本研究では, 航空自衛隊操縦者を対象に, 模擬飛行 (FS) と実機飛行 (AC) という操縦環境条件差が, 緊張度, 疲労度, 難易度の主観評価次元においてどのような差をもたらすかを主成分分析によって検討した. その結果, (1) 模擬飛行時の緊張度評価 (FS緊張度) と実機操縦時のそれ (AC緊張度) とは異なる評価次元を有すること, (2) 疲労度に関し, 両操縦環境条件差を説明する重要な評価次元は身体的疲労であるが, 精神機能の動員の程度 (消耗度) も評価に大きく関与すること, (3) FS疲労度評価とAC疲労度評価から抽出される因子は同一であるため, FS疲労度はAC疲労度の代替性を有すること, (4) 両操縦条件下での難易度と疲労度とは, 相互に異なる評価因子をもつこと, (5) AC緊張度とAC難易度から抽出される因子は同一で, 両者間の因果関係を示唆していること, の諸点が明らかとなった.
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