人間工学
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34 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 遠藤 正樹, 藤垣 裕子
    1998 年 34 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    思考作業を対象としたメンタルワークロード測定の指針を得るため, 思考作業をタスク特性から分類することを試みた. Rasmussen のモデルを利用し思考作業を skill-based, rule-based, knowledge-based の3つのレベルに分類, この分類を用いてタスク特性を決定し performance を測定した. その結果, 時間ごとの performance は skill-based や rule-based では, ほぼ一定なのに対し, knowledge-based では, ばらつきが大きいことが示された. また performance の累積をグラフにすることによって, タスクの特徴を図示できた. 自覚症状調査では, 特に“ねむけ・だるさ”の成分で, タスク間に差がみられた. これらの結果は, 思考作業の分類のためのタスク特性分類の枠組みを示している. これらのタスク特性の分類は, 負担測定法選択の際の指針となることが期待される.
  • 石原 恵子, 長町 三生, 大崎 紘一, 石原 茂和, 辻 昭雄
    1998 年 34 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    市販の色セロファンを使った75歳相当の透過率をもつ眼鏡を用いて, 高齢化に伴う眼の水晶体の黄変化を模擬体験し, 高齢者の視界が日常生活にどのような影響を及ぼしうるかを調査した. 食事の場面・買い物・道路で調査した結果, (1) 色が変わってみえるだけでなく, (2) 色による区別がつきにくくなる, (3) 液体など不定形のものが知覚しにくい, (4) 立体感や奥行き感が減少する, (5) 光るものがみづらい, ことがわかつた. 具体的には, 食品の鮮度を誤認したり飲み物の種類や量がわかりにくい, 商品の区別が困難, 段差への対処が遅れるなどの生活上の困難があげられた. 色紙を用いた実際の高齢者による色の同異判断実験では, 黄と白, 青と緑, 濃青と黒, 紫と濃赤という, シミュレーションで誤認しそうな色の組み合わせに対して同じように誤認する高齢者がいることが確認され, ヒアリングでもシミュレーションであげられた困難に関連する事柄があげられた.
  • (第2報) 下半身の必要計測項目について
    別府 美雪, 間壁 治子
    1998 年 34 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究は第1報につづき, 第2報として下半身用の衣服設計のための必要計測項目の選定を行った.
    被計測者は, 年齢20~22歳の成人女子791名であり, 身体計測値23項目と, シルエッター写真上の計測により得られた22項目について主成分分析を行った.
    両者から得られた結果は, 1. サイズ, 2. 太り具合, 3. 姿勢, 4. 殿部形状, 5. 腰部と脚部の位置関係の5因子であった.
    以上の各主成分に高く負荷した計測項目より下半身における体型差をとらえるための必要計測項目は, ウエストサイズ, ヒップサイズ, 前・後・脇のウエストラインからヒップラインまでの距離股上前後長, 前股上長, ウエスト下がり寸法, ヒップ角, ヒップエッジであることがわかった.
  • 梅室 博行, 岩崎 桂, 圓川 隆夫
    1998 年 34 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    間接業務における効果的な情報付与の実現のためには, 情報の量的・質的な違いおよび, それらの生産性への影響を明らかにすることが重要である. 本研究では, 情報を業務における有効性から分類する方法を示す. すなわち, 情報は業務処理モデルに処理方法が陽に定義されている有効情報, 有効情報ではないが関連した情報を示す関連情報, それ以外の不要情報に分類される. さらに在庫管理の発注量決定業務をとりあげ, 付与する情報の組み合わせを変えた条件下で仮想的な業務を行う実験を行い, 情報の有効性と作業の質や効率との関係を検証した. その結果, 有効情報数を増加させるとコストが減少, 作業時間が増加する傾向があること, 関連情報, 不要情報は有効情報数が多い状況ではコストを増加させるが有効情報が少ない状況では作業時間を増加させることなどを明らかにした. また, コストの大きい作業者は関連情報, 不要情報を参照する回数が多いことなどを示した.
  • 篠田 晴男, 國分 三輝, 芳賀 繁
    1998 年 34 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    メンタルワークロードの計測には, 課題が要求するディマンドに着目する考えと, 残存効果ともいえる精神疲労に着目する考えがある. 我々は前者の考えを拡張し, 課題の困難度と時間の要因について, 副課題成績, 主観的負担度, 情緒的状態評価, 脳波および心拍などの生理指標を用いて反応パターンの検討を行った. 被験者は, 円形追跡トラッキング課題と記憶検索課題を組み合わせた二重課題を, 操作された低・中・高困難度の各条件ごとに1ブロックあたり約10分, 計3ブロック断続して遂行した. その結果, 困難度の増大に伴い, 主課題に対するTLX得点が増大し, かつ副課題に対するERPのP300振幅値が減少するという時間要因と独立した変化が確認された. 一方, 時間と困難度の複合的効果が, 低・中困難度の場合は, 覚醒感の低下, 高困難度の場合は, リラックス感の低下, いらつきや不快感の増大という主観的変化として観察された. なお疲労感は, 時間要因のみに従属して増大した. 今回の結果は, メンタルワークロードの測定において, 作業困難度と作業時間の要因を分けて考えることの必要性を裏付けるものである.
  • 福田 康明, 大久保 堯夫, 原 盛将
    1998 年 34 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究は, 作業内容や作業因子が異なる5種類の実験作業を行い, 中断期間の長さの変化と習熟の関係について実験作業によって考察した. 実験結果の解析には, 作業の習熟過程における個別時間のばらつきを変動率δでとらえ, 習熟の遂行度を達成度手法を適用し解析した. さらに, 中断習熟の関係を定量的に把握し, 評価することができる中断習熟の評価モデル図と諸係数を提案した.
    結果を要約すれば次のようになる. (1) 作業内容や作業因子が異なる5種類の作業について, 達成度手法によって中断習熟を解析した. (2) 達成度Qによって中断習熟の影響を作業内容別に評価すれば, 型盤作業と精神反応速度作業では, 中断期間の長さに伴って達成度Qの値は低値となる. しかし, ほかの作業では, 中断習熟の影響はみられなかった. (3) 作業因子別に中断習熟の影響を検討すれば, 形態知覚能力や精神反応能力などの作業では, 中断習熟に影響を及ぼすが, 手先や指先などの運動器用能力や巧緻性などの作業では影響はみられない. (4) 中断習熟の評価モデル図と諸係数を提案した.
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