. 31-50
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/04/05
    ジャーナル フリー
     通信制大学・短大は多様な層を受け入れてきたが、高校新卒者はその中心ではなかった。しかし、若者支援の点から進路選択肢としての通信制大学・短大は重要になってきている。そこで、本研究では高校新卒で通信制に進学する者に着目し、進学動向と変化の要因を検討する。研究方法は学校基本調査の高校卒業者進路の経年分析による。 分析の結果、以下が明らかになった。 1)通信制大学・短大への入学者は全日制・通信制高校出身者が中心。 2)35年間の推移では、高校の全課程、特に通信制で1990年頃に通信制大学・短大への進学割合が最も高い。各課程ともその後、通信制への進学者は減少したか、直近5年間は増加傾向にある。 時期毎に検討すると、1990年代前半までは第二次ベビーブームや経済の停滞等が、2010年代前半までは大学設置基準の大綱化や通信制高校生の進学志向等が、それ以降では通信制高校の規模拡大、通信制での学習方略への期待が、進学動向の変化に影響する要因として考えられた。 今後、通信制大学・短大にとって高校新卒者の受け入れは学生獲得の点で重要であり、学びのユニバーサルデザインの発想、サポート体制の充実、真に学ぶ力をつけた学生の輩出が期待されるだろう。コロナ禍で遠隔教育への期待が高まる中、通信制大学・短大は試される時期に来ているのである。
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