発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
20 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 氏家 達夫
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
  • 石黒 広昭
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 3-4
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
  • 東 洋, 柏木 惠子, 繁多 進, 田島 信元
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 5-12
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
  • 岡本 夏木
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    発達研究における基礎学と臨床学間に,発達理論と教育方法間の乖離とギャップを埋めてゆく一つの作業として「言語使用空間の発達モデル」を提案する。それは三つの軸として,意味の成層化による用語的レベル対含意的レベル,理解の様式としての因果的説明対ナラティヴ的解釈,使用領域としての世界知識の形成対自己形成よりなる。それらをもとに,教育方法革新の手がかりとしてのインプリケーションをのべる。
  • 浜田 寿美男
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    発達心理学の研究はこの数十年で大きく躍進し,日本発達心理学会の会員数も設立時に比べて約10倍に達している。その背後で発達心理学に対する一般の期待が大きくなり,これを職業とする人が増え,それだけ発達心理学はこの社会のなかで制度化してきた。それは一面において歓迎すべきことであるが,他方において研究そのものがその制度化の枠に閉じることにもつながる。結果として,発達心理学がとらえるべき人間の世界が,その既成の理論と方法によって切りそろえられる危険性を抱えている。たとえば子どもたちの生きる生活世界がその個体としての能力・特性の還元されることで,その能力・特性の発達は見ても,その能力・特性でもってその子どもがどのような生活世界を生きているかというところに目がいかない。臨床発達心理士の資格化なども,この種の個体能力論を超える道を探ることなく,この枠組のなかで自足してしまえば,人間の個体化の波に飲み込まれて,人と人との本来的な共同性をそこなうものになりかねない。発達心理学における人間の個体化を乗り越えて,あらたな発達心理学のパラダイムを模索していくことが,いまこそ求められているのではないか。
  • 竹下 秀子
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 29-41
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    発達と進化を後成的にとらえる立場から,まずゴットリーブによる「行動の新表現型進化説」を参照し,個体発達によって新たな行動の表現型が生じて,それが世代を越えて維持されて淘汰の対象となっていく可能性を述べた。加えて,個体発達の改変にヘテロクロニーが関与していることを指摘した。続いて,人間への進化においては,発達初期の母子の相互交渉の変容が種に独自のあおむけを新たな行動の表現型として生みだした可能性を指摘し,通常は生後3〜4か月には安定したあおむけの姿勢でいられるようになることが,いかなる点で発達システムの進化とみなしうるかを,1)特大の新生児,2)「幼児期」の出現と複数者による養育,3)母子相互交渉におけるトレードオフ,4)ジェネラルムーブメント,5)自己接触行動,6)物の探索と操作の点から論じた。さらに,象徴や表象,言語は感情の発達が生みだしたものだとするグリーンスパンとシャンカーの「機能的感情の発達進化説」を紹介し,母子コミュニケーションと感情調整の発達の表象発生における意義と,これにかかわるあおむけの意義を述べた。最後に,出生後のあおむけでの活動としても引き継がれる胎児期の行動発達と母子コミュニケーションについて,4次元超音波画像診断装置をもちいて人間およびチンパンジー胎児を対象として実施した研究について述べた。
  • 斉藤 こずゑ
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 42-54
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    発達心理学の研究において利用される映像(写真,ビデオ,フィルム)は,ビデオ機器の利用が始まった1970年代頃から近年に至る技術的利便性の向上に伴い,膨大な蓄積があると思われる。しかし心理学領域における,写真を含む映像メディアの理論化の遅れは,子どもの映像認識発達の解明よりも,研究者の方法論としての映像利用の考察において立ち遅れ,結果として映像メディアの本来の可能性を不当に狭めるものとなっていると思われる。今日の人々の映像利用の増大の潮流にあっては,映像を単にデータ作成の補助的道具として位置づけるのではなく,発達現象の研究内容と深く関わるものとして映像メディアを位置づけ直し考察することが急務である。このような心理学の現状に比して,すでに映像利用の新展開を迎えている,一般社会や他の学問領域を参照しつつ,今後の発達心理学における映像メディアの位置づけと理論化の可能性を提唱する。
  • 橘 廣
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 55-65
