人間工学
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28 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 村田 厚生
    1992 年 28 巻 3 号 p. 107-117
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本論文では, ポインティング精度, 操作時間, 移動距離とターゲットの大きさの操作時間への影響, 心理的な使いやすさなどの観点から, マウス, トラックボール, ジョイスティック, ジョイカード, ライトペン, タッチスクリーンを比較・検討した. 操作時間に関しては, 直接型のほうが間接型よりも優れていたが, 精度に関しては, トラックボール, マウスが高い値を示した. 使いやすさの心理的評価に関しては, 全般的に直接型とマウスの評価が高かった. 直接型の場合には, 目と手の協調が容易なため操作時間は移動距離とターゲットの大きさの影響をほとんど受けず, 移動距離ごとに分類しなくても高い寄与率と低い標準誤差で困難度とポインティング時間の関係を表す Fitts の法則が成立した. 一方, 間接型に関しては, 移動距離の操作時間への影響は顕著ではなかったが, 直接型よりも目と手の協調が難しいことに起因してターゲットの大きさの操作時間への影響が現れたため, 移動距離ごとのほうが Fitts の法則への適合度は高かった. また, ターゲットの大きさの操作時間への影響の小ささの観点からはマウスが優れていた.
  • 岩崎 常人, 秋谷 忍, 井上 哲理, 野呂 影勇
    1992 年 28 巻 3 号 p. 119-124
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    調節安静位は, 交感・副交感神経の機能的な平衡状態を示し, 調節の成立に関しては, 安静位から遠点までは交感神経の働きが優位となり, 安静位から近点までは副交感神経の働きが強まるといわれている. 安静位を中心として, その前後において視覚負荷が与えられたときの, 調節への after-effect (残余効果) の違いについて実験的検討を行った. また, 同様に瞳孔の反応も観察した. 視距離0.4mと1mの条件での負荷後の変化は調節弛緩時間のみに現れ, 延長する傾向を認めた. しかし, 視距離3mでの負荷の後は弛緩時間には変化はみられず, 逆に調節緊張時間に著明な遅延が認められた. さらに, 近方刺激に対して調節応答量の差が上昇し, 過小な調節が行われるようになり, 縮瞳面積も増加した. 縮瞳時間に関しては各条件とも変化はなかった. 安静位を境として, それよりも遠方での負荷と近方での負荷の場合では, 調節と瞳孔に与える影響は異なり, 残余効果に違いを認めた.
  • 口ノ町 康夫, 児玉 廣之, 稗田 一郎
    1992 年 28 巻 3 号 p. 125-131
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    高齢化社会において, 高齢者や介護者が最も頭を悩ます問題のひとつである尿失禁を防止するための手法として, インピーダンス法による膀胱内尿量の非侵襲計測法について提案する. 下腹部のインピーダンス変化を4電極方式で30分ごとに5時間計測した. その結果, インピーダンスは時間経過とともに減少し, 排尿直後に急激に増加した. また, 電極配置が膀胱の真上に近いほど, 特に電流電極を膀胱を挟んで配置したときインピーダンス変化が大となった. 時間経過に伴うインピーダンスの減少は膀胱への尿の貯留に, 排尿後の基準線への復帰傾向は膀胱が空になったことに対応しており, インピーダンス法が膀胱内尿量センサとして有効であることが示唆された.
  • 江間 徹郎
    1992 年 28 巻 3 号 p. 133-140
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本論文はSTOL機の低速度着陸状態において, 手動操縦方法として知られているSTOL操縦手法を通常の操縦手法 (CTOL操縦手法) と比較し, 固定ベースのシミュレータによりバックサイドパラメータの広い範囲について, その操縦良否を実験的に考察したものである. 本報告では, 航空機の速度が少しでも抗力-速度曲線のバックサイドに入れば, 操縦桿の操作のみで高度変化をコントロールする場合, 操縦は困難になり, 操縦不能状態になる場合が多いが, スロットルの操作も加えて速度の変化を小さくするような方法をとれば, かなり深くバックサイド領域に入った場合でも操縦は可能になり, また, STOL操縦手法はスロットルの操作を必要とする操縦で, バックサイドの広い領域にわたり有効であることを示した.
  • インパルス間隔のゆらぎが果たす役割の検討
    小林 哲生
    1992 年 28 巻 3 号 p. 141-147
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    左右の眼に異なる図形刺激を呈示したときに生ずる両眼視野闘争過程において, 左右の優位期間を, 長さをもとに階級に分類し, 各階級に属する個数のヒストグラムを求めると, 経験的にガンマ分布とよく一致することが知られている. しかし現在のところ, なぜ一致するのかという明確な理由はわかっていない. そこで本研究では, 異なる方向を有する2本の直線間で生ずる視野闘争を説明するための神経回路モデルを用い, モデル内の競合する2つの異なる素子に入力されるインパルス列のゆらぎに注目してシミュレーションを行い, ガンマ分布への適合に, このゆらぎが果たす役割の検討を行った. その結果, 各ゆらぎのスペクトルが異なれば, 得られる優位期間のヒストグラムもそれに応じて変化するが, スペクトルが白色に近いほどヒストグラムのガンマ分布への適合度が高くなることが明らかとなった.
  • 辻 敏夫, 伊藤 宏司
    1992 年 28 巻 3 号 p. 149-157
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    人間の筋骨格系は運動学的に冗長であり, 作業空間での運動を実現するのに必要な自由度に比べて, 一般に多くの自由度を備えている. 本論文ではクランク回転作業を取り上げ, 人間がどのような評価のもとで, この冗長自由度を利用し, 自らの姿勢を選択しているかについて解析する. このクランク回転作業は, 手先位置の制御だけでなく手先力の制御も必要で, 3種類の制御モード (力制御モード, 速度制御モード, 位置制御モード) を含んでいる. 実験の結果, 被験者は各モードごとに異なる評価のもとで上肢姿勢を選択していることが明らかになった. 上肢姿勢を決定するための評価は, 作業空間で要求される作業内容, 筋や骨格の力学的な構造に基づいて選択されている.
  • 岡田 有策
    1992 年 28 巻 3 号 p. 159-165
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, システムの状態を目標の状態にできるかぎり早く変更させることを目的とした“状態変更型”の手動制御をON/OFF2接点型の操作器具によって行う場合の人間の操作特性を探った.
    作業者の制御動作を観察したところ, 操作を進めていく過程でストラテジーを“移動”を目的としたものから“調整”を目的としたものに変化させていることがつかめた. そこで, このストラテジーを変化させるときの状態パラメータに注目した. 特に“移動”戦略を終了した時点で制御量を最終目標点に到達させるために操作器具をON状態にしなければならない時間の総計τのモデル化を試みたところ, この作業における人間の行動を明確に表現することができた.
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