発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
12 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 塚田 みちる
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    二項的相互交渉に対象物が加わって,三項的相互交渉が成立していくプロセスを,月齢9ヵ月頃の乳児の応答性の変化に着目して記述した。特に,母親が対象物を提示したときの乳児の応答として,母親と対象物とに注視を切り替える交互注視と,情緒の表出を検討した。7組の母子を対象に,7ヵ月から12ヵ月までを縦断的に観察した.得られたデータを,二項的相互交渉,乳児が交互注視を行わない三項的相互交渉と,交互注視を行う三項的相互交渉に分類し,その生起時間と,母子間の行動の連鎖とを分析した。その結果,7,8ヵ月では,二項的相互交渉か,乳児の交互注視を伴わない三項的相互交渉が見られた。9ヵ月頃より,乳児が交互注視をして応答する三項的相互交渉が出現した。一方,9〜11ヵ月頃は,二項的相互交渉で母親が対象物を提示すると,乳児が応答する傾向にあった。さらに,12ヵ月になると,乳児の交互注視と,対象物の提示などの行為が関連し,このとき肯定的情緒や声を表出する傾向にあることが明らかとなった。これらより,二項的な相互交渉が主に展開する7,8ヵ月から,9ヵ月頃の乳児の応答性の変化を軸に,三項的な相互交渉へと移行することが推測された。さらに,二項から三項へと移行する際の二項的相互交渉,および,肯定的情緒のもつ機能的意味や,乳児が母親の誘いにあえて応じないことの持つ意味について指摘した。
  • 菅野 幸恵
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 1 号 p. 12-23
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    母親が子どもに対してもつ否定的感情は,子どもの成長や母親としての適応に悪影響を及ぼすだけなのだろうか。本研究では,母親が育児の中で当たり前に経験する感情として子どもに対する不快感情を取り上げ,不快感情が母子関係の中でポジティヴな役割を果たしている可能性について,不快感情の内容とそれに対する説明づけ(accounting)から記述的に検討した。まず,母親の不快感情は育児場面のどのような状況での,子どものどのような行動に対して生じているのかについて検討した。不快感情は就寝時や食事中など日常的課題場面での子どもの不従順な行動や,課題がない場面での以前と変化した行動に対して生じていた。次に受け止め方を不快感情と説明づけとの関連から検討した。母親は不快感情を契機に子どもの育ちや自らの関わり方を振り返っており,その振り返り方は課題の有無によって異なることが明らかとなった。日常的課題場面での行動に対して母親は自分のやり方を確認した上で,そのやり方を貫こうとしているが,課題なし場面での行動には譲歩的であることが明らかになった。二つの振り返り方により子どもの見方や自分の関わり方の安定や修正が図られていることが考えられた。
  • 謝 文慧, 山崎 晃
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 1 号 p. 24-35
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,特定の3,4歳男児の友だち集団について,遊びの共有化過程に影響するといわれている各成員個人の行動特徴と成員間の二者関係が集団内の優勢順位とどのような関連があるのかを明らかにすることを目的とする。3歳男児9名による1つの友だち集団は2月から3月まで自由遊び場面を通して観察された。集団全体の構造的特徴として優勢順位を用いて,それに基づき個人の行動特徴と集団成員間の関係について検討を行った。結果として,集団全体の活動は優勢順位の上位者を中心に行われており,成員間の優勢順位の開きが大きいほど自己開示が生じにくく,優勢順位は集団全体の活動とも集団成員間の行動とも関連していた。観察集団の中で,集団の中心的存在を示す子がおり,彼が多くの成員と親密的,調和的な相互作用を行っていた。それと同時に,彼が優勢順位の最上位でもあり,成員を統制する行動も多かったことが示された。集団成員が優勢順位での自分の位置づけに基づいて,相手によって相互作用を行った。優勢順位が集団内の社会的行動を制御する働きは3,4歳ごろにすでに現れていることが示された。成員個人の行動特徴や成員間の二者関係が集団全体の優勢順位から影響を受けると同時に,親密度の高い二者関係が優勢順位の変遷を促す可能性や,また,その二者関係が個人の行動特徴によって決められている可能性も示された。
  • 櫻庭 京子, 今泉 敏
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 1 号 p. 36-45
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究では2〜4歳の幼児(N134)を対象に,「喜び」,「悲しみ」,「怒り」,「驚き」の基本4情動について,情動語を呈示してそれにあう表情図を選択させる課題(言語呈示課題)と,赤ちゃんの写真を提示して赤ちゃんが示す情動と共通の情動を示す表情図を選択させる課題(表情呈示課題)を実施した。その結果,両課題とも正答率は加齢とともに有意に上昇したものの,年齢によらず一員して言語呈示課題の方が高かった。表情呈示課題では口など顔面構成要素の形状が共通である表情図を選択する傾向があり,それが成績を下げる要因であった。これらの結果は,情動語とそれに対応する表情の結びつきが2歳までには発達し始めていることを示唆する。
  • 北村 琴美, 無藤 隆
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 1 号 p. 46-57
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,母娘関係が成人の娘の適応状態を規定する度合いを検証するとともに,娘の結婚や出産といったライフイベントによって母娘関係がどのような発達的移行を経るのかを探索的に調べるために,成人女性415名を対象とした横断的データに基づいて,独身女性,既婚で子どもがいない女性,既婚で子どもがいる女性間での比較検討を行った。その結果,母親との親密性は独身の娘の心理的適応と関連していると同時に,既婚で無職の娘の心理的適応に対してもある程度の効果を持つという結果が得られた。一方,母親への過剰な依存・接触は,職業の有無に関わらず,既婚で子どもがいない女性の心理的適応と負の関連を示していた。また,ライフイベントによる成人期の母娘関係の発達的移行に関しては,独身あるいは有職の娘と比較して,既婚で無職の娘は,母親との親密性が高く,サポートを求める気持ちが強いことが見出された。
  • 荘厳 舜哉
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 1 号 p. 58-60
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 本郷 一夫
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 1 号 p. 60-62
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 尾見 康博
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 1 号 p. 62-65
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2001 年 12 巻 1 号 p. 65-
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
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