本研究では年齢を実験要因に入れて自動車用コンソールボックスの操作性評価を被験者による心理評価のみではなく, 筋電図解析と三次元動作解析を用いて実施し, 高齢者にとって使いやすいコンソールボックスが備えるべき要因について考察した. 本研究では2種類のコンソールボックス (上に持ち上げて開ける持ち上げ型 (従来型), 一度後ろにスライドさせて持ち上げるスライド型) を用意し, 若年者・高齢者それぞれにコンソールボックスの開閉操作を行わせた. 評価項目としては, 筋電図解析については筋肉にかかっている負担を調査するために%MVC, mEMG, %MVCのRMS値, 筋電図データにFFTをかけて得られたMPF値を評価項目とした. 三次元動作解析については左腕の動作の違いを解析するために手首の速度, 加速度を求めた. また, 被験者の身長, 体重を用いて前腕パワー, 上腕パワーを算出した. 以上のような評価指標に被験者による主観評価を加えた項目を総合して2種類のコンソールボックスの使いやすさ評価を実施した. その結果, スライド型のコンソールは持ち上げ型のコンソールに比べて筋負担が少なくなっていることが示され, 主観評価についても「スライド型コンソールボックスは思ったよりも使いやすかった」と答えた被験者が多かった. スライド型は従来の持ち上げ型よりも負担が軽くなったものの, ユニバーサルデザインの観点からは特に高齢者にとってはまだ負担が大きく, さらなる負担の改善が必要不可欠であることが示唆された.
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