発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
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12 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 木下 芳子
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 3 号 p. 173-184
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    集団決定状況での「個人領域」についての認識の発達と個人領域について集団決定を是認する状況の要因をみるために3つの研究が行われた。研究1では,9歳,11歳,13歳,および大学生,計119名が被験者として参加した。参加者はある学級で子どもたちが集団決定しようとしている8つの仮説的場面が示された。各場面について,集団決定することの是非の判断,判断理由の記述,決定の拘束性についての判断,決定に違反したときの悪さの評定が求められた。低学年では個人領域の事柄でも集団決定してよいとする反応が多かったが,好み・嗜好に関するする事は最もはやくから,集団決定すべきでないとする反応が出てきた。個人にとって利点がある行為は大学生でも多くの者が集団決定を是認した。研究2には8歳,11歳,13歳,大学生,計120名が参加した。決定が拘束力があることが強調された場面で,研究1と同様のことが行われた。拘束力がある場合でも,全般的に結果は研究1と同様であった。研究3では同じ個人領域のことが集団の目標の有無,文脈のちがいなどの状況によって,集団決定が是認されるようになるかどうかが検討された。半分の場面で,状況によって判断が異なることが示された。個人領域の判断と権利意識の発達について考察された。
  • 木下 孝司
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 3 号 p. 185-194
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,時間的視点の理解を必要とする幼児の自己認知を検討したものである。56名の3, 4, 5歳児を対象に,被験児がゲームをしている最中,実験者はひそかに彼らの頭部にシールを装着し,その様子をビデオ撮影した。約3分後に,そのビデオ映像を提示してシールを発見して取るかどうかを調べた。以上のマークテスト実施後さらに,被験児自身ならびに実験者がシールに気づいた時点についての質問も行った。その結果,マークテストは4歳以降で可能となったが,マークテストに合格してもシールに気づいた時点を報告できない被験児が存在した。それに対して,シールに気づいた時点を自覚している被験児は,そうでない者に比べ,「心の理論」課題成績が良く,また他者に自己映像を見られることを忌避する者が多いことが明らかになった。以上の結果より,時間的視点を自覚的に理解することが、遅延提示ビデオ映像による自己認知ならびに「心の理論」の発達に関連することが示唆された。
  • 松井 愛奈, 無藤 隆, 門山 睦
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 3 号 p. 195-205
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    幼児が自由に活動している状態で,どのようにして仲間との相互作用が生じるのかを検討した。幼稚園において,3歳児から4歳児の2年間,ビデオによる自由遊び場面の自然観察を行った。相互作用の開始場面について,特定の場面に限定することなく,また遊び集団の有無に関わらず,明示的,暗黙的双方の側面から詳細に捉えた。さらに,方略の種類だけではなく,仲間への働きかけに対する相手の反応,その結果の状態に至るまで流れレベルで分析をおこない,3歳児と4歳児の年齢差を比較検討した。その結果,幼児は相手の活動へ仲間入りするだけではなく,自分の活動へ相手をひき込んだり,新たな活動を一緒に開始したりしていること,また,直接的,明示的な方略により仲間と相互作用を求めるだけではなく,様々な暗黙的な方略により仲間との相互作用のきっかけをつかんでいることが見出された。年齢差については,3歳児は4歳児と比較して仲間の行動の模倣が多く,また相手の反応がなく,その後仲間との相互作用はないが一緒にそばにいるという状態が多いが,次第にそれは減少し,相手の活動への参加や,暗黙的な方略使用が増加した。しかし,4歳児後半ニなると,仲間を自分の活動へ誘い入れたり,自分に注意をひきつけたりすることが増加し,お互いに知り合ってきたことの影響が考えられる。また,幼稚園で慣例の「いれて」という明示的な仲間入り方略使用が増加した。
  • 田口 雅徳
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 3 号 p. 206-215
