発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
5 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 高橋 登, 杉岡 津岐子
    原稿種別: 本文
    1994 年 5 巻 2 号 p. 111-122
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    幼児の物語理解の発達過程を明らかにするために, 2つの簡単なアニメーションの物語を自作し, 子ども達に呈示した。一方の物語は類似したエピソードが繰り返されるものであったのに対し, 他方はそれぞれのエピソードは類似していないという点で繰り返しの構造はあいまいなものであった。実験lでは, 2-4歳の被験児に対して物語を呈示し, 直後再生を行わせた。その結果, 類似したエピソードが繰り返される物語の方が再生率は高いこと, 低い年齢の被験児では再生率は低く, そのかわり様々な誤反応が見られることが示された。こうした誤反応は, 直前の場面からの誤った類推であるとか, 手掛りとして示された絵からの連想によるものであると考えられた。実験2では, 子どもの再生が出来事の間の因果的な関係の理解に基づいたものなのか, それとも記憶に残っている個々のエピソードを断片的に語っているに過ぎないのかを区別するため, 再生の際に出来事の間の因果的な関係が正確に述べられているかどうかを判定基準として, 2-5歳児に対して同様の手続きで実験を行った。その結果, 2歳児群ではいずれの物語でもこの基準を満たす再生を行った者はほとんどいなかったが, 3-4歳児群では繰り返しの構造の明確な物語でこの基準を満たす再生が多かった。また, 5歳児群ではいずれの物語でも正確な再生を行っていた。
  • 氏家 達夫, 高濱 裕子
    原稿種別: 本文
    1994 年 5 巻 2 号 p. 123-136
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本論は, 3人の母親の子ども誕生後の苦悩とその解消プロセスを2年間にわたって追跡し, 数回にわたる面接調査を行い記述分析したものである。彼女たちの問題は, ものごとのよくない側面に選択的に注目し, その結果問題を過大視するという悪循環の中で生み出され, 問題解決はものごとのよい側面に注日するにつれポジティブで報酬的なトランザクションが生まれることでもたらされたと解釈された。ものごとの見方の変化が起こるきっかけと問題解決のプロセスはそれぞれに特異であったが, いくつかの共通性もみられた。変化のきっかけが必ずしも本人の努力の成果だったわけではなく, 彼女たちの統制外のできごとであった ; きっかけになったできごとの結末は意外であり報酬的であった ; 彼女たちは強い閉塞状態におかれていたが, それがものの見方の変化や適合のよいトランザクションがむしろ起こりやすい状況を作り出していたと解釈された。問題解消のプロセスで, 夫や子どもとの相互性や親密性が高まることが示され, 成人発達の例を提供すると考えられた。
  • 倉持 清美
    原稿種別: 本文
    1994 年 5 巻 2 号 p. 137-144
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究では, 仲間入り行動を「遊び集団への参加」と「遊び集団への統合」と二つに分けて分析した。34人の顔なじみの就学前児を仲の良い子同士で3人ずつのグループに分け, その3人の中の1人が, 他の2人が遊んでいるところに仲間入りする場面をビデオにとった。その場面を前半と後半に分けて分析した。遊び集団側と仲間入り側を比較すると, 前半において, 遊び集団側は, 情報付与が仲間入り側より多く, 仲間入り側は, 情報収集がより多かった。後半では立場による差はみられなかった。前半と後半を比較すると, 遊び集団側では前半でより情報付与をしがちであり, 仲間入り側では前半でより情報収集しがちであった。これらの結果は, 仲間入りが遊び集団への参加だけで終わっているのではなく, 参加後の統合過程が, 遊び集団側と仲間入り側の各々の立場に応じた方法で展開していることを示す。このことから, 仲間入りの成立を仲間入りの方略からだけでなく, 遊び集団への統合過程からも分析する必要性について考察した。
  • 杉村 智子, 原野 明子, 吉本 史, 北川 宇子
    原稿種別: 本文
    1994 年 5 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    4, 5歳児が, サンタクロース, おばけ, アンパンマン (TVアニメのキヤラクター) といった日常的な想像物に対してどのような理解をしているかについて, 次のような方法で調べた。"サンタクロースと会ったことがありますか", "サンタクロースと会うことができると思いますか"などの行動感覚的基準による判断を求め, さらにその判断の基準をインタピュー形式で尋ねた。主な結果は次の通りである。 (1) 大部分の子どもはサンタクロースのような目常的な想像物が実在すると考えている, (2) 4歳児の判断の基準が実際の経験に基づくものであるのに対して, 5歳児の判断の基準は想像や推測に基づいている。
  • 江尻 桂子
    原稿種別: 本文
    1994 年 5 巻 2 号 p. 154-164
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    「これまでにない新しいもの」とは, 様々な既有知識を組み合わせることによって産み出される。では, この「知識の組み合わせ」とは, いつ頃からできるようになるのか。また, これを外的な援助によって促すことができるのか。以上の問題意識のもとに本研究は, 「この世に存在しないX (人間・家) を描く」という課題を用いて, 子どもの想像画の発達的変化と教示による効果について検討した。実験Iは, 幼児・小3・小5, 各45名を次の3条件に分けて行った。課題遂行前に「存在しないX」の例を言語的に与える (ヒント群) , 言語的かつ視覚的に与える (見本群〉, 何も与えない〈統制群) である。分析は, まず各絵について, どのような方略を使用してXを描いているかを判定した (e.g. 顔が三角形の人間→「要素の形の変化」) 。そして, 各方略の出現頻度を年齢, 条件ごとに比較した。その結果, 1. ヒント群, 見本群は統制群に比ベ, 高度な方略の使用が多くなること, 2. これらの条件下では, 幼児でも「組み合わせ」方略 (異なる概念カテゴリーを組み合わせてXを描く) を使用できること, 3. ただし, 幼児の行う組み合わせは微細で部分的なものが多く, 小3, 小5のように大幅で全体的なものではないことが明らかになった。実験IIでは, こうした教示による効果が持続するかどうかを検討するため, 幼児37名を対象に, 教示前, 教示直後, 1週間後の反応を調べた。教示を与えた群は, 教示直後, 1週間後, いずれにおいても統制群に比べて成績が高く, 効果の持続が確かめられた。
  • 藤永 保
    原稿種別: 本文
    1994 年 5 巻 2 号 p. 165-166
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 荘厳 舜哉
    原稿種別: 本文
    1994 年 5 巻 2 号 p. 167-168
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
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