人間工学
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41 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 市来嵜 治, 志田 敬介, 松本 俊之, 金沢 孝
    2005 年 41 巻 3 号 p. 121-130
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    組立工場では, 消費者ニーズの多様化やライフサイクルの短命化による作業の頻繁な変更や労働力の流動化に伴い, 作業習得の問題が生じている. 本研究は, 要素作業を分割して訓練することが訓練の効率に及ぼす影響を実験的に示すことを目的としている. 一度に訓練する要素作業の量 (訓練量) を変動要因として, モニタ上に表示された24個の長方形を順番に押すという簡単な対象作業で実験を行った. この実験結果を時間的な効率と訓練のロスという観点から分析したところ, 一度にすべての要素作業を訓練することは両方の観点から見てよいとはいえず, 分割して訓練することの有効性が示唆された. 分割して訓練する場合も, 時間的な効率を求める場合は訓練量8, 訓練のロスを最小にするならば訓練量1というように, 訓練の際に制約となる条件に合わせて分割の度合いを決定すべきであることも示唆された. また, 習得の方策は全部習得方策と部分習得方策の二つに分類され, 訓練量に応じた選択がされないと, 訓練時間や訓練のロスが増加することも確かめられた.
  • 為末 隆弘, 山口 静馬, 佐伯 徹郎
    2005 年 41 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本論文は, 無意味雑音下で音声を聴取している場合の音声聴取成績および音声の聴き取り易さに関する心理的印象が加齢等の聴力損失特性を考慮することによってどのように変化するかを考察したものである. まず加齢等による聴力損失特性を模擬した周波数フィルタを作成し, 音声と雑音を上記の周波数フィルタに通過させることにより模擬難聴状態を実現した後, 健聴者による音声聴取心理実験を行った. 音声聴取心理実験による実測データから, スペクトル距離と音声聴取成績および音声の聴き取り易さに関する心理的印象の関係を考察した. 次いで, 得られた関係を用いて, 音声聴取成績および音声の聴き取り易さに関する心理的印象の予測問題について考察した. その結果, 予測値と実測値の間にほぼよい一致が認められた.
  • 中川 千鶴, 鈴木 浩明
    2005 年 41 巻 3 号 p. 137-146
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    鉄道などの振動環境下でのパソコンの利用が, 人体へどのように影響するかを調査し, 作業環境としての改善点を明らかにするために, アンケート調査と実験を実施した. 列車内でのパソコン利用経験者114名にアンケート調査を行い, 現行の列車設備の問題点や利用者のニーズを検討した. この結果, 座席におけるテーブルの位置調節や大きさ等に対する不満が高いことが明らかとなった. さらに, この調査結果を踏まえて, 列車振動環境下でパソコン作業を行うための, 望ましいテーブル前後位置や奥行を検証する実験を行った. この結果, テーブル前後位置の最適値や必要な調節範囲, パソコン手前側のテーブル空間の重要性について, 主観評価・生理指標・パソコン作業課題の成績を用いて明らかにした.
  • 児玉 公信
    2005 年 41 巻 3 号 p. 147-153
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    連続加算課題における計算エラーの研究では, これまで単体の計算行為だけに注目していた. しかし, 被験者は, 連続作業の条件でできるだけ多く計算を行うために下位作業を巧みに並列化する. 計算エラーの一部には, こうした並列作業の同期の失敗に起因するものがあると仮定して, それを検証するために後ろの小問をマスクする装置を用いた条件 (マスク条件) と, そのマスクを取り除いた装置を用いた条件 (透過条件) とで連続加算課題を課した. その結果, 透過条件では計算回数および同期の失敗に起因すると見られるエラーがマスク条件よりも多かった. また, 計算エラーはなんらかのアルゴリズムに起因するのではなく, 認知的難問に起因する可能性が見いだされた. このことから, 連続加算課題における計算エラーの分析には, 作業の並列性および認知的難問の観点を導入する必要性が示唆された.
  • 堀井 健, 三浦 葵, 上坂 重樹, 小谷 賢太郎
    2005 年 41 巻 3 号 p. 154-160
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    生産ラインの現場では未だヒトによる目視検査に頼らざるを得ない現状がある. その結果, 目視作業者自身の疲労とその疲労がもたらす生産性の低下とが問題となっている. 視覚的疲労の原因は主に単調作業であるために生じた視覚系の上位中枢神経の活動レベル低下にある. 石川らは視覚系の特性を重視した新しい目視検査法を提案し, 実践により不良品の抽出能力の向上を得ている. この報告に見られる生産性の向上は, 水平方向へ眼球を動かす場合の方が視覚系に与える負担が軽いということから得られた効果と推測される. 本研究では, 眼球の視点の移動方向 (水平方向と垂直方向) が異なる実験を通じて, 視点の移動方向の違いによって目視検査作業者の生体負担 (自覚症状, CFF値, マイクロサッケード発生率) に明確な差異が得られることを示した. そして, この結果に基づいて, 水平方行への目視 (視点の移動) を多用した目視検査法が有効であるとの結論を示した.
  • 渡邉 真利, 池上 敦子, 大倉 元宏
    2005 年 41 巻 3 号 p. 161-166
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    この研究では, CFSI回答データの効率的な入力方式が検討された. このデータは, 1枚あたり81個の〇×(はい, いいえ) 記号で構成され, 通常, 〇の数は×の数よりはるかに少ない. 以下の三つの入力方式が評価された: A) 被験者は〇×の代わりにそれぞれ1と2をテンキーから入力する; B) 被験者は〇とマークされた問題番号をテンキーから入力する; C) 被験者は〇とマークされた問題番号の隣のボックスをマウスでクリックする. 20歳代前半の43名の被験者は, タッチタイプができる18名 (男14, 女4) とできない25名 (男22, 女3) に分けられた. 各被験者は三つの方式で, それぞれ15枚分の回答データの入力を求められた. 結果は以下のように要約された.
    1) キーボートとマウスでは, 被験者のキーボード操作技量にかかわらず, キーボードのほうが有利であった.
    2) グループとも〇の数の増加によって, 最も効率的な入力方法が方法Bから方法Aに変わった. その分岐点は, タッチタイピスト群で17, 非タッチタイピスト群で15であった.
  • マルチン式との比較
    壽里 伸一
    2005 年 41 巻 3 号 p. 167-174
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
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