本研究では, 幼児における自分の名前および友だちの名前とかな文字の読みの獲得の関係を調べた。60人の3・4歳児が, 自分の名前, クラスの友だちの名前, およびかな文字の読みを, 8カ月の間隔を開けて縦断的に2回テストされた。その結果, 名前の読みとかなの読みの獲得の関係には個人差があり, 以下の3つの特徴的なタイプがあることが見いだされた。第1に, 個々のかな文宇は読めても, 読めるかなからなる自分の名前が読めない子どもがわずかにいた。第2に, 名前を構成するかな文宇をすべては読めなくても, 自分の名前は読める子どもがいた。第3に, 自分の名前を姓から続けて読み, しかも友だちの名前についてはそうしない子どもがいた。このタイプは, 個々のかな文字の読みを獲得する以前に, 自分の名前を自分を指す一まとまりの記号として同定することを学んだと思われる。
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