日本災害医学会雑誌
Online ISSN : 2434-4214
Print ISSN : 2189-4035
最新号
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原著論文
  • 越智 元郎, 長谷川 有史, 廣橋 伸之, 山本 尚幸, 馬越 健介, 佐藤 格夫, 田中 景子
    2024 年 29 巻 3 号 p. 191-198
    発行日: 2024/09/06
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー

    【目的】原子力災害医療派遣チームの現状を分析すること。【方法】1)原子力災害拠点病院等の担当事務職から電話等で、チーム保有の有無、立地道府県との協定の有無等について質問した。2)チーム構成員を対象に、活動可能な累積被ばく線量について、郵送によるアンケート調査を実施した。【結果】1) 55施設中50施設が回答。44施設が派遣チームを保有、ユニフォーム保有が20.5%、協定締結は4.5%であった。2)回答した派遣チーム隊員の25.3%が1 mSv以下の累積被ばく線量を容認しなかった。1 mSv以下またはこれを超える累積被ばく線量を許容する派遣チーム隊員は74.7%および53.7%であった。隊員の被ばく許容に独立して影響する項目は年齢50歳台(オッズ比、以下OR 3.2)およびDMAT併任(OR 1.7)であった。【結論】派遣チーム未確保の原子力災害拠点病院が依然存在する。派遣チームを持つ施設においても、食料・水の準備、初動チーム決定、院内規定作成、行政との協定等の準備を図る必要がある。

  • 布施 明, 大西 光雄, 宮内 雅人, 落合 秀信, 布施 理美, 小山 博史
    2024 年 29 巻 3 号 p. 213-219
    発行日: 2024/10/25
    公開日: 2024/10/25
    ジャーナル フリー

    【目的】南海トラフ地震に着目し、シミュレーションで未治療死数を改善する施策を検討すること。【方法】地震発災後の重症傷病者数を対象とし、その転帰を現状と防災・減災対策施行前後で試算した。【結果・考察】8府県における未治療死率(未治療死数/発生重症者数)(%)は、高知県(85.0%)、三重県(81.5%)、和歌山県(79.5%)、静岡県(78.7%)、徳島県(75.4%)、愛媛県(66.7%)、愛知県(64.1%)、大阪府(0.8%)であった。重症者ベッド占有率(重症者数/病床数)が0.5を超える地域では未治療死率が増加していた。防災・減災対策後、未治療死が対策前と比較して3割以下に減少した。【結語】未治療死率が5%を超えないためには二次医療圏での「重症者ベッド占有率<0.5」が重要である。防災・減災対策が施された場合には未治療死率が3割以下に減少すると試算され、対策の確実な実施が肝要である。

調査報告
体験レポート
  • 熊谷 章子, 眞瀬 智彦, 中久木 康一, 菊月 圭吾, 岸 光男, 三浦 廣行
    2024 年 29 巻 3 号 p. 199-203
    発行日: 2024/09/06
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー

    災害が発生するたび、歯科医師はその責務と認識を改めてきた。2011年の東日本大震災をきっかけに災害医学・法歯学への関心はさらに高まり、大規模災害発生時に他職種と連携して歯科医師が様々な活動に従事できるように、全国各地で研修や訓練が盛んに行われるようになった。歯学生たちにも早期から有事の際に歯科医師として活動する意識を持たせ、その立場と責務について適切に正しく教育する必要があるが、災害歯科医学は一般的な臨床歯科医学とは異なり、実際に経験させて学ばせることが困難な領域といえる。そこで本学では実動で得られる学びができるよう取り組んでいる。特に第4学年では3日間の集中コースが組まれており、座学のほかに被災地での歯科保健医療活動、犠牲者身元調査活動などの机上での訓練を盛り込んでいる。本稿では、本学で取り組んでいる歯学生への災害医学に関する教育について紹介する。

研究速報
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