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,幼児の描画特性である知的リアリズム反応の原囚として,知っている情報を伝えようとする子どもの積極的意図があると仮定し,その検討をおこなった。被験児は4歳から6歳までの幼児169名であった。被験児の描画対象に関する知識量を操作するため,描画的に描画対象である人形について描く部分(背面)しか見せない条件(部分条件)と,人形の全体を見せる条件(全体条件)の2条件を設定した。描画時にはどの被験児にも人形の背面側を呈示し,それを見えているとおりに描くよう教示した。結果から,5歳児においては全体条件より部分条件の方が見えどおりの描画が多いことが示された。また,見えどおりの描画は,部分条件では加齢にともない増加する傾向が見られ,一方,全体条件では4歳から5歳にかけて減少し5歳から6歳にかけて増加した。さらに,見えどおりではない描画反応を,対象固有の情報が反映されているかどうかという観点から2カテゴリに分類し,その発達的変化を検討した。その結果,4歳児では対象の標準型を描く反応が多く,加齢に伴い対象固有の情報を伝達するようなコミュニケーション型の描画反応が多くなった。これらの結果から,5歳児以降では,描画対象固有の情報を考慮し,それを描こうとするために,知的リアリズムによる描画が生じているのではないかと考察された。
  • 平山 順子, 柏木 惠子
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 3 号 p. 216-227
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本稿は,核家族世帯の中年期の夫と妻554名(夫婦277組)を対象に,夫婦間コミュニケーションの様態を検討した。夫と妻とをコミュニケーションを構成する2つの単位(個人)と捉え,夫と妻とのコミュニケーション態度の相違を検討した。加えて,相手(配偶者)へのコミュニケーショし態度と夫婦の学歴及び妻の経済的地位との関連性を検討した。主な結果は次のようである。(1)夫婦間コミュニケーション態度は,「威圧」「共感」「依存・接近」「無視・回避」の4次元から成る。(2)相手へのコミュニケーション態度得点(自己評定)を夫婦間比較した結果,ポジティブなコミュニケーション態度である「共感」と「依存・接近」では妻のほうが有意に高く,他方,ネガティブなコミュニケーション態度である「無視・回避」と「威圧」では夫のほうが有意に高かった。また,相手へのコミュニケーシション態度のうち,夫に最も顕著な態度は「威圧」,妻に顕著な態度は「依存・接近」であった。(3)夫・妻とも,相手へのコミュニケーション態度について,夫婦の学歴による差は見出されなかった。(4)夫の妻へのコミュニケーション態度のうち,「共感」において妻の経済的地位による差がみられ,妻の経済的地泣か高いほど,夫は妻に対して共感的なコミュニケーション態度をとる傾向が明らかにされた。夫と妻とが対照的に異なるコミュニケーション態度をとる背景には,性的社会化の影響,男女間の社会的・経済的地位の格差があると推察される。
  • 冨田 昌平
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 3 号 p. 228-238
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    心的な比喩に対する6歳児の理解を3つの実験によって検討した。本研究では,子どもは3つの領域における心的な比喩に対する解釈を求められた。つまり,容器比喩(例えば,「心が空っぽである」),物体比喩(例えば,「気が重い」),動作主比喩(例えば,「気持ちが足跡みしている」)の3つである。実験1では,16名の子どもが,比喩文に対する正しい解釈と誤った解釈という2つの絵画ストーリーを提示され,比喩文と対応するものを選択するよう求められた。実験2と3では,各20名の子どもが,比喩文に対する比喩的な正しい解釈,比喩的だが誤った解釈,字義的な解釈,無関連の解釈という4つの絵画ストーリーを提示され,実験1と同様のことを求められた。3つの実験で,子どもの大部分は,動作主比喩よりも容器比喩において正答を多く選択した。以上の結果は,幼児が持つ心のイメージという点で考察された。
  • 金子 龍太郎
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 3 号 p. 239-240
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 古澤 賴雄
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 3 号 p. 240-242
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 西條 剛央
    原稿種別: 本文
    2001 年 12 巻 3 号 p. 242-244
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
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