発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
3 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 倉持 清美
    原稿種別: 本文
    1992 年 3 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    幼稚園の自由遊び時間に生じた子ども達のいざこざを観察し, いざこざの中で使用される方略が, いざこざ当事者の子ども達の関係によって異なるかどうかを検討した。子ども同士の関係は, 同じ遊び集団に所属しているのか, あるいは異なる遊び集団に所属しているのかどうかで分類した。幼稚園の年長2クラスの5歳から6歳までの42人の子ども達について, 4月から10月までの自由遊び時間にテープレコーダーとフィールドノートを使って週に2〜3回観察して, 37の事例を収集した。同じ遊び集団に属する子ども達の間では, 主に, 物を先取りしていることを主張する方略と, その物を所有することが展開されている遊びにとって必要であること, 例えばお母さん役の子どもが所有することが妥当であることを示す方略を使用した。異なる遊び集団に属する子ども達は, 貸すための条件を示す方略と借りる限度を示す方略を使用した。この結果は, 子ども達がいざこざの中で使用する方略が子ども達同士の関係の違いによって選択されていることを示した。
  • 中里 克治, 下仲 順子, 本間 昭
    原稿種別: 本文
    1992 年 3 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 100歳老人の認知機能の特徴を明らかにすることであり, 東京都に在住している100歳以上の老人男女174名を対象とし, より若年の正常老人および大学病院の外来痴呆患者と比較した。認知機能の測定は長谷川の痴呆診査スケールを用いた。教育要因を統制しても, 女性での認知機能の低下は男性での低下よりも急速であり, これが年齢が高くなるほど認知機能の性差を大きくしている。教育要因も認知機能に有意に影響を及ぼしており, 教育が高いほど高齢になっても認知機能はよく保たれていた。100歳老人の中の痴呆老人の方が外来痴呆患者よりも認知機能の障害が大きかった。長谷川スケールの項目についての分析の結果, 項目により100歳の痴呆老人と外来患者の間で低下の仕方が異なっており, 両群の認知機能の低下に質的にも差が認められた。以上の結果は100歳老人の認知機能の低下は正常老化と異常老化の双方が関与していることを示唆している。
  • 井上 徳子, 日上 耕司, 松沢 哲郎
    原稿種別: 本文
    1992 年 3 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    チンパンジー乳児の愛着をStrange Situation法によって調べた。ビデオ録画による行動観察に加えて, チンパンジーの情動的反応を数量化するために心拍テレメトリーを使用した。被験体は生後2カ月目より人工哺育で育てられたメスのチンパンジー1頭であった。母親役は被験体と毎日1〜2時間の接触のあった男性 (ヒト) であった。またストレンジャー役は, 被験体にとってまったく未知の人物 (女性4名と男性3名) がおこなった。Strange Situation法は1週間間隔で7試行おこなわれた。母子分離前においては身体的移動, 対象操作などの探索行動が, 母子分離場面においては, 発声やロッキングなどの母親との接触を要求する愛着行動が, また母親との再会場面では母親との接触を維持する愛着行動が多くみられた。被験体は母親を安全基地として探索行動を続けることができた。また瞬時心拍数については, 母子が分離される際には急激に増加, 母親のいる場面では比較的低く安定するなど, 各エピソードとの間に明瞭な対応関係が見られた。これらの結果よりStrange Situationにおけるチンパンジー乳児の愛着はヒト乳児のそれと極めて類似していることが明らかにされた。
  • 鈴木 伸子, 松田 文子
    原稿種別: 本文
    1992 年 3 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 低コスト, 中コスト, 高コストという3つのタイプの寄付行動を示す3種類のモデルが2年生, 3年生児童の寄付行動に及ぼす効果を検討することであった。また別に統制群として寄付行動を示さないモデルが用意された。最初, 被験児は, VTRに録画されたこれら4つの種類のモデルの中の1つを観察した。その後, 被験児はひとつのゲームをし, 5枚のコインを獲得した。最後に, 被験児は自分のコインをかわいそうな子どもたちのために寄付するよう求められた。次に主な結果を示す。 (a) 高コストモデルの観察は, もっとも強く被験児の寄付を促進させたが, このように非常に高い自己犠牲的な行動を模倣することは何人かの被験児にとってかなり困難であるように思われた。 (b) 中コストモデルは被験児に模倣されやすかった。 (c) 低コストモデルもまた槙倣されやすかった。しかし, コインの平均寄付枚数は統制群のそれよりもわずかに少なかった。 (d) 被験児はモデルからモデルの寄付行動の原理を学習をしたと思われた。
  • 無藤 隆, 遠藤 めぐみ, 坂田 理恵, 武重 仁子
    原稿種別: 本文
    1992 年 3 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究では, 幼児における自分の名前および友だちの名前とかな文字の読みの獲得の関係を調べた。60人の3・4歳児が, 自分の名前, クラスの友だちの名前, およびかな文字の読みを, 8カ月の間隔を開けて縦断的に2回テストされた。その結果, 名前の読みとかなの読みの獲得の関係には個人差があり, 以下の3つの特徴的なタイプがあることが見いだされた。第1に, 個々のかな文宇は読めても, 読めるかなからなる自分の名前が読めない子どもがわずかにいた。第2に, 名前を構成するかな文宇をすべては読めなくても, 自分の名前は読める子どもがいた。第3に, 自分の名前を姓から続けて読み, しかも友だちの名前についてはそうしない子どもがいた。このタイプは, 個々のかな文字の読みを獲得する以前に, 自分の名前を自分を指す一まとまりの記号として同定することを学んだと思われる。
  • 高木 和子
    原稿種別: 本文
    1992 年 3 巻 1 号 p. 43-44
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
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