歯科材料・器械
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4 巻, 1 号
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原著
  • 平口 久子, 小林 孝誌, 関口 悦郎, 土生 博義
    1985 年4 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2018/03/12
    ジャーナル フリー
    三次元座標測定システムを用いて模型の変形を三次元的に評価するための基礎的研究の第一段階として, 模型外の寸法の安定した金属面上に基準設定を求める模型外基準設定方式の模型作製システム-標準モデル-の開発を行なった.そして, 標準モデルにおいて予想されるすべての模型変形をパターンに分類し, 石こう模型を作製してこの分類に基づいて変形を求め, 標準モデルの有用性を検討した.その結果, 模型と基準設定部位との固定方法が模型の変形に及ぼす影響に不明の点があり, 固定方法を検討する必要のあることが示唆されたが, その点を除き標準モデルは今後の研究に充分活用できることが判明した.
  • 田辺 直紀, 内田 博文, 有馬 嗣雄, 土生 博義
    1985 年4 巻1 号 p. 11-18
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2018/03/12
    ジャーナル フリー
    印象圧を印象材の観点から定量化するために, 印象材が原型を圧接する時の圧接力を測定する装置を考案した.そしてこの装置によって得られた圧接力の変化から, 最終(最大)圧接力を印象圧として定量化して検討した.材料は2種類のアルジネート印象材で, これらを標準条件で使用し, トレー(密閉型, 開孔型), 練和粉末量(5g, 10g), 練和時間(30秒, 60秒), 圧接速度(50mm/min, 100mm/min)を変化させて測定した.その結果, 圧接力は印象材の種類によって異なり, 圧接力の発現様式はトレーの型によって異なり, 最大圧接力が印象圧定量化の基準となり得ることが示唆された.そして印象圧は, 練和粉末量と練和時間との変化に有意な差は認められなかったが, トレーの型には高度な有意差が認められ, とくに密閉型トレー使用の際には, 圧接速度が影響を与える製品もあった.
  • 後藤 真一, 中村 健吾
    1985 年4 巻1 号 p. 19-38
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2018/03/12
    ジャーナル フリー
    母合金(50Au-25Pd-15Ag-5Pt合金)に対するIn・Sn添加の効果を調べるため, InまたはSnを単独に0.25, 0.75, 2.25, 6.75, 10.00wt%添加した10種の合金およびIn・Snをそれぞれ0.5, 1.5, 2.5, 3.5wt%複合添加した16種の合金を溶製し, セラコム陶材との焼付強さおよび合金の引張強さ・伸び・ビッカースかたさを測定し, 統計学的手法によって解析した.またディギャシング加熱後・陶材焼成後の合金表面または断面をSEM観察し, XMAによるIn・Snの面分析を行って分布状態を調べ次の結論を得た.陶材焼付用合金として必要な機械的性質と陶材との焼付強さから推定される最少の添加量は, Inを単独に添加するとき6±0.5wt%, Snを単独に添加するとき約4〜6wt%である.InおよびSnを複合して添加するときは, In0.5wt%のとき3.3wt%以上, In1.5wt%のときSn2.8wt%以上, In2.5wt%のときSn2.2wt%以上必要である.
  • 塙 隆夫, 大川 昭治, 近藤 清一郎, 小林 紘孝, 菅原 敏, 太田 守
    1985 年4 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2018/03/12
    ジャーナル フリー
    歯科遠心鋳造法によって得られた等軸晶組織を示すNi-Cr合金の凝固機構を定性的に考察した.鋳造物の凝固を調べるために幾つかの実験を行ったところ, 次の結果が得られた.すなわち, 鋳造組織内の結晶粒は遠心力方向にあるものほど, また, スプルー直下の結晶粒はスプルー直径が大きいほど, 微細であり, 鋳型内に棚を付けると棚より下では結晶粒は比較的粗大であった.これらの結果は, 結晶が溶湯の流入による機械的対流と温度差による熱的対流とによって鋳壁から離れ, 遠心力によって溶湯内を移動して鋳型底部に堆積するという理論で説明できる.特に, スプルー部分の凝固は結晶粒がスプルー上部に堆積して詰まることによるものであると推察した.
