人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
33 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 長谷川 徹也, 神代 雅晴
    1997 年 33 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    作業負担と作業成績の観点から, 短時間のデータ入力作業における休憩を配置する時点について検討するため, 休憩をしない条件, 10分間の休憩を作業開始後15分目だけに配置する条件, 30分目だけに配置する条件, そして45分目だけに配置する条件の計4条件を実験的に設定して比較・検討した. 実験では, 被験者に1桁の乗算をさせ, その解答の下1桁をキー入力させた. 作業時間は60分である.
    その結果, 休憩を配置することにより, 眼調節力の機能低下が少なく, 作業成績が向上した. 休憩を配置する時点は, 早期に挿入した条件が作業負担や作業成績の観点から他の条件に比べて良かった. さらに, 早期に休憩を配置した条件では, 休憩を等間隔に分散させて配置するよりも好ましいことが示唆された.
  • 岡田 有策
    1997 年 33 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    状態変更型の制御では, 制御量を短時間で変化させる移動と制御量を目標値に収束させる調整とがみられる. 本研究では, その制御上の特徴を考慮し, C/D比(Control/Display Ratio) の小さな移動に適した操作器具 (移動用操作器具) とC/D比の大きな調整に適した操作器具 (調整用操作器具) を併用した場合の制御特性を実験的に検討し, その併用を効果的にする方策の提案を行った.
    移動用操作器具による操作では, 移動に要する時間を短縮化するために, 時定数による制御量の変化の遅れをマイナスの操作量を入力することで排除する方法が採られていた. この操作方式は, 制御状態を悪化させることなく, 所要時間を短縮化できていた. しかし, 操作量が大きい場合には, このマイナスの操作量の入力が逆効果となり, 制御量が安定しづらくなることがわかった.
    調整用操作器具による制御では, 調整開始時点の偏差をほぼ0にするための制御量の移動的な変化とその後の微調整を行っていた. そのため, 操作量が大きいと, 微調整がうまくいかず, 逆に操作量が小さくなると, 偏差をほぼ0にするまでに要する時間が増大する傾向が観察された.
    これらの特性をもとに, 制御状態が揺らぐことなく, 迅速に制御目的を達成できる移動用/調整用操作器具に適用すべき操作量を提案した. この提案した操作量をもつ移動用/調整用操作器具による制御の場合, 操作器具一つによる制御結果に比較して, 制御状態が安定するまでの所要時間が軽減されていた. このように, 提案した移動用/調整用操作器具に対する操作量の有効性, および操作器具を移動用/調整用に分割することの妥当性が確認された.
  • 山口 剛, 吉田 直樹, 富田 豊, 本多 敏
    1997 年 33 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, 簡単な入力法で, 水平面内における肩, 肘, 手からなる多関節系を同時に電気刺激制御するシステムを作り, 評価した. システム中のコントローラは, 主コントローラとしてラグランジュモデルを, 微調整のためにニューラルネットワークモデルを用いた. 実験により両者のモデルを単独で用いたときよりも, 組み合わせたコントローラのほうが十分に正確な制御ができることを確認した. これらのモデルは患者個人に合わせて同定が可能である. 制御は目標点までの軌道に従って行われるため, 最適な軌道についても比較した. その結果, 関節角度変化が初期と後期に緩やかで中期に急な傾きを持つ, シグモイド軌道が最も正確に追従された. また, このシステムにおいては負荷を握る, 放す, 保持したまま移動させる, などの動作が可能であり, 患者自身が介助なしで行える動作の範囲を広げるものである.
  • 西川 向一, 長町 三生
    1997 年 33 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    温熱感に対する感性を構造化するためにイメージスライドを用いた感性計測実験を行った. 感性の計測は, さまざまな季節感を持つ21都市のイメージスライドを刺激として与え, SD法に基づくアンケート調査により行った. その結果, イメージスライドから得られた温熱感性は,“快適感”“温冷感”“乾湿感”“季節感”“風速感”の5つの温熱感性から構成されていることがわかった. イメージスライドに用いた各都市の因子得点をもとに, 温冷感と乾湿感を軸とした2次元の平面にプロットを行うとイメージスライドを選択する際に設定した初期条件とほぼ一致し, 今回の実験の有効性が明らかになった. また, 温熱感性の1つである快適感に関して, 再度因子分析を行い構造化を試みた. その結果, 快適感は“好み”“リラックス”“優しさ”“爽快さ”の4つの快適感から構成されていることがわかった.
  • (第1報) 上半身 (胴部) の必要計測項目について
    間壁 治子, 別府 美雪
    1997 年 33 巻 1 号 p. 35-46
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究は快適な衣服設計のための基礎システムを得ることを目的としている. 被験者は年齢20~22歳の若年女子674名であり, 身体測定を行い各自で胴部ベーシック・パターンを製図し試着補正をして, 補正済み胴部ベーシック・パターンを得た. 本報では上半身の21項目の身体計測値と補正済み胴部ベーシック・パターンの計測値27項目とについて主成分分析を行った.
    両者から得られた結果は, 1. サイズファクター, 2. シェイプファクター, 3. 肩形状と頸の関連性, 4. 肩の方向性の4因子であった.
    以上のことから上半身における必要計測項目は, 乳頭位胸囲, 前・後丈, 前・後肩丈, 脇丈, 頸付根囲, 後頸付根寸法, 肩幅, 胸肩幅, 前腋窩点幅, 背肩幅, 後腋窩点幅, 肩傾斜角度である. これらの計測項目が胴部ベーシック・パターン設計や, サイズ展開に用いられることにより, より快適な衣服が供給されるであろう.
  • 舩田 眞里子, 二宮 理憙, 椙目 健二, 直井 和之
    1997 年 33 巻 1 号 p. 47-56
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    メンタル・ストレスの客観的評価への応用などが検討されている事象関連電位は, 従来数十~数百に及ぶ刺激の加算平均処理により測定されているが, この方法では電位の経時的変化をとらえることができない. そこで本論文では, 個人差などの事前情報を必要としない単一刺激による測定法の提案を行い, パターン認識作業時の実際の脳波に適用し, 事象関連電位の経時的変化の特徴を明らかにした.
feedback
Top