本実験では, 単調作業が事象関連電位の一種である眼球停留関連電位へ及ぼす影響について検討した. 10名の被験者に, 5分のトラッキングと3分の主観評価からなるブロックを12回, 計96分間の単調な作業を課した. その作業前後に特定の刺激に対して眼を動かすサッケイド課題を課し, 眼球停留関連電位を求めた. 眼球停留関連電位は, サッケイド終了時点を基準にして脳波を加算平均することにより得られる. その結果, 時間経過に伴って, エラー数増大などの行動量と覚醒感, 集中感の低下, 倦怠感, 疲労感の増加などの主観量に変動が認められた. さらに, 単調作業前後のサッケイド課題時の眼球停留関連電位を比較した結果, 作業後には潜時が約100msの正の電位のピーク振幅の減少が認められた. 以上の結果から, VDT作業による精神作業負荷を評価する指標として眼球停留関連電位が有効であることが示唆された.
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