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,乳児の手の活動における機能的左右非対称性について検討することを目的とした。研究1では,機能的左右非対称性の出現状況を検討するために,1ケースの出生から1歳までの,養育者の自然観察による縦断研究を行った。結果は,リーチングの観察される以前に,手指操作の基礎となるような左右の手の機能的非対称性が観察された。その機能的な差異は,リーチングの優位性とは関係なく観察期間を通じて一貫しており,右手優位は継時性,左手優位は空間性が必要とされる動作で観察された。また同日の種々の手指活動においては,高度の技能を要し操作性の高い活動であるほど,一側化が顕著にみられた。研究2では,同時期に優位な手が異なっていた,指さしとパッティングの優位性の変化を検討するために,約1ヵ月間使用手の頻度調査を行った。その結果,指さしは,独立歩行開始が観察された日より優位な手に変化がみられたのに対し,パッティングの頻度は右手優位で一貫していた。以上の結果から,技能を含む操作性の高さが一側化に重要な要因となることが示唆された。操作性の高さおよび半球機能分化の時期について考察された。
  • 久保(川合) 南海子, 坂田 陽子
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 66-73
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    注意にはある対象を捕捉する過程ばかりでなく,いったん捕捉した対象から注意を解放する過程も含まれる。亀井・坂田・熊田(2006)は高齢者を対象に注意の捕捉を検討し,線画による顔刺激への反応は文字刺激より速く,解像度の低い周辺視の段階でも処理が可能であることを示唆した。そこで本研究では,実験1として,高齢者でも捕捉の速い顔刺激を注視刺激として呈示した後ターゲット刺激を左右どちらかに呈示し,その検出にかかった反応時間を基に顔刺激からの注意の解放に関する加齢の影響を検討した。また,顔刺激からターゲット刺激が呈示されるまでの時間を操作することで,解放過程における促進の効果についても検討した。その結果,高齢者は時間間隔が長くなると解放が促進される効果が若齢者よりも大きく,顔刺激からの注意の解放がそうでない刺激よりも速いことが示唆された。若齢者の反応時間には注視刺激の違いはみられなかった。続いて実験2では,顔刺激の表情による注意の解放の違いを検討したが,どちらの年齢群にも表情に違いによる反応時間の差は見られなかった。
  • 菅野 幸恵, 岡本 依子, 青木 弥生, 石川 あゆち, 亀井 美弥子, 川田 学, 東海林 麗香, 高橋 千枝, 八木下(川田) 暁子
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 74-85
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    本研究では子育て・親子関係を正負双方の側面をもちあわせたダイナミックなプロセスとしてとらえ,はじめて子どもを産む女性を対象に,子どもに対する不快感情についての説明づけを縦断的に検討した。具体的には子どもが2歳になるまでの間3ヶ月ごとにインタビューを行い,そこで得られた子どもに対する不快感情についての説明づけを分析することを通して,母親たちのものの見方を明らかにした。母親たちのものの見方は,目の前のわが子の育ち,子育ての方向性,母親自身の資源とが,せめぎあうなかで成り立っていることが考えられた。生後2年間の変化として,子どものことがわからないところから子どもの行動をパターン化し,1歳の後半には人格をもった一つの主体としてとらえるようになるプロセスと,世話・保護の対象から親の影響を受けるひとりの主体として子どもをとらえ,ソーシャライザーとしての役割を認識するようになるプロセスがあることが明らかになった。そのようなものの見方の変化は子どもの発達と不可分であることが示された。
  • 富田 昌平
    原稿種別: 本文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 86-95
    発行日: 2009/04/20
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,不思議を感じとりそれを楽しむ心の発達について明らかにすることであった。研究1では,幼稚園年少児29名,年中児34名,年長児33名に3つの手品を見せ,そのときの幼児の顔の表情,探索行動,言語回答を観察し分析を行った。その結果,年少児では手品を見せられても顔の表情にあまり変化がなく,手品の不思議の原理を探ろうとする探索行動も全く見られなかったのに対して,年中児では軽く微笑んだり声をあげずに笑うなどの小さい喜び反応が増加し,探索行動も現れるようになり,さらに年長児では声をあげて笑ったりうれしそうに驚くなどの大きい喜び反応が増加し,探索行動も増加するといった一連の発達的変化が確認された。研究2では,研究1に参加した幼児86名に対して空想/現実の区別課題を行い,研究1の手品課題における反応との関連について検討した。その結果,空想/現実の区別を正しく認識している幼児ほど,手品を見たときに喜び反応をより多く示していたことがわかった。以上の結果から,不思議な出来事に遭遇したときに生じる,出来事の不思議に気づき,それを楽しみ,探究するといった心の動きが幼児期において発達すること,そしてその発達の背景には空想/現実の区別についての認識発達が存在することが示唆された。
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