歯科材料・器械
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21 巻, 6 号
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原著
  • 平口 久子, 中川 久美, 内田 博文, 田辺 直紀
    2002 年21 巻6 号 p. 313-322
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    高齢者への訪問歯科診療における印象の消毒処理方法に関する研究の一環として,アルジネート印象の薬液浸漬消毒が,片側顎堤断面模型の寸法精度および変形に及ぼす影響を印象材の混水比を変化させて調べた.アルジネート印象材は,水中での寸法変化の小さいアローマファインDF III(AF III),大きいジェルトレートプラス(JLP)を使用した.印象の混水比は製造者指示をstdとし,std-0.2,std,std+0.4とした.印象の薬液浸漬条件は,1%次亜塩素酸ナトリウム溶液中10分間浸漬(1 SH),2%グルタルアルデヒド溶液中30分間浸漬(2 GA),およびコントロールとして印象を薬液浸漬せず(無処理)とした.その結果,AF IIIの1 SHでは,混水比を変化させても印象の薬液浸漬による模型の寸法精度および変形への影響は認められなかった.
  • 秋葉 徳寿, 柯 恩生, 早川 巖, 畑中 憲司
    2002 年21 巻6 号 p. 323-327
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,液成分にフルオロカーボン鎖を導入したメタクリレートモノマーを用いた試作常温重合型床用裏装材(HR)の理工学的性質を検討することである.さらに,臭気物質を指標とした耐汚染性の評価を試みた.着臭性試験は,臭気物質として口臭の強さと強い相関があるメチルメルカプタン水溶液を用い,24時間浸漬後の揮発ガス濃度を測定した.HRの着色性,吸水量,溶出量,着臭量は,市販の裏装材よりも有意に低い値を示した(p<0.05).また,硬さ,せん断接着強さは,フルオロカーボン鎖を導入したことによる理工学的性質の低下は認められなかった.以上の結果から,HRは優れた耐汚染性を有しており,かつ十分な理工学的性質を有していることが明らかとなり,臨床的に有用な裏装材であることが示唆された.
  • 菊地 久二, 矢崎 勇匡, 小野内 真, 金田 光正, 八木原 建司, 黒谷 知子, 椎名 芳江, 西山 實
    2002 年21 巻6 号 p. 328-335
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究は,チタン鋳造体反応層がチタンと硬質レジンとの接着に影響を与えるのかについて検討を行ったものである.接着強さの測定は,市販の4種類の硬質レジンを用い,アズキャストおよび鋳造体表層を100,200および300μm切削した面について圧縮剪断試験で行った.なお,チタン鋳造には3種類の市販埋没材を用いた.その結果,アズキャストでの接着強さは,接着性モノマーおよび埋没材成分の影響があった.切削面での接着強さは,3種類の硬質レジンにおいて反応層を削除した場合に向上した.また,反応層が接着強さに与える影響は,接着性モノマーの種類によって異なった.
  • 鈴木 哲也, 織田 展輔, 田中 慎二, 早川 巖, 高橋 英和
    2002 年21 巻6 号 p. 336-341
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は義歯床用レジンの色調に対するオゾンの影響を調べ,オゾンの義歯洗浄法としての有用性を検討することである.3種類のオゾン洗浄法を選択した.オゾンA法では20mg/hのオゾンを12時間ごとに10分間発生させ洗浄した.オゾンB法では同じ量のオゾンを1日24時間,連続発生させた.オゾンC法では発生量を増やし(720mg/h),連続発生させた.2種類の市販義歯洗浄剤,酸化電位水,蒸留水をオゾンによる洗浄法と比較した.レジン板を各洗浄液に30日間浸漬し,その色差を色彩計で測定した.また,ターメリック液により着色させた試験片を60分間,洗浄液に浸漬し,色差を測定した.その結果,オゾンA法,B法,義歯洗浄剤および酸化電位水によるレジン板の30日間浸漬試験では色差に有意な変化は認められなかった.また,着色除去試験においては,オゾンB法および義歯洗浄剤による洗浄では着色試験片の色差に変化はみられなかったが,オゾンC法および酸化電位水では有意な着色除去効果が認められた.
