人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
31 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 文字列との比較
    福田 亮子, 福田 忠彦
    1995 年 31 巻 3 号 p. 179-189
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    楽譜は音符や休符が集まってフレーズを構成し, そのフレーズが集まって一曲の楽譜になるというように階層構造をなしているが, このような構造は文章の構造と類似している. 本研究では楽譜の視覚的情報処理単位を明らかにし, 文字列の場合と比較することを目的とした. アイカメラを用いた注視点分析により, 要素分解した楽譜と文字列の情報受容単位を計測し, 検討した結果, (1) 1注視点当たりの記号の数は, ランダムな音符列で1個前後, メロディのある楽譜で約3個となるのに対し, ランダム文字列では約2個, 文章では8個以上となる, (2) 1注視点当たりの情報量は, ランダムな音符列で約6.5ビット, 楽譜で約19ビット, ランダム文字列で約11ビット, 文章で約62ビットに達する, (3) 音符列・楽譜の場合も文字列・文章の場合も, 上記のような階層構造に従い, まとまりが大きくなるほど1回の注視で受容する情報量が増加することが数値的に示された.
  • その1 砂の紫外反射
    川西 利昌, 渡邊 直彦, 門松 弘展
    1995 年 31 巻 3 号 p. 191-196
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    近年, 沿岸域開発や人間の生活環境の変化に伴い, 沿岸域付近での活動の機会が増えている. そして海浜で遊ぶ人々は多量の紫外放射を浴びる. 沿岸域では海面や砂面で反射する紫外放射が加わるため, 紫外放射の影響はかなり大きいといわれている. 紫外放射の増加は, 皮膚への紅斑現象, 色素沈着, 眼の角膜や結膜に障害を与える紫外線眼炎などを引き起こす原因となっている. 本報告では, 砂の反射率とその組成の関係を調べるため紫外放射の砂による反射を計測し, 紫外反射率と明度の関係を明らかにすることを目的とした. その結果, 紫外放射の砂による反射率は5~31%程度であり, 砂の明度によって分類できることがわかった. また, 砂の明度が高くなると紫外反射率も高くなることが明らかになった.
  • 福田 康明, 大久保 堯夫
    1995 年 31 巻 3 号 p. 197-204
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    作業の習熟過程における個別時間のばらつきを定量的に把握し, 作業者の習熟状態を達成度Qによって評価できる手法を適用し, 同一作業を一定期間 (6日間) 継続して訓練する場合にみられる習熟の遂行度の転移状態を評価するために, 実験作業によって次の事項を考察した. (1) 傾向式と達成度Qを適用し, 習熟の遂行度の転移状態を各被験者ごとに数値解析した. (2) 傾向式の各パラメータは, 習熟 (作業日数) の増加に伴って低減する. (3) 変動率δと傾向指数bから習熟の転移状態を達成度Qで評価できるモデル図を提示した. (4) 習熟の遂行度の転移状態を達成度Qで評価すれば, 習熟の増加に従ってQの値は増加する.
  • 小泉 俊雄, 竹本 篤郎
    1995 年 31 巻 3 号 p. 205-213
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本論文は, 写真測量の理論を用いて, 核線と被写体の表面に投影されている曲線とを利用して, その被写体の3次元測定を行う方法を研究したものである. まず, 解析理論を構築し, 次にその理論に基づき実験を行った. 実験は, 石膏像をVTRカメラで撮影し, そのデジタル画像から石膏像の3次元測定を行った. 実験の結果から, 構築した解析理論が有効であることがわかった.
  • 休憩時間の長さの検討において
    吉村 勲, 友田 泰行
    1995 年 31 巻 3 号 p. 215-223
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    産業疲労の評価は, 標準得点化した生理的機能, 作業能, および自覚症状の3側面を総合化することで, 疲労判定の可能性がより高まるとされる. 本論は, 照合および検索を組み合わせたVDT作業のもとで, 休憩時間の長さを3側面の総合化法により検証し, さらに, それらのデータの定量的集約化による, 疲労判定のための相対的尺度の試算を行った. その結果, 一連続作業時間50分に対し, 休憩時間の長さ5分, 10分, 15分, 20分, 25分を挿入した5つの編成の試行では, 休憩時間の長さ15分での作業実施が適正なものと推察された. さらに, それらのデータによる相対的尺度値 (疲労度と定義) の試算結果は, 総合化法に比較し, 時系列および作業編成間での疲労の程度の判定が, より有効であることが示唆された.
