人間工学
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37 巻, 1 号
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  • 志田 敬介, 松本 俊之, 金沢 孝
    2001 年 37 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    タッピンねじ締め作業の作業性を向上させるための訓練システムを開発した. 訓練システムの1つは, 実際にねじを締めないでドライバーだけで行う模擬訓練の「ドライバー使用訓練」で, 押圧力とブレの想値の許容範囲の習得と, 押圧力を弱めるタイミングの習得である. もう1つは実際にねじを締める実施訓練の「ねじ締め訓練」で, 作業の過程や結果をパソコンでビジュアルに表示して, それを作業者にフィードバックできるようにしたものである. その有効性を検証するために, 被験者20名による訓練実験を行った. 分析の結果, 開発した訓練システムを実施すると, 特に押圧力に関して2倍の改善効果がみられ, 作業性指数は1.4倍向上した.
  • 小美濃 幸司, 白戸 宏明, 田中 綾乃
    2001 年 37 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    列車が衝突事故などで隣接線路を支障した際に, 被害拡大を防止するために運転士が防護無線を発報する必要があるが, 現在運転士が傷害などを受けることにより発報することができない事態に配慮した自動発報装置が提案されている. 自動発報する判断基準は複合的な基準であるが, その1つとなる衝突事故を判断するための車体前後加速度の基準として, 運転士が座席から転落する最小の加速度 (最小転落加速度) を提案した. 運転士に見たてたダミー人形を使用した衝突実験から, 作用時間0.02sでは26m/s2, 作用時間0.04sおよび0.06sではそれぞれ23m/s2および16m/s2が最小転落加速度であることが推定された. また, 最小転落加速度以下であれば運転士に傷害が生じることはなく, 最小転落加速度を自動発報の基準とすることの妥当性を確認した.
  • 藤井 健生, 佐伯 徹郎, 山口 静馬
    2001 年 37 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    聴覚が直接関与しない読書や計算のような精神作業をしているときにさまざまな音圧レベル値の無意味外来雑音が侵入してくる場合, 作業者が外来雑音に対してどのような心理的応答を示すか, 外来雑音が作業者の疲労感にどのような変化を及ぼすか, 外来雑音が作業成績の低下にどのような影響を与えるか等の問題を作業心理実験のもとに考察した. 具体的には, 最も単純な精神作業の一例として, 1桁の数の加算計算作業に着目し, 外来雑音としても最も単純な定常広帯域白色雑音の場合について, 外来雑音の音圧レベル値とそれに対する作業者の心理的応答との関係, 雑音の有無による作業後の疲労感の差異, 雑音の有無による作業量の差異とその時間経過による変化の様子について考察した.
  • 廊下および階段の歩行時において
    黒岩 将人, 岡崎 甚幸, 吉岡 陽介
    2001 年 37 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    生活空間を歩行中の周辺視の役割を, 通常視野実験と制限視野実験の比較によって解明する. 通常視野実験ではアイカメラを装着して廊下および階段を歩行し, 制限視野実験では著者らが新しく開発した周辺視野を制限するマスクを装着して同じ場所を歩行した. その結果, 通常視野下に対して制限視野下では, 1) 進行方向の床と壁の境界を注視しながら歩行する傾向がある, 2) 角を曲がる時には大廻りをする, 足や手がアンダーリーチングになる, 3) 階段下り歩行開始時に極端に歩行速度が落ちる, 4) 階段上り歩行時に足を擦らせて歩く等の特徴的な行動が見られた. 以上から歩行時の周辺視が, 身体と歩行環境との間の正確な距離や位置関係の把握を助ける役割を果たすことが明らかになった.
  • 辛島 光彦, 平沢 尚毅
    2001 年 37 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究ではノートパソコン (NPC) のディスプレイ高さについての身体寸法値からのアプローチとして, 身長を用いたNPCの有用なディスプレイ高さを近似的に算出する方法の提案を行った. まずディスプレイ高さの調節可能なNPCと作業者で構成されるVDT作業環境のレイアウトを身体寸法値を用いて近似的に表すNPCレイアウトモデルを示した. さらにこのレイアウトモデルを用いてNPC使用時のVDT作業姿勢にかかわるガイドラインを満たしたNPCディスプレイ高さ (Mdh) を作業者の身長から近似的に算出する方法を提案した. 加えて提案したMdh算出方法によるディスプレイ高さの有効性について, 文書入力作業実験を通じて, Mdhと既存のNPCのディスプレイ高さを比較することにより検討した. その結果作業姿勢と使用感の面から, 提案したMdh算出方法によるディスプレイ高さの有効性が示唆された.
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