組織における安全意識, 管理, 組織風土といったものが, 企業の安全レベルにどのように影響を及ぼしているか, そして, これらの要因に業種較差があるか否かについて調査・分析した. 調査対象は, 建設業・化学業および製造業とし, 質問紙を各組織の本社安全管理担当部門に対して送付した. 建設業とその他の2業種との間に以下のような相違が見られた. (1) 管理に関して, 建設業は他業種に比べ, 組織内での安全に関するコミュニケーションおよび, 安全管理制度についてより良い特徴をもっている. (2) 組織風土に関して, 建設業については, 伝統的, 成果主義的, 安全重視という特徴がある. (3) 化学業および製造業は, 参加型の安全活動を含む持続的な安全活動を行っている. 次に, 労災件数の多寡と各組織要因との関係における業種較差としては, 以下のようなものがあげられた. (1) 建設業においては, 労災の多寡の違いによる差は見られない. (2) 他の2業種については, 労災件数の少ない企業の方が, 安全に対して前向きな組織風土を備えており, (3) 種々の安全制度や活動に対して積極的に取り組んでいる.
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