本稿では, 補償型手動制御出力は入力成分とシステム成分から成ると考える. ここに前者は被験者の入力モデルに従って行われる時間的に連続な成分であり, 後者は偏差に応じて動作する不連続な成分であるが, これらの成分特性を明らかにするために, 人の制御出力と, 偏差を零に維持することのできる理想操作量との比較を行って, 制御出力を2つの相に分割した. そして, これらの成分と習熟度, 制御対象, 目標入力の速さとの間の定量的な関係を得る実験を行った結果, 次のことが明らかになった.
(1) 未習熟者の場合には, システム成分が支配的であるが, 習熟すると入力成分のほうが支配的になる.
(2) 入力成分は理想操作量に近い波形となるが, その精度は制御対象や目標入力周波数によって異なる.
(3) システム成分も入力成分の不十分さを補うことができるように, 制御対象や目標入力周波数に従った特性を示す.
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