ワーキングメモリ(WM)は,国語(読み書き),算数(数学)などの学習を支えており,発達障害や学習遅滞の児童生徒の多くがWMに問題を抱えている。WMテストを児童に集団で実施し,WMに問題を抱える児童生徒を早期に見いだし,介入を行うことが重要である。そこで,本研究では,児童生徒がコンピュータで自律的に,集団で実施出来るWMテストを作成した。本研究で作成したWMテストは,言語的短期記憶,言語性WM,視空間的短期記憶,視空間性WMの各2課題,合計8課題から成る。8課題の成績は,WMテストとして市販されているAWMA(Alloway, 2007)やWM行動尺度(Alloway, Gathercole, & Kirkwood, 2008)の評定値と高い相関を示した。作成したWMテストを児童生徒に実施し,データ構造を分析した結果,Central因子を仮定するモデルは適合せず,Verbal因子とVisual因子のから成るWMモデルが示唆された。本研究で作成したWMテストは,中央実行系の働きを強く反映していることが示唆された。
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