自動化が進むプラントにおいても, 自動制御器が不調になった場合には人間が介入して制御しなくてはならない. そういった作業の多くは“システムを現在の状態とは異なった状態に切り替える”状態変更型の形態をとる. 状態変更型作業における人間の制御特性に関しては, すでにいくつかを明らかにしたが, 本研究では特に調整段階での特性に着目し, そのモデル化を図った. 調整段階では, ON/OFF2接点型の操作器具を数回細かに切り替えるという形態をとる. そこで, 切替操作1回当たりの操作器具をON状態に維持する時間 (τ
step), および切替回数 (N) を調べた. その結果, 時定数やゲインなどの要因によらず, τ
stepは約0.075秒であった. 一方, 切替回数は時定数やゲインの大きさによって変動するが, これは視覚上の誤差の結果として生じるもので, 作業者が基本的に想定している切替回数は実験要因によらずほぼ4回であることが得られた. このように, 調整作業に関する人間のストラテジーは, 実験条件にほとんど影響されないことがわかった.
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