歯科材料・器械
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21 巻, 5 号
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原著
  • 豊泉 裕, 亘理 文夫, 今井 徹, 小林 雅博, 山方 秀一, 飯田 順一郎
    2002 年21 巻5 号 p. 271-277
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
     開発中の生体親和性に富むCaO−P2O5−SiO2−Al2O3(CPSA )ガラス繊維とポリマーマトリックスとの複合による審美繊維強化プラスチック型(FRP)矯正ワイヤーの臨床応用にはアーチ形状が必須であるが,従来の熱間引抜法では直線形状に限定される.本研究では作製法として光重 合法を採用し, マトリックス材にウレタンジメタクリレート(UDMA )レジンを用いて既製の金属ワイヤーを原型 とするアーチ型FRPワイヤーを試作し,形状寸法の検討および機械的特性についての評価を行った.試作ワイヤーのアーチ 幅径は原型に対し0.1〜0.2 mm(前方),0.4〜0.7 mm (後方)の減少,断面寸法はほぼ一定 (0.47〜0.48mmφ) で あ り,成形体は良好な寸法精度を示した.また,曲げ試験からガラス繊維体積分率を10〜60% と変化させることによりヤング率を5〜40GPaに可変できることが示された.アーチ型の実現はFRPワイヤーの臨床への適用に寄与するものと考えられる.
  • 泉田 明男, 細谷 誠, 片倉 直至, 笠原 紳, 依田 正信, 奥野 攻, 木村 幸平
    2002 年21 巻5 号 p. 278-284
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
     親水性重付加型シリコーンゴム印象材の硬化前の流動性を評価することを目的として,市販材料3種について成分の分析と流動特性の測定を行った.成分の分析は,各ペースト中のフィラー含有率と分離 したフィラーの元素分析,粒度分析,形状観察ならびにプレポリマーの赤外分光分析と分子量分布測定を行った.流動特性としては,コーンプレート型回転粘度計を用いてべ一スペーストとキャタリストペーストの流動曲線および粘度一時間曲線の測定と各ペーストから分離 したプレポリマーの粘度測定を行った.今回使用した印象材は,フィラーの種類,形状,含有率,粒度およびプレポリマーの成分において,従来から用いられているこの種の材料と大きな違いはなかったが,ほぼ単一の分子量分布をもっプレポリマーが配合されていることが特徴的であった.また,ペーストの粘度は比較的低く,チクソトロピー性が小さかった.つまり,硬化前の流動性が高く,練和しやすい材料であるとともに,親水性と合わせて考えると,口腔内組織の細部再現性に優れた材料であることが分かった.そして,この特徴は配合されているプレポリマーの分子量分布と平均分子量によるものと考えられた.
  • 吉田 隆一, 宮坂 平, 岡村 弘行, 岡 邦俊, 山崎 恵理香, 成瀬 重靖, 朝木 知美, 土井 義規
    2002 年21 巻5 号 p. 285-293
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
     金銀パラジウム合金の代替合金として,47.25〜22.33mass%Au−30.70〜48.62mass%Ag−12〜19mass%Cu−2mass%Pt−5mass%Pd−2mass%Zn−1mass%ln−0.05mass%lrなる組成の低カラット金合金を試作した.都市ガスー酸素炎にて遠心鋳造により作製した試料を用いて,熱処理硬化性,ビッカース硬さ,引張強さ,伸びおよび疲労強さを調べた.この結果,試作合金はいずれも熱処理可能であり,試作合金の組成では金量が減少すると,硬さ,引張強さ,疲労強さは低下したが,市販の金銀パラジウム合金と同等か,または,それ以上の値を示した.逆に,伸びは,金量が減少すると増大する傾向を示した.したがって,試作合金のうちで,金量が約30mass%以上の合金が代替合金として有望であると考えられる.
  • 疋田 一洋, 舞田 健夫, 小林 國彦, 田中 牧, 藤井 健男, 大野 弘機, 内山 洋一
    2002 年21 巻5 号 p. 294-301
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
     歯科用CAD/CAMシステムにより製作したコンポジットレジンクラウンの辺縁適合性を検討した,8本の歯型に対して,それぞれ歯科用CAD/CAMシステムによりコンポジットレジンクラウンを製作し,内面の調整を行わずにクラウンを歯型へ合着した.そして,樹脂包埋後に8分割 し,1つの試料に対して16断面のクラウン辺縁のセメント厚さを測定した.また,製作 したクラウンの辺縁部を走査型電子顕微鏡で観察した.その結果,コンポジットレジンクラウン辺縁におけるセメント厚さの平均値は45μmであった.また,コンポジットレジンクラウンの辺縁にはわずかにチッピングが観察されたが,セラミッククラウンの辺縁と比較してチッピングは非常に少なく,切削加工に対する優れた加工特性を示していた.
  • 松本 まき子, 服部 雅之, 長谷川 晃嗣, 吉成 正雄, 河田 英司, 小田 豊, 侭田 浩一, 吉田 隆一
    2002 年21 巻5 号 p. 302-307
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
     Pdの高騰やアレルギーの発現の観点から,低パラジウム合金の開発が望まれている,Pd を5mass%一定とし,22〜47mass%Auの銀銅共晶組成の低カラット金合金を試作し,0.9%NaCl水溶液中での動電位分極挙動 0.1 mol/L硫化ナトリウム水溶液中での変色,0.1 mol/L乳酸と0.1 rnol/L NaClの混合水溶液での溶出量の測定を行い,市販の金銀パラジウム合金と比較検討した.その結果,金の含有量の減少と共に過不動態化電位は低下し,30mass% Au合金で市販の金銀パラジウム合金と同等であった.また,変色については40mass% Au以上の合金で市販の金銀パラジウム合金に匹敵した.
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