  • 西 修二, 大久保 堯夫
    1995 年 31 巻 3 号 p. 225-233
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 航空機操縦者8名のフライトシミュレータ操縦時の視線移動を測定し, 飛行課目間での視線移動の違いと, シミュレータによる飛行と実際の航空機による飛行 (以後, 実機と表記) を比較した主観的緊張度, 飛行課目実施時の主観的余裕度, 疲労度, 難易度, そして心拍数が, 視線移動とどのような関係にあるかを分析評価した. 実験の結果, 次の知見が得られた. (1) 視線停留時間の平均値には, 最短視線停留時間との間に差が認められなかった. (2) 計器停留時間には, 飛行課目間の差が認められなかった. (3) 視覚情報の入手を計器に依存し, 視線移動速度の小さい飛行では, 実機と比較して主観的緊張度, 疲労度, 難易度, 心拍数が小さくなった. (4) 飛行中の視線移動速度が速いほど, 疲労度, 難易度, 心拍数が高くなった. (5) 外部視界停留時間の短く計器停留時間の長い飛行では, 実機と比較した緊張度が小さくなった. (6) シミュレータの着陸では, 実機と比較して計器停留時間率が大きくなった.
  • 固形・ゲル・液体と嗜好性との関係
    堀尾 強, 河村 洋二郎
    1995 年 31 巻 3 号 p. 235-241
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    液体, ゲル, 固形の3種類の性状の食品について, それら食品の味と嗜好性との関係を男女大学生を対象に一対比較法を用いて調べた. 実験1では, 塩化ナトリウムとショ糖について最も好ましい液体濃度はそれぞれ0.59%, 3.96%であった. この濃度についてゼラチン2.58%を加えて液体, ゲル, 固形の3種類をつくり, 嗜好性を調べた. 塩化ナトリウム, ショ糖ともに固形が最も好まれる傾向があった. 実験2では, 固形試料と液体試料を感覚的等価濃度にして比較したところ, 塩化ナトリウム, ショ糖ともに固形が好まれた. 実験3では, 試料にグルタミン酸ナトリウム (Monosodium Glutamate: MSG) を加えると, 液体試料, ゲル状試料, 固形試料では, 塩化ナトリウムは固形試料が最も好まれたが, ショ糖はゲル状試料が最も好まれた. 実験4では, 塩化ナトリウム+MSG, ショ糖+MSGについて, 最も好まれた性状と基準となる液体試料を感覚的等価濃度にして嗜好性を調べた. 塩化ナトリウム+MSGは固形試料と液体試料の好みにほとんど違いがなくなり, ショ糖+MSGでは液体試料よりゲル状試料が好まれた.
    以上より, 液体試料, ゲル状試料, 固形試料の間では塩化ナトリウム, ショ糖とも単独の味では固形試料が好まれる傾向があったが, これらにMSGを加えると好みの性状が異なる傾向がみられ, 食品の物理的性状と嗜好性の関係には, 味質やその濃度が強く関与することが示唆された.
  • 森川 治
    1995 年 31 巻 3 号 p. 243-252
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    以前, NEC PC-9800シリーズ (以後, PC 98と略) 上のMS-DOS環境で一般的に使用できる応答時間の制御・計測を可能にする常駐システムを作成した. このシステムでは, ユーザに開放されているタイマー割り込みを使用して, キーボードのキーが押されたとき, 離されたとき, ディスクが作動したとき, ディスプレイの画面が書き換わったときなどに, 事象の種類と生起時刻を記録する. MS-DOSやBIOSレベルで扱われる情報よりもっと低レベルの生の情報を扱うため, システム本体はPC 98のハードウエア依存性が高く, 別のパーソナルコンピュータ上では動作しない. 一方, 海外ではIBM互換機用のプログラムが広く普及しており, これらに対しても同様な記録をとる必要性が生じた. そこでPC 98およびIBM互換機で共通に使用でき, 従来のシステムとの互換性を考慮した新システムを作成した. 本システムにより, 共通仕様の打鍵データが記録できるだけでなく, 刺激時間や反応時間を駆使した人間工学関連の実験も可能になった.
  • 斉藤 進
    1995 年 31 巻 3 号 p. 253
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
feedback
Top