他者の想像の枠組みを理解し,維持する能力を子どもに要求する社会的ふり遊びは,比較的洗練された形式のふり遊びだと考えられてきた。本研究は,どのようにして年上のきょうだいが,トドラーを社会的ふり遊びへ参加するように導くのかを検討した。26人の年上のきょうだい(
M=5歳5ヶ月)は,彼らの年下のきょうだいであるトドラー(
M=1歳11ヶ月)の前で,オヤツを本当に食べる様子(本当条件)と,オヤツを食べるふりをする様子(ふり条件)を観察された。年上のきょうだいは,本当条件よりふり条件で頻繁にまた長い時間微笑し,トドラーを注視し,効果音をより使い,オヤツ動作をより行った。さらに行動系列分析の結果は,ふり場面においてきょうだい間で表情や動作の模倣が生じていたのではないことや,きょうだいがふり動作をして,トドラーを注視し,微笑するといった特定の行動パターンを呈示した後に,トドラーはふり遊びに参加する傾向があることを示した。本研究の結果は,Rogoff(2003/2006)の「導かれた参加」の観点で論じられた。
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