人間工学
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25 巻, 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 小松原 明哲
    1989 年 25 巻 5 号 p. 261-270
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    木構造型メニュー選択システムの階層の深さとメニューの広がりの使いやすさについて, 習熟との関係において検討した. 階層通過の際のユーザの行動をモデル化し, 階層通過時間の内訳を“視覚探索時間”“判断時間”“オペレーション時間”に分け, これらの各時間の評価指標を情報理論などを参考に設定したうえで, 習熟とともにこれらがどのように変化するか考察し, 深さと広がりについて解析的に知見を得た. 次に, この知見を検証するために実験を行った. その結果, 深い階層構造であると探索時間がかかることなどが確認された. また, 上位階層メニュー項目のネーミングは表象として作用することから, 使いやすさに大きな影響を与えることも明らかとなり, これらをもとに使いやすさの観点から木構造型メニュー選択システムの深さと広がりの設計方法について検討した.
  • 窪田 悟
    1989 年 25 巻 5 号 p. 271-276
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    CRTディスプレイの表示極性, 輝度コントラストおよび文字の線幅が, 文字検索作業のパフォーマンスと文字の読み取りやすさの主観評価に及ぼす影響について検討した. 主な結果は以下のようにまとめられる. (1)文字の線幅の最適値は, 半値幅 (発光分布の最大振幅の1/2における幅) で示すと, 陽画表示のほうが陰画表示よりも広い. (2)陰画表示では, コントラストが低い場合は文字の線幅を広めにし, コントラストが高い場合は文字の線幅を狭めにしたほうが視認性がよい. 陽画表示ではこの傾向は認められない. (3)コントラストが適正な範囲内にない場合は, 陽画表示のほうが陰画表示よりも視認性がよい. (4)適正なコントラストが確保された条件下では, 表示極性および文字の線幅が視認性に及ぼす影響はきわめて小さい.
  • 小松原 明哲, 横溝 克巳
    1989 年 25 巻 5 号 p. 277-286
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    ユーザインターフェイス設計の基礎研究として, 人間の短期記憶保持による負担をパーソナルコンピュータを用いた実験により検討した. まず短期記憶の保持方略と負担との関係について検討した. 計算偶奇判定作業を被験者に行わせた結果, 課題内容を積極的に解釈しつつ保持する場合のほうが, 課題を単にリハーサルしている場合より, 心理的負担が少なく, パフォーマンスも良好であった. 次に短期記憶の保持量と負担との関係について, 数列の短期記憶保持実験を行った結果, 完全な短期記憶再生を期待できるのは5チャンクまでであり, 5チャンクを超えると完全な再生が期待できないばかりでなく, 心理的・精神的負担が高まることが明らかとなった. 5チャンク以下でも負担は均一ではなく, チャンク数の増加とともに負担が高まることも明らかとなった.
  • 山下 利之, 山口 忍
    1989 年 25 巻 5 号 p. 287-292
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    マイクロコンピュータの発達により, コンピュータディスプレイ上にグラフで表示されたデータから種々の判断を要求されることがますます多くなった. したがって, ディスプレイの表示形式が人間の判断にいかに影響を及ぼすかを明らかにすることは, きわめて今日的な課題といえよう. 本研究では, ディスプレイ上に散布図で表示されたデータの相関関係の知覚的判断に, データ数と回帰直線の有無が与える効果を調べるために2つの実験が行われた. その主要な結果は以下のようである. (1) 2変数間にある程度の相関関係がある場合には, データ数が多いほど人間の判断が実際の相関係数の値に近くなった. (2)散布図における回帰直線の表示は, 被験者の相関の知覚に有意なバイアスをもたらさなかった.
  • 村田 厚生, 三宅 晋司
    1989 年 25 巻 5 号 p. 293-299
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本論文では, アーム型ロボットをマニピュレータとして用いたマニピュレーション作業の習熟過程における特性を検討した. まず, 信頼限界を考慮した対数回帰モデルによって習熟現象のモデル化を試み, このモデルに基づいて, 習熟過程における諸特性値 (習熟率P, タスクの達成回数Nmax, 初期信頼区間ls, 最終信頼区間lf, 初期習熟曲線値ms, 最終習熟曲線mf, ばらつき比率ls/lf) の関係を明らかにした. また, 習熟効果とパフォーマンスの関連性についても言及した. その結果, ばらつき比率ls/lfと習熟率Pとの間に強い正の相関関係があること, 初期信頼区間lsと最終信頼区間lfの間にも有意な正の相関関係があることが明らかになった. さらに, 習熟効果とパフォーマンス, すなわち最終的な成績との間には有意な相関は認められなかった.
  • 小林 哲生
    1989 年 25 巻 5 号 p. 301-308
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    左右の眼に異なる図形刺激を呈示したときに生ずる両眼視野闘争過程に関し心理物理実験を行った. 一方の眼の中心視への刺激が減少し, 他の眼への刺激が変化しない場合, 刺激が減少したほうの眼の平均優位期間, 分散, 優位度は減少し, 逆に他の眼の平均優位期間, 分散, 優位度は増加するという結果を得た. また, 左右の眼の優位期間の頻度分布がほぼガンマ分布と一致することも確認された. そこで, これらの結果を説明するため時間的加重も考慮に入れたニューロンモデルを基本素子とする視野闘争のモデルを考え, 計算機シミュレーションによりモデルの妥当性の検討, すなわち視野闘争過程の生ずる機構の説明を試みた.
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