人間工学
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27 巻, 1 号
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  • 1/fゆらぎの音圧変動をもつ擬似エアコンノイズの生体影響
    三宅 晋司, 神代 雅晴
    1991 年 27 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    音圧が1/fで変動する騒音と定常音圧の騒音の生体影響を比較した. 10名の男子大学生にLeq 85dB(A) で60分間騒音を曝露し, 曝露前後のそれぞれ5分間を含む計70分間の脳波と心電図を記録し, そのうち, 曝露後を除く65分間の脳波の各周波数成分と心電図R-R間隔変動のスペクトルの傾きを算出した. 騒音曝露前に比べ, 騒音曝露中で脳波の徐波化, 心拍の減少, および心電図R-R間隔のスペクトルの傾きの急峻化などが認められたが, 刺激条件間では有意差は認められなかった. また, 曝露音に対する主観反応では, ゆらぎ条件に対する不快感の訴え数が多いものの, 有意差はなかった. 1/fゆらぎ騒音のほうがやや不快であることがうかがわれたが, 定常騒音との間に有意差は認められなかった.
  • 江袋 林蔵
    1991 年 27 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本論文は, 音声入力性能に影響を与えるといわれている類似単語対や人の発声に関して, 音声の認識誤りに関した音声入力システムの性能評価法を提案するものである. まず, 相異度法による音声認識誤りの解析法のうち, 本論に必要な原理を説明し, S誤認識単語対の相異度座標上および相異度指標I上の分布を求める方法を説明した. 音声入力実験により得られたS誤認識単語対の詳細な解析を行い, ここでは特に類似単語の性質と人の発声による影響要因を認識誤りに関する側面から調べ, 音声入力の実用上の指針を得た. これにより, これまで内外においてブレイクスルーのひとつとされてきた, 定式化された評価法の一端を初めて与えることができた.
  • コマンド名の有意味度がパフォーマンスに及ぼす影響
    児玉 公信
    1991 年 27 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    日本語コマンドの習得性および処理効率について, ノービスユーザを使って実験的に調査した. この実験のためにコマンドによるロボット操作のパソコンゲームをつくり, コマンド名だけが異なるひらがなコマンドセット, すなわち (A) 動作を表す動詞, (B) 2文字の短縮形, (C) 有意味度の高い無意味綴り, (D) 低い無意味綴りを用意した. これらを異なる被験者に与えて, 課題を繰り返し解かせ, この過程で発生する事象の時刻を記録した. この結果, コマンドを入力するまでの平均潜時および平均コマンド入力時間は, A, BのほうがC, Dに比べ有意に速かった. このことから, コマンド名は有意味度の高いほうが, 習得性および処理効率において優れていることがわかった.
  • 鈴木 郁, 林 喜男
    1991 年 27 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    合成された日本語の5母音からなる無意味語の, 雑音下における検出能力および判別能力について調べた. これら能力の指標として, 無意味語の検出および判別を可能とするSN比を各々用いた. まず, 19~23歳の若年群および50~65歳の高齢群について, これらSN比を測定した. その結果, 判別能力に関して高齢群は若年群よりも平均+9dB程度のSN比を要したが, 検出能力に関しては同程度であった. 次に, 純音聴力および周波数選択能力の低下を模した条件を与えた若年群について, これらSN比を測定した. その結果より, 周波数選択能力の低下が, 高齢群にみられた判別能力の低下に関与していることが示唆された. 本稿では, 以上2つの実験結果より推察される加齢に伴う聴覚系の機能劣化についても述べる.
  • 杉本 洋介, 柴田 知己, 佐藤 陽彦
    1991 年 27 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本研究は, 健常者における手指触覚によるアルファベット文字およびドット数の知覚に, 左右差があるかどうか調べることを目的とした. 被験者は, 利き手調査票によって分けられた80人の完全な右手利きの男性と, それ以外の10人の男性であった. 刺激は, 能動的な手指動作によって左右いずれかの人さし指に与えられ, 被験者は感じたアルファベット文字あるいはドットの数を口頭で答えるように指示された. 実験の結果, 完全な右手利きのグループでは有意に左手の成績がよく, また左手の優位はアルファベット文字で顕著であった. それ以外のグループでは反対の傾向がみられた. これらの結果より, 完全な右手利きの被験者ではアルファベット文字は右大脳半球で形態として処理されることが示唆された.
  • 大迫 政浩, 西田 耕之助
    1991 年 27 巻 1 号 p. 43-55
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 臭気物質の濃度と知覚強度の間に成立する関係式として, におい分子の脂質層への吸着過程と, 脂質層内でのレセプター分子との結合過程, および嗅神経系内における応答の処理過程の3段階のプロセスを考慮した嗅覚方程式を誘導し, 新たに提案した.
    本式の適用性を実験的に検討した結果, Weber-Fechner 式および Stevens 式に比べて, 実測値との整合性が高いことが確認された. また, 本式への回帰係数と嗅閾値との間に相関があることが認められ, 嗅閾値が臭気物質の物理化学的特性から推定できれば, その物質の嗅覚方程式が予測できることが明らかとなった.
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