人間工学
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42 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 藤野 陽三, 吉田 純司, 杉山 俊幸
    2006 年 42 巻 5 号 p. 279-286
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    近年, 群集が歩行することにより橋梁に水平横振動を生じる事例が, イギリス, フランスおよび日本で報告されている. 本研究では, 群集画像から人物領域を抽出するための画像処理手法を構築し, これを応用して群集の歩行により励起される橋梁の水平横振動を分析する. まず, 画像処理によって, 群集中の各歩行者の頭部を50%以上の精度で抽出する手法を構築した. 本手法では, 従来のテンプレートマッチングに実数値GA (Genetic Algorithm: 遺伝的アルゴリズム) を導入し, さらに歩行者の頭部と頭部以外の誤抽出とを分類する機能を追加している. 次に, 時系列画像において, 抽出した歩行者の頭部の動きを追跡するとともに, 橋梁の振動を求めた. 最後に, 各歩行者の動きおよび橋梁の振動から両者の相互関係を定量的に評価した.
  • 後藤 太邦, 本間 経康, 吉澤 誠, 阿部 健一
    2006 年 42 巻 5 号 p. 287-294
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本論文では, 非ホロノミック系の手動制御における人間の試行錯誤による学習過程を解析することを目的とした. 解析する手段として強化学習の枠組みにおける価値関数の形成過程を利用する方法を提案し, この解析手法を非ホロノミック系のひとつである2リンク劣駆動マニピュレータ (2PUAM: 2-Link Planer Underactuated Manipulator) を対象とした手動制御実験に適用した. 試行の進行に応じた価値関数の形状の変化を調べた結果から, 非ホロノミック系における人間の学習過程は, (1) 目標軌道の探索, (2) 目標軌道への追従と通過速度の向上, という逐次的な構造を持っていることが示唆された.
  • 小柳 健一, 古荘 純次, 小田 邦彦
    2006 年 42 巻 5 号 p. 295-304
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    要介護・要支援の高齢者の減少や積極的な社会参加のためには, 身体機能低下を早期に検知し, 機能の維持・回復に努める必要がある. しかし, 特に上肢運動の滑らかさや巧緻性等については, 従来の評価手法では定量的な解析が行えていない. これに対し, ロボットやバーチャルリアリティ技術を用いた評価システムの使用が考えられる. 本論文では, 2次元の力感覚提示システムを利用した仮想迷路抜けソフトウェアを開発し, これを上肢運動の滑らかさや巧緻性等の定量的評価に用いることについて報告している. 実験結果には再現性が見られた点, 障害者と健常者の実験結果には有意差が見られた点から, このシステムは上肢動作の評価に有効と考えられる. 一方, 健常若年者と健常高齢者の実験結果にいくつかの点で有意差が見られたことから, 障害者と健常者を比較するには, 同様な年齢群における基準データを用いる必要が確認できた.
  • 伊東 昌子, 平田 謙次, 松尾 陸, 楠見 孝
    2006 年 42 巻 5 号 p. 305-312
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    個人営業における熟達を, ATS理論に基づき知識スリップを制御する準備行為の観点から検討した. 実験では, 事務機器販売領域の高成績者と平均的成績者がビデオ視聴により顧客情報を把握したうえで, 初回商談前の準備行為を報告した. 次に, 彼らは商談場面 (営業担当者が顧客の話を十分に聞かずに提案を勧めたため顧客は興味を失う) を視聴して, 担当者の不適切行為の診断と自分が行う行為を報告した. その結果, 高成績者は, 急がずに顧客の問題状況を理解するとの趣旨と行為目標を定め, 彼らの診断も商談行為も趣旨と目標に沿っていた. 平均的成績者では, 顧客ニーズの発見と関係の構築が趣旨と行為目標であり, 彼らの商談行為はニーズを問う点では目標に沿っていたが, 得た個別ニーズに対し早くも解決案を示す状況行為が報告された. この結果は, 商談前に生成される趣旨や行為目標が熟達により異なることと, その差が知識スリップの制御に影響することを示唆する.
  • 松沼 正平, 長谷川 聡, 大森 正子, 宮尾 克
    2006 年 42 巻 5 号 p. 313-319
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    携帯電話における画像文字メールは, フォントを内蔵していない機器でも, あらゆる言語文字に対応できる可能性があり, 様々な用途が期待できる. この画像文字メールの可読性を, 視認距離, 読み取り速度, 読み取りエラー率, 並びに主観的評価を加えて検証した. 視認性は, 当然ながら文字が小さくなるほど, ディスプレイの精細度が低いほど, また画像データの品質が低いほど低下する. 言語 (文字) による状況を検証するため, 日本語, 中国語, 韓国語および英語についてそれぞれの文字を使用して実験を行った.
    これらの結果から, 画像文字メールはフォントの内蔵されない外国語に対しても対応可能であり, 災害 (防災) 等安全対策システムにおいて多くの言語に対応したシステム作りに有効に活用できるものとの認識が得られた.
  • 福田 康明, 平田 剛宏, 小川 倫史, 冨田 明美, 内藤 章江, 加藤 象二郎
    2006 年 42 巻 5 号 p. 320-328
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では, 高齢者を対象に, カッターシャツ縫製工程の一部をモデル化したミシン縫製形態3種 (作業I: 直線縫い, 作業II: 曲線縫い, 作業III: 輪縫い) の習熟実験を行い, 作業習熟 (達成度Q) と生体負担の関係について若年者も含めて検討した. 結果を要約すると以下のようになる.
    (1) 高齢者における生体負担を縫製形態ごとに測定した. その結果, 心拍, フリッカー値, 自覚症状しらべ, 主観評価, NASA-TLXにおいて, 作業難易が難度になるに伴い生体負担が増加する傾向がみられた.
    (2) 総合負担Wについて検討すると, 各縫製形態ともに高齢者は若年者よりも大きな値となったが, 両者の差は作業Iでは55.4%, 作業IIでは48.6%, 作業IIIでは4.6%となり, 作業難易が難度になるに伴い差は小さくなる.
    (3) 総合負担Wと達成度Qの関係から, 高齢者と若年者に対応した縫製形態ごとの総合負担指標を提示した. これによれば, 作業Iでは両者の達成度Qの範囲に大きな差異はないが, 総合負担Wは高齢者のほうが大きくなる. 作業II・作業IIIでは, 高齢者の達成度Qは小さく, 総合負担Wは大きくなる.
  • 米村 俊一, 宮本 勝, 中谷 桃子, 小川 克彦
    2006 年 42 巻 5 号 p. 329-336
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    技術的な知識や語彙が不足しているノビスユーザでは, 電話による遠隔サポートでトラブルの状況やシステム環境等を言葉のみで正確にオペレータに伝えることは難しく, また, オペレータからの指示を的確に実行することも容易ではない. したがって, ノビスユーザに対するサポートでは問題解決までに長い時間が必要となり, また, ユーザの心理的負担も大きい. 本論文では, テクニカルサポートにおいて, 作業対象に関する知識および語彙の著しい不均衡が存在するノビスユーザとオペレータとの対話に1チャネルの双方向映像通信を導入することで, 遠隔サポートの作業パフォーマンスが向上するとともに両者のコミュニケーション効率が向上することを実験的に検証した. 特にユーザとオペレータとの密な連携が必要なトラブル解決場面において, 作業遂行時間が短く効率的な対話が可能であるとともに, ノビスユーザの心理的負担を軽減するという示唆を得たので報告する.
  • 平柳 要, 山口 喜久, 塩澤 友規
    2006 年 42 巻 5 号 p. 337-342
    発行日: 2006/10/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
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