他者との関わりが不可欠なピー玉獲得課題を用い, 社会的相互交渉の活動を通して自己・他者・対象の三項関係が成立し, 目標志向的な社会的行動へと統合される過程を, 遊び方略の変化として検討した。被験児は同性, 同年齢の2人1組で, 低年齢群(3:7-5:6), 中年齢群(5:7-7:6), 高年齢群(7:7-9:6)の各28組, 計84組であり, 10試行2セッションのゲーム過程はすべてVTRに記録され, 所定のカテゴリにより分析した。ピー玉獲得数は低年齢群に多く, 中年齢群では一且減少し, 高年齢群では第2セッションで増加する傾向がみられ, 『順番』に関する行動が獲得数に関わっていること, 『順番』に関する行動は, やり方やルールの提案により効果的となることが明らかにされた。相互交渉は, 僅少, 一方的なものが相互的になり, 認知・行動面及び感情の表出においても発達的特徴が明らかにされた。これらの認知的, 社会的, 情緒的な総体としての社会的行動を特徴づける発達的概念として遊び方略を定義し, 3つの発達水準を恭順獲得方略, 個人獲得方略, 相互的競争方略と互恵的獲得方略として, 発達的特徴を明らかにした。
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