日本災害医学会雑誌
Online ISSN : 2434-4214
Print ISSN : 2189-4035
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調査報告
  • 斉藤 久子, 中久木 康一, 牛渡 一帆, 永澤 明佳, 槇野 陽介, 山本 伊佐夫, 中川 貴美子, 長谷川 巖, 櫻田 宏一, 秋冨 慎 ...
    2025 年 30 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2025/01/25
    公開日: 2025/01/25
    ジャーナル フリー

    【目的】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)遺体においてエンバーミング(遺体衛生保全処置:EM)を実施し、その効果を検討した。【方法】EMを受けたCOVID-19遺体のご遺族14世帯に対し、EM及び医学研究者の関わりにおけるアンケートを行った。【結果】回収率は71%であり、「EM後における対面での葬儀の実施」では全世帯で高い評価を得ていた。「今後、同様の感染症にて近親者が亡くなった場合のEMの検討」では9割の世帯が検討する考えであり、「医学研究者による説明や研究への提案などの対応」では8割の世帯が肯定的であった。【結論】ご遺体へのEMにより実施可能となった対面での葬儀はご遺族にグリーフケア効果をもたらすこと、専門家による説明はCOVID-19に対する不安を軽減させられることが明らかとなり、これらは新興感染症に対して必要なグリーフケアサポート体制の1つである可能性を示した。

事例報告
  • 小野寺 克洋, 忠地 一輝, 小野瀬 剛生, 渋谷 俊介, 小坂 淳生, 小野寺 真知子
    2025 年 30 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2025/01/25
    公開日: 2025/01/25
    ジャーナル フリー

    これまで本邦では病院火災による避難に対してDMATが関わった報告はない。今回、病院火災により入院患者、職員を含む約260名の院外避難を要した局地災害事例を経験した。当院と同一医療圏内のA病院手術室で火災が発生し、当院へDMAT派遣が要請された。DMAT隊がA病院到着時には入院患者は病院近くの公共施設に避難が完了しており、DMAT隊は施設内で入院患者の搬送調整を行った。消防の現場指揮本部とは接触できず被災状況が不明であった。火災、避難による受傷者はなかった。火災はぼやで済み病院被災状況が想定よりも大きくなく、病院運営の負担軽減、酸素残量の観点から赤患者9名を市内病院へ搬送とした。他患者は帰院とし活動を終了した。本事例では覚知から約1時間で入院患者の避難が完了し、約2時間で患者搬送が開始された。発災から避難までの時間的猶予が少なく、消防との連携、全体像の状況把握、情報共有が課題であった。

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