  • 谷村 幸広, 亘理 文夫, 宇尾 基弘, 戸塚 靖則
    2002 年21 巻6 号 p. 342-350
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    従来,紫外光が不可欠であった二酸化チタン(TiO2)光触媒を歯科に応用するために,金属イオン修飾により可視光応答性を付与し,その効果を色素分解試験で評価し,処理条件の最適化を図った.光触媒能は金属イオン/TiO2量比に依存し,0.3μmのTiO2粉末ではAg/TiO2量比が30μg/gの条件において可視光で最も優れた触媒効率を示した.その応用として,ゾルーゲル法でTiO2コーティングしたガラス板を用いた抗菌試験では,controlに比較してStreptococcus mutansに対する明らかな抗菌作用が確認された.さらに歯牙漂白試験でも漂白前後で視覚的,数値的に審美性の改善が認められた.可視光応答性の付与と触媒効率の増大により抗菌作用,歯牙漂白も十分に可能であり歯科臨床への応用の可能性が示唆された.
  • 寺岡 文雄, 松本 卓也, 中川 正史, 高橋 純造
    2002 年21 巻6 号 p. 351-356
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    エナメル部にナノコンポジットを有する硬質レジン歯を試作し,その諸性質を従来の硬質レジン歯と比較した.ナノコンポジットの曲げ強さ,圧縮強さ,硬さなどの機械的性質および透明性は従来の硬質レジンのエナメル部と比べると優れていた.しかし,耐着色性はナノコンポジットのほうが劣っていたため,ナノコンポジットに約10wt%のポリメタクリル酸メチル(PMMA)粉末を添加して硬質レジン歯を試作した.試作硬質レジン歯のエナメル部の機械的性質は従来の硬質レジン歯と比較して若干劣っていた.一方,試作硬質レジン歯の摩耗試験後の表面粗さは小さく,衝突摩耗試験で使用した回転棒(ポリオキシメチレン)の摩耗量が従来の硬質レジン歯の場合と比較して少ないことから,臨床においては対合歯に及ぼす影響も少ないと考えられる.また,試作硬質レジン歯の透明性と耐着色性は従来の硬質レジン歯より優れていた.これらの結果は,ナノ粒子が均質に分布していることが要因であると考えられる.
  • 小西 順子, 亘理 文夫, 大川 昭治, 宇尾 基弘, 佐野 英彦
    2002 年21 巻6 号 p. 357-367
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    冷間等方加圧法を利用して作製した陶材インレーの焼成収縮を改善するために,酸化膨張を期待できる中間酸化物を添加し収縮の補償を検討した.B,Si,Ti,SiO,TiO,あるいはSnOを陶材粉末に10wt%添加し970℃,55秒間焼成した.その結果,色調が白色で形態も良好な酸化を示したSnOについて,添加量,焼成時間,焼成温度の寸法変化率,二軸曲げ強さに及ぼす影響について調べた.SnO添加量が増加すると,収縮は減少し50wt%以上では膨張を示した.焼成時間を55秒から5時間,焼成温度を970℃から1050または1100℃と変化させても大きな変化は認められなかった.二軸曲げ強さはSnO無添加では120MPaを示したが,SnO添加量が10〜80wt%と増加するにつれて,75〜30MPaに減少した.中間酸化物の酸化膨張を利用して焼成収縮の補償が可能であると思われた.
  • 藤森 拓人, 中野 文夫, 高橋 英和, 岩崎 直彦, 西村 文夫, 早川 巖
    2002 年21 巻6 号 p. 368-375
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は義歯安定剤の引張接合力に及ぼす被着体の影響を検討することである.被着体として口腔粘膜を擬似した寒天,金属床を擬似した金属板,アクリル板を用意した.市販の義歯安定剤である,粉末タイプ4製品,クリームタイプ4製品,テープタイプ2製品,クッションタイプ4製品の14製品について試験した.粉末タイプではアクリル,金属と比較して寒天との接合力は有意に小さい値を示した.クリームタイプでは被着体による接合力の違いは認められなかった.クッションタイプでは寒天<金属<アクリルと接合力が有意に大きくなった.テープタイプの接合力はクッションタイプと同じ傾向を示した.以上の結果より義歯安定剤の接合力は被着体によって異なることが明らかとなった.
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