人間工学
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36 巻, 5 号
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  • 石橋 基範, 吉田 倫幸
    2000 年 36 巻 5 号 p. 229-237
    発行日: 2000/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, 反応時間の変動に伴って背景脳波にどのような特徴的変化が現れるか検討した. 実験では, 覚醒を積極的に低下させるための視覚刺激を5分間反復呈示した後に, 反応を要求する視覚刺激を15回繰り返し呈示するという, 一連の流れを4セッション繰り返した. α波が明瞭に見られた7被験者を対象にした結果, 最初と比べて最後のセッションで, 覚醒感, 集中感の低下, 疲労感の増加と, 反応時間の遅延が認められ, 主観的, 行動的には異なる覚醒状態にあることが示唆された. そこで, 両セッションを比較対象として反応要求刺激直前の脳波を分析した結果, 反応時間遅延時に, 頭頂部周辺でのα波帯域ピーク周波数の低下と, 全頭的なθ2帯域, α1帯域のパワの増加が認められた. また, α波帯域の周波数ゆらぎの白色化が認められた. これらの脳波特徴は, 今後, 覚醒低下の他覚的, 簡易的評価手法の確立に向けて, 1つの手がかりを与えるものと考えられた.
  • 青木 洋貴, 伊藤 謙治
    2000 年 36 巻 5 号 p. 239-253
    発行日: 2000/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究では注視点データに基づく, テレビ広告 (Commercial Films; CF) に対する認知態度の分析法を提案する. 本分析法では, まずCFのシーンの進行およびシーンを構成する要素が持つ情報量等を記述する. 次にこのシーンの記述とCF視聴時の注視点データとの対応に基づき, 2種類の認知態度指標, 注目率とメッセージ認知率を定義する. 注目率はCFに対する注意深さの度合を示し, メッセージ認知率は商品情報に対する認知の度合を示す. CFの視聴実験を行い, 得られた注視点データに基づき被験者の認知態度を分析した. その結果, 認知態度に与えるCFの視聴回数, 被験者のふだんのテレビ視聴時間および商品に対する好意度の影響について分析することができた. さらに, シーンの切り換え頻度あるいは有名人の登場といったCF設計変数と認知態度間の関係について分析を行い, 効果的なCF制作へ向けた具体的な示唆を得ることができた.
  • 局所湯温刺激の場合との比較
    山口 静馬, 佐伯 徹郎, 中村 誠, 藤井 謙治
    2000 年 36 巻 5 号 p. 255-260
    発行日: 2000/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 川田 章弘, 福本 一朗
    2000 年 36 巻 5 号 p. 261-272
    発行日: 2000/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    若年者, 高齢者がともに聞き取りやすい報知音の特徴を調査するため, 以下に示す4種類の報知音: (1) 2kHz純音, (2) 2kHzと2.5kHzの正弦波信号を乗算処理したAM音, (3) 3kHzから0.5kHzへと変化する周波数掃引音, (4) 0.2kHzから2.7kHzへと変化する周波数掃引音を試作し, 単純反応時間によって聞き取りやすさの検討をした. また, これらの報知音に対する切迫性についての聴取印象も評価した. 結果, (3), (4) の報知音においては, 高齢者-若年者間や男女間に聴取印象の相違があることを示した. 単純反応時間と聴取印象の総合的評価の結果, (2) の報知音がもっとも優れていると考えられる. これらの結果から, 高齢者と若年者が共に聞き取りやすい報知音を作成する方法として, 複合音の使用や経時的に周波数の変化する音の使用を提案する.
  • 藤井 謙治, 木村 悦博, 中村 誠
    2000 年 36 巻 5 号 p. 273-278
    発行日: 2000/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    障害者の入浴作業を支援するための介護用シャワー浴装置を開発するに当たって, 快適性や安全性に配慮したシャワー浴条件を考察した. 被験者は42~58歳の男性で, 各種湯温, 湯流量条件下でシャワーを浴びた. 全身シャワー浴による生理 (直腸温, 皮膚温, 血圧, 心拍数) 心理的影響を調査した結果から, 適切なシャワー浴条件は, 湯温: 41℃, 湯流量: 1L弱/ノズル, シャワー浴時間: 約8分であること等が示された. また, シャワー浴中の生理的負荷指標について検討した結果, 心拍数上昇率の監視が有効であることと, 年齢別による心拍数上昇率の設定値を示した. これらの実験結果を活用し, 介護用シャワー浴装置の試作開発を行った.
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