本研究の目的は,内面化過程へ直接的にアプローチしたRatner et al.(2002)の研究を踏まえ,ソースモニタリングエラー(バイアス)の生起を内面化の指標として用い,内面化過程をより詳細にしていくことであった。そのため,小学3年生を対象に,プレテスト(単独学習),他者との協同活動セッション,ポストテスト(単独学習)という手順のもとに,最短ルートで指定された品物を購入してくる買い物課題を行わせた。また,協同活動セッションでは,課題を問題解決活動の下位活動である,プランニング活動,決定活動,実行活動の3つにわけ,それぞれの活動でソースモニタリングテストを行った。その結果,自分の考えと他者の考えをやりとりする決定活動場面で最もエラーバイアスが生じるとともに,エラーバイアスを示した実験参加者は,ポストテストでより短いルートで地図を回れるようになっていた。このことは,エラーバイアスを示した実験参加者ほど,他者とのやりとりを通して,最短ルートを発見していくのに有効な知的方略を内面化させることができ,ポストテストでその知的方略を遂行できるようになったことを示している。また,エラーバイアスを示した実験参加者は,協同活動において,自己修正方略(一度決めたルートを最終的に提案する前に,さらに良いルートはないかを,吟味・検討し直す)の有効性に気づき,それを取り入れ実行していく関わり方を示すという新たな知見が得られた。
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