本発明の目的は, 鋳造床程度の大きさの純チタンを電解研磨により鏡面にまで仕上げることである.
従来から, チタンの電解研磨は, その強い酸化傾向のために困難とされてきたが, 今回非水系の電解液を用い, 被研磨体の形状や電解条件などに工夫を加えた結果, 30cm
2程度の大きさの純チタン板を電解研磨により鏡面仕上げすることができた.
まず, 小型試片の電解研磨条件を見いだした.しかし, 大型試片の場合には同じ条件では, 研磨面の中程に顕著な梨地を生じ, 均一な研磨はできなかった.梨地部分は, 表面あらさ値が大きく, このままでは生体材料に適さない.
このような梨地は電解液面を貫く被研磨体の面積を小さくすることで阻止できることを見いだした.
また, 純チタン鋳造体の電解研磨は, 加工材の場合と同一の研磨条件で可能であった.
さらに, アルコールを主成分とする電解液の溶媒成分の配合を変えることによって, より安全で, ふかみのある鏡面研磨が可能で, 疲労しにくく, 使用回数などの制限の比較的緩やかな優れた電解液を開発した.
例 エチルアルコール70ml iso-プロピルアルコール30ml
塩化アルミニウム6g 塩化亜鉛25g
電解条件 電圧30V 通電時間6分 電解液温25℃
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