人間工学
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36 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 高速液体クロマトグラフィーを用いて
    織田 弥生, 中村 実, 龍田 周, 小泉 祐貴子, 阿部 恒之
    2000 年 36 巻 6 号 p. 287-297
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    ストレスの指標として使用されることの多い, 唾液中・尿中コルチゾールの値の標準値を作成することを目的とした. 20代から50代の就労している男性85名, 女性81名について, 勤務日と休日の2日間にわたり1日5ポイント (起床時, 10:00, 11:40, 14:00, 16:00) 尿と唾液を採取し, HPLC法でコルチゾールの定量を行い, 性・時刻・測定日別の平均値と標準偏差を示した標準値表を完成した. また, 全検体中の唾液299検体・尿155検体についてはRIA法でも分析を実施して分析定量値の相互換算式を算出し, 異なる分析法間の値の比較が可能となるようにした. 一過性ストレス時の唾液中コルチゾール値を標準値表と比較したところ, 標準値から大きく逸脱することが確認されたことから, ストレス測定においてこの標準値が有用であると考えられた. 最後に, この標準値表の活用範囲について検討した.
  • 熟練群と非熟練群での投球動作の比較
    村田 厚生, 岩瀬 弘和
    2000 年 36 巻 6 号 p. 299-309
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    3次元映像解析法を用いて, 投球動作中における身体各関節部位の時系列データを取得し, 熟練群と非熟練群で以下のような比較・検討を行った. まず, 投球腕と反対側の肩のばらつきを定量的に表すための式を提案し, 熟練群と非熟練群でこの値が異なるかどうかを明らかにした. さらに, 投球腕の角度や上胴の傾き, ひねり角などを求め, 球種による違いが見られるのを熟練群と非熟練群で比較した. 投球時の支点となる投球腕と反対側の肩のばらつきは, 評価の高い熟練投手群のほうが非熟練投手群よりも小さいことが確認された. また, この関係は, 直球のみではなくカーブを投げた場合にも成立した. さらに, 評価の高い熟練投手群のほうが非熟練投手群に比べて, 投球腕の肩や肘の角度や上胴の傾き, ひねり角などが球種によってほとんど変わらないことが示唆された.
  • 嶌田 久美, 増山 英太郎
    2000 年 36 巻 6 号 p. 311-318
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    デザイン活動において, デザイナーの視覚イメージ能力は大きな役割を果たしている. 本研究では視覚イメージの個人差として直観像素質を取り上げ, デザイン活動における直観像の機能についての基礎的研究を行った. まず, 工業デザインを専攻する大学生114名に質問紙調査を実施し, 主成分分析などによって日常生活における視覚イメージの使用傾向について概観した. 次に質問紙結果をもとに選出した15名を対象に直観像検査を実施し, 直観像素質者の検出を行った. その結果, 4名が直観像素質者であると判明した. 彼らは普段から視覚イメージをよく使用しており, 非素質者よりも頻繁に空想や想像を行っていることが示された. また, デザイン活動において不可欠と思われる, 視覚イメージの鮮明な保持や心的操作といった行為に対しても得意である傾向がみられ, 直観像素質とデザイン能力との関連性が推察された.
  • 音色に影響を与える要因
    羽藤 律, 桑野 園子, 難波 精一郎
    2000 年 36 巻 6 号 p. 319-334
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    様々な種類の道路交通騒音の印象に影響を及ぼしている要因について検討した. マグニチュード推定法を用いた予備実験の結果, やかましさはエネルギー平均によってある程度予測できることが示された. 実験1では, LAeqを等しくした10種類の道路交通騒音の印象をSD法を用いて評価した. その結果,‘かん高い’,‘迫力がある’傾向にある刺激は機関騒音や排気騒音が中心の騒音であり, タイヤ騒音が中心の音源や音源の特定の難しい音源は, これらの傾向が弱かった. また, 迫力感はISO 532 Bに基づくラウドネスレベルや fluctuation strength によっておおむね評価できた. さらに, 金属的印象は sharpness とよい対応を示した. 美的印象も, 音圧レベル, 周波数特性, 時間変動特性の影響を受けていた. 一対比較法を用いた実験2の結果, やかましさはラウドネスレベルや fluctuation strength, 音色の悪さは sharpness の影響を受けていた. 実験結果をもとに, 美的印象に影響を及ぼす要因, 道路交通騒音の不快さを軽減する対策について考察した.
  • 佐藤 広徳, 三浦 朗, 坂井 学, 佐藤 陽彦, 福場 良之
    2000 年 36 巻 6 号 p. 335-341
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    上腕部筋量と筋力の特徴を明らかにするために, 成人男性102名, 成人女性116名の肘関節屈筋および伸筋横断面積と随意等尺性筋力を検討した. 被検者は20歳代, 30・40歳代および50・60歳代の3つのグループに分けられた. 上腕部筋横断面積は我々が開発した超音波体肢横断面画像撮影システムによって測定した. 肘関節等尺性屈曲力および伸展力は多用途筋力測定システムを用いて測定した. 男性における肘関節屈筋・伸筋横断面積は加齢による有意な変化はみられなかったが, 20歳代女性は中・高年女性より有意に小さかった. 肘関節屈曲力では30・40歳代男性が50・60歳代男性より有意に大きかったが, 伸展力においては加齢による変化は認められなかった. 女性における肘関節屈曲力・伸展力は, ともに20歳代が3グループのうちで最も小さかった. 男性の肘関節屈筋における筋単位横断面積当たりの筋力の加齢にともなう低下は, 50, 60歳代から始まっていた. 肘関節伸筋における筋単位横断面積当たりの筋力は男女とも各年齢グループ間に有意な差はみられなかった. 現在の若い女性の肘関節屈筋および伸筋における筋横断面積および筋力が相対的に小さいという事実を健康運動プログラムのために認識するべきであると結論づけられた.
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