  • 宮本 了一, 伊東 邦彦, 永田 勝久, 中林 宣男
    1985 年4 巻1 号 p. 45-48
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2018/03/12
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジンのモノマーは, 現在, Bis-GMA/トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)系が主流をしめている.しかし, Bis-GMA/TEGDMA系は, 吸水量が多く, 残留モノマーの溶出による歯髄為害性があるなど欠点がある.Bis-GMAにかえて, 1, 3-ビス(メタクリロキシエトキシ)ベンゼン(RDMA)を合成し, コンポジットレジンとしての諸性質を調べたところ, RDMAの常温重合性は, Bis-GMAやTEGDMAと比較して良好であった.また, RDMA/TEGDMA系コンポジットレジンは, 従来のBis-GMA/TEGDMA系のものより, ブリネル硬さ, 圧縮強さ, 吸水量の値はすぐれており, さらにモノマーの溶出量も少なく, RDMAを使用することにより, 諸性質が良好なコンポジットレジンが得られることが解った.
  • 荒木 吉馬
    1985 年4 巻1 号 p. 49-66
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2018/03/12
    ジャーナル フリー
    3種のエラストマー印象材(ポリサルファイドゴム系, ポリエーテルゴム系および重縮合型シリコーンゴム系)の硬化反応過程における反応率と動的粘弾性変化との関係, すなわち反応に伴うゴム網目構造発現の機構について検討を行った.その結果, 3種の印象材のうち液状ポリマーの官能基数が最も多いポリエーテルゴム印象材は, 反応率30〜40%において無限網目をつくるのに対し, 官能基数が最も少ないポリサルファイドゴム印象材は, ゲル化理論から予測されるとおり, かなり反応が進まないと無限網目をつくらない.その結果, ポリエーテルゴム印象材は硬化がシャープである反面, 硬化後も弾性率の上昇等が継続するのに対しポリサルファイドゴム印象材は, 硬化が緩慢である反面, 硬化後においては安定である.このように各印象材の液状ポリマーまたは架橋剤の官能基数は無限網目を形成するときの反応率(ゲル化点)と密接な関連があり, さらにそのゲル化点の位置は, その材料の硬化挙動を特徴づける大きな要因であることが明らかになった.
  • 木村 博, 岡崎 正之, 木南 秀雄, 作田 守
    1985 年4 巻1 号 p. 67-74
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2018/03/12
    ジャーナル フリー
    歯科矯正治療におけるダイレクト・ボンディング法のもつ問題点の解決を主目的とした研究を行っているが, 今回はシアノアクリレート系接着剤を取りあげた.すでに我々は第一報で接着強度に対する熱の影響を検討し, 樹脂の熱可塑性という性質をデボンディングに応用する可能性について言及した.また第二報では歯面の酸処理液にフッ化物を添加して塗布したところ, 歯質表面でのフッ化カルシウムの析出によると思われるエナメル質の表面性状, および接着強度が変化することを確認した.今回はシアノアクリレート系接着剤がもつ良好な操作性や, 強力な接着力の割には耐衝撃強度が劣っているといった性質に着目し, これを取りあげることにした.そこで歯科矯正治療における接着の対象物となる歯面, ステンレス鋼, およびプラスチックの代表としてはアクリル樹脂を選び, それらの接着の耐久性をパーコレーションテストにより判定し, 実際の臨床応用の可能性について再検討した.また, これらの接着強度に対する熱の影響についても第一報と同様にして検討した.さらに, 第二報における歯の表面処理液を適用したときの接着強度について検討した.また, 耐衝撃性については, 単純引張試験法で, 引張速度を変えてその傾向をみるとともに, アイゾット試験法に準じた方法により実際に測定した.その結果, ステンレス鋼に対してはシアノアクリレート系接着剤は接着性が低く, 特にパーコレーションテストに対してはほとんど抵抗性がないこと, 一方, アクリル樹脂に対しては一般に接着性がすぐれ, 特にアクリル樹脂相互の接着では良好な耐久性を有することが確認された.引張速度の影響では, それが大きいほど, 接着強度が低下する傾向を示した.また耐衝撃性の検討では, 単純引張強度と比較して, その強度が非常に劣っていたが, ブラケットとの接着をみた場合, 他の歯科用接着剤よりもやや小さい強度を示していた.一方, 歯に表面処理液を適用した後の強度は, 表面処理液中のフッ化物濃度が1%程度のものでは, 単純引張強度, 耐衝撃強度とも, フッ化物を添加しないものより大きくなる傾向がみられた.
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