歯科材料・器械
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17 巻, 5 号
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原著
  • 加我 正行, 野田 守, 中村 渉, 菊入 崇, 橋本 正則, 小口 春久, 荒木 吉馬
    1998 年17 巻5 号 p. 271-278
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    象牙質接着性レジンシステムから溶出するモノマーと細胞毒性の関係を調べた.L株細胞が培養皿底面にコンフルエントになるようEagleのMEM(10%FCS)を3ml加えて培養した.プライマーとボンディング材とコンポジットレジンをガラス管中に充〓し, 培養液中央に浸漬し, 24時間後に細胞毒性を調べ, 培養液中に溶出するモノマーを高速液体クロマトグラフィーで測定した.その結果, プライマーと未重合のボンディング材ならびにコンポジットレジンは著しい細胞毒性を示した.しかし, ボンディング材ならびにコンポジットレジンは光照射後は細胞毒性が減少した.十分に硬化したレジンは細胞毒性が極めて小さくなるか, 消失した.しかし, 微量のモノマーが検出された.L株細胞はレジンから溶出するHEMAとTEGDMAに刺激された.
  • 川口 稔, 福島 忠男, 宮崎 光治, 井上 勇介
    1998 年17 巻5 号 p. 279-283
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    Bis-GMA系光重合型コンポジットレジン硬化物中の任意の深さにおける溶出可能な残留モノマー量を検討するために, アセトンで抽出した未反応モノマーを高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した.試験体は任意の深さ(0, 1, 2, 3mm)で硬化した状態をシミュレートできるように調製した.溶出モノマー量は表層からの深さが増加するとともに増大した.また, 照射時間の延長(80秒照射)は溶出モノマー量を減少させた.深部でのモノマーの溶出は, TEGDMAがBis-GMAを上回る溶出量を示した.本研究の結果から硬化したコンポジットレジン内部にはかなりの量の未反応モノマーが残留しており, これが口腔内へ溶出してくる可能性を有していることが示唆された.
  • 土生 博義, 内田 博文
    1998 年17 巻5 号 p. 284-293
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    石こうの硬化遅延作用を有する添加物質が石こうとハイドロコロイド印象との適合性に及ぼす影響を知るため, 0.03%クエン酸ナトウム, 0.3%ホウ砂および0.5%リン酸ナトリウムの各溶液で硬質石こうを練和し, 寒天印象, 寒天・アルジネート連合印象およびアルジネート印象に注入した.得られた模型の表面粗さRaを測定し, 模型表面をSEM観察した.その結果, クエン酸ナトリウムは, 寒天印象模型の表面粗さを大きく増加したが, 連合印象模型とアルジネート印象模型への影響はわずかであった.ホウ砂は, 寒天ゲルとの相乗作用により, 寒天印象模型と連合印象模型の表面粗さを増加し, 石こうと連合印象との不適合の主因と判断された.リン酸ナトリウムは, アルジネート印象模型の粗さを増加し, 石こうとアルジネート印象との不適合の要因の一つと考えられた.
  • 高橋 志郎, 新家 光雄, 福井 壽男, 福永 啓一, 筒井 隆, 長谷川 二郎, 成田 潔治
    1998 年17 巻5 号 p. 294-303
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    市販の歯科用銀パラジウム銅金合金に対し, 銅の含有量を増加させた合金およびさらに亜鉛を添加しない合金を試作し, これらの合金について種々の熱処理を施し, 引張試験および静的3点曲げ破壊靱性試験を行い, その破壊特性に及ぼすCuおよびZnの影響について検討した.Cuの含有量を増加させることで合金中のα_1相の体積率が増加することから0.2%耐力は減少するが, 加工硬化量が増加するため, 引張強さは増加する.Znを添加した合金は, Znを含まない合金に比べて, より大きな強度特性値およびより小さな延性値を示す.Cuの含有量を増加させると, より高温の溶体化処理温度を適用することにより, より大きな静的破壊靱性値が得られる.Znを含まない合金の静的破壊靱性値は, Znを含む合金に比べて小さくなる.2種類の試作合金の強度および静的破壊靱性値は, 概して溶体化温度および時効温度が高いほど増加し, 逆に伸びは溶体化温度が高いほど減少する傾向を示し, いずれも市販の合金と同等あるいはそれを上回る力学的特性を示す.Znを含みCuの含有量を増加した合金は, 最大の引張強さおよび静的破壊靱性値を示す.また, Znを含まない合金では, 延性が大きく, したがって加工性がより良好になる.
  • 川口 稔, 高橋 裕, 宮崎 光治, 羽生 哲也
    1998 年17 巻5 号 p. 304-308
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    4種の化学重合型直接リライニング材からの溶出モノマーを高速液体クロマトグラフィーを用いて分析を行った.各リライニング材のディスク状試験体を蒸留水中に浸漬し, 1日後, 1週間後, 2週間後, 3週間後, 1ヵ月後および2ヵ月後にモノマーの定量を行った.リライニング材からのモノマーの溶出は浸漬1週間後で急速に進行したが, それ以降は溶出量は低下した.また蒸留水中に2ヵ月間浸漬した後も少量ながらモノマーの溶出が認められた.本研究の結果から, 口腔内環境下でのリライニング材からのモノマーの溶出は, 材料のモノマー組成に影響を受けることが示唆された.
  • 岡本 佳三, 江田 和夫, 宮崎 光治, 成瀬 重靖
    1998 年17 巻5 号 p. 309-314
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    鋳造可能な貴金属系磁性合金を開発するために, 二元系状態図から72wt%Au-Co, 75wt%Au-Fe, 40wt%Pd-Coの貴金属系組成からなる合金を作製した.作製された合金は3種類共ガス-酸素炎で溶解可能な合金であったが, 特にPd-Co系合金は鋳造組織が均一固溶状態を示し, 吸引力も182.5gfを示しどの系よりも良好であった.また本系のCoの溶出量は12.7μg/cm^2で, Au-CoおよびAu-Fe合金と比較して最も少なく, 鋳造可能な磁性合金として有望と思われた.
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