【目的】
長期入院を必要とする半側空間無視を有する左片麻痺患者は他の患者より日常生活活動に支障を来たし, かつ, 転倒が多く認められる. 本研究の目的は, バーチャルリアリティ技術の臨床応用としてヘッドマウンテッドディスプレイ (HMD) を使用による半側空間無視症状の改善の可能性を検討した.
【方法】
被験者は半側空間無視のある脳卒中患者6名とした. 半側空間無視評価の一つである線分抹消試験を実施した. 末梢試験実施においては, HMD使用しての縮小率 (90%, 80%, 70%) 条件およびHMD使用しない通常条件の4条件において実施した.
【結果および考察】
結果として, 80%もしくは90%の映像縮小修正し呈示した場合の得点は, 無視部分が多い100%の映像呈示時の得点より有意に得点が改善した. また, 70%の縮小率では得点がのびず, 縮小率の限界が示唆された. 本研究で構築されたHMDシステムの使用により, 半側空間無視の評価と治療に有益な神経心理学的リハビリテーションとしての臨床応用の可能性が示唆された.
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