金を10wt%含み, パラジウムを4.5wt%おきに22.5〜36.0wt%に, 銅を4.5wt%おきに13.5〜22.5wt%に変え残量を銀とする12種の10%Au-Ag-Pd-Cu合金を溶製し, 歯科精密鋳造法に準じて鋳造した.800℃から水中急冷軟化熱処理し, さらに450℃→250℃/30minの炉冷法によって硬化熱処理したときの機械的性質と耐変色性を調べた.軟化熱処理したときの実験合金の引張強さ, 伸び, ビッカース硬さは, それぞれ45〜57kgf/mm
2, 11〜22%, 143〜202の範囲にあったが, 硬化熱処理を加えると, 引張り強さは, 80〜99kgf/mm
2に, ビッカース硬さは223〜405に増加し, 伸びは1〜15%に低下した.硬化熱処理後最も引張強さの大きい合金の推定組成は, 10Au-44Ag-27Pd-19Cuで推定100kgf/mm
2の引張強さを持つが, 伸びは1%以下, 変色試験後のL
*は62であった.硬化熱処理後のL
*が69以上で, 強度の大きい合金の組成は, 10Au-36Ag-36Pd-18Cuで, 硬化熱処理後の引張強さは80kgf/mm
2, 伸びは4%で, ANSI/ADA Spec.No.5 Type IV鋳造用金合金に匹敵する機械的性質を持つ.変色試験後の明度L
*は, 軟化熱処理試料で62〜67, 硬化熱処理試料で65〜69の範囲内に分布した.
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