人間工学
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31 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 小松原 明哲, 小林 雅幸
    1995 年 31 巻 4 号 p. 259-267
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    ある一定手順で操作しなくてはならない対話型システムでは,“使用手順がわかりにくい”など, 操作手順に関する使いにくさが訴えられる場合がある. これはシステムのユーザインタフェースに不備があり, システムモデルがユーザにうまく伝わらないため, ユーザが「意図形成-実行-評価」サイクルを正しく回せないためであると考えられる. このサイクルを円滑に回すためのユーザインタフェースが整っているかを, 設計段階, あるいは試作段階でユーザテストすることなく評価するための方法として, 本研究では「意図形成-実行-評価」解析 (PDS解析) を提案した. 提案した解析方法をパーソナルファックスに適用した. 次に実際にユーザテストを行い, 誤操作を解析したところ, PDS解析で予測された問題点は, ほぼすべて実際にも観察された. しかし, PDS解析では逆順操作など, 手順の並べ方それ自身に関わる問題点まで予測することはできず, この点に評価法としての限界があるものと思われた.
  • 井上 さくら
    1995 年 31 巻 4 号 p. 269-276
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    ダイヤル操作で水温を一定に保つ手動制御課題において, 制御者に与えるフィードバック情報と制御行動との関係を明らかにすることを目的とした. 実験では4群に分けた制御者に対し, それぞれ種類の異なるフィードバック情報を与えた. すなわち, アナログあるいはデジタル表示の水温情報を速やかに, または約2分遅延して呈示した. 誤差量, 操作量, 情報を得る回数をそれぞれ解析した結果, 以下のことが示唆された. 習熟の進展に伴い, 制御者が必要とする情報の内容は, システムの動作特性を理解するための情報から, その時点のシステムの状態を知るための情報へと変わること, またアナログ・デジタル表示というフィードバック情報の内容に応じて採択する操作方略が異なることが明らかとなった. 最後に, 制御行動に関するメンタルモデルを階層構造という観点でとらえ, 制御という上位の機構の概念を想定すると, 目標設定や習熟の仕方の違いなどが説明されることを提案した.
  • 李 傳房, 勝浦 哲夫, 原田 一, 菊池 安行
    1995 年 31 巻 4 号 p. 277-285
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 掌握作業により7つの生理的指標および疲労感を測定した. これらのデータを用いてニーラルネットワーク (以下, NNと略) に学習させ, 生理的指標により疲労感を推定し, 検討した. NNの入力層のユニットは7個 (生理的指標), 出力層のユニットは1個 (疲労感) であった. 中間層は1層または2層とし, そのユニット数を変えて総合誤差が0.3, 0.2, 0.1以下になるまで学習させた. その後, 未学習パターンを用い, 学習ずみのNNを平均推定誤差により検討した. その結果, 構造を7×6×5×1として, 総合誤差が0.2以下になるまで学習させたネットワークは, 全体として平均推定誤差が最も小さいことが示された. また, ある誤差範囲内で測定値を推定できるので, 最大握力の10%を用いた掌握作業の疲労感の推定に, NNを適用できることが確認された.
  • 宇津木 成介, 竹内 由則
    1995 年 31 巻 4 号 p. 287-293
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    音声認識装置が音声を正しく認識しない場合, 発声者は自分の発声を変えて正しい認識結果を得ようとするであろう. 本研究においては, 誤認識の後で発声者の音声特徴が示す変化について調べた. 誤認識後の発声において, 音声の音圧は有意に上昇し, 発声時間は延長した. 音圧の変化には男女差が認められた. 男子のみが声の高さを変えるストラテジーを用いた. 統制条件下で同一単語が連続して発声される場合, 発声時間はやや延長したが, 音圧は変化しなかった. これらの知見は, 人間の音声を音声認識装置へのインプットとして考えるだけでなく, 音声認識装置とのインタラクションによって変化する人間のアウトプットとして考える必要のあることを示している. これらのデータは, 音声認識システムにおいては, 人間の音声活動と音声認識装置との相互作用を考慮すべきであることを示唆している.
  • 武田 正治, 林 喜男, 鈴木 郁
    1995 年 31 巻 4 号 p. 295-303
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 被験者を未熟練者と熟練者に, 測定法を極限法と調整法に区分し, CFF値の差, 変動, および測定時間について実験した. さらに, 調整法は2方向調整 (リニアとノンリニア) と1方向調整とし, 3つの方法を用いた. 実験は実験I, II, および実験III-1, III-2に区分して実施した. 実験Iの結果, 未熟練者18名において, CFF値および測定時間は2方向調整法 (リニア) で36.12Hz (9.37秒), 1方向調整法で35.13Hz (10.57秒), 極限法で32.23Hz (12.75秒) となり, 調整法と極限法の間には等分散で平均値に高度に有意な差が, また測定時間は分散, 平均値ともに高度に有意な差がみられた. 実験IIの結果, 9名の熟練者において, 2方向調整法で38.27Hz (12.63秒), 1方向調整法で37.64Hz (13.85秒), 極限法で34.90Hz (13.11秒) となり, 測定時間に差はみられなかったが, 実験Iと同様にCFF値は高度に有意な差がみられた. これらの成績から, 調整法の2方向調整がよいのではないかという結論が得られた. さらに, 実験III-1, III-2では2方向調整法のボリュームの変化率をノンリニアとし, CFF近傍 (35Hz) で細かな調整ができるようにシステムを変えて実験した. その結果, 未熟練者13名の平均CFF値は35.82Hz (11.61秒), 熟練者10名では37.79Hz (14.11秒) となった.
  • 山口 孝夫, 長澤 有恒
    1995 年 31 巻 4 号 p. 305-313
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    有人宇宙システム開発では, すべての人間工学的な技術要求を具体的な数値で表現できない場合が多い. 特に, 搭乗員の作業遂行能力などの人間-機械系パフォーマンスについては“過剰なワークロードを与えないこと”といった定性的な表現にならざるをえない. また, 無重力での人間-機械系パフォーマンス, 特に運動特性は, 地上とは全く異なる. このため, 無重力の影響を考慮しつつ, システムの妥当性を定量的な指標で評価することは, 人間工学を専門とする技術者にとって難しい作業である. 本資料は, これらの問題を考察し, 有人宇宙システムの人間工学的な設計の妥当性評価のあり方について, 以下の観点からまとめたものである. (1) 無重力での搭乗員の作業姿勢, (2) 有人宇宙システムの評価プロセス, (3) 地上で無重力を模擬して評価試験を行う方法, (4) 定量的な評価のための測度とその適用, (5) 軌道上において搭乗員のパフォーマンスに影響を及ぼす諸要因.
  • 山下 利之
    1995 年 31 巻 4 号 p. 315-317
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
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