人間工学
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43 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 手書きの特徴を取り入れた新しいワープロ印字のために
    才木 常正, 林 昭博, 佐藤 宏介
    2007 年 43 巻 3 号 p. 111-116
    発行日: 2007/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    人は手書き文章から書き手の個性を感じとることができる. 手書き文章の特徴を取り入れることで, 読み手に良い印象を与えるワープロ文章を印字できる可能性がある. そこで, 日本語縦書き手書き文章とワープロ文章の文字形状の差異を調べた. ここでは, 文字の外接四角形の縦と横線の長さをHWとし, 文字縦横比H/Wと文字面積H×Wにより文字形状を評価した. その結果, 手書き文章の文字縦横比の平均とばらつき, 及び文字面積のばらつきはワープロ文章のそれらより大きく, 手書きとワープロ文章の文字形状に差異があることが明らかになった. ちなみに, 同じ手書き文章でも, 熟練者の文章の文字縦横比のばらつきが一般の人のそれより大きく, 熟練者と一般の人の文章の文字形状に差異があることも明らかになった. 一方, 手書きとワープロ文章を含めた日本語縦書き文章全体とした場合, これらの文字縦横比と文字面積には密接な関係が存在した.
  • 斎藤 健治, 細谷 聡, 清田 勝
    2007 年 43 巻 3 号 p. 117-123
    発行日: 2007/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    渋滞を避けて, 生活道路を通過する自動車の走行スピードを抑制するためのハンプが, 手動車いす利用者にとってバリアとなるのかについて, 肘関節運動と筋電図を通して推定した駆動力の観点から検討した. 被験者は学生10名であった. 高さ60, 80および100mmのハンプと, 比較対象としての平坦路, スロープ, 段差, 波打ち歩道, 車用切り下げ歩道の8種類を計測箇所として選択した. 左右の肘関節運動の同調性を示す相互相関係数は, 平坦路, スロープ, ハンプにおいて高く, 波打ち歩道と段差において低かった. 駆動力は, 段差と波打ち歩道において有意に大きく, ハンプと平坦路において有意に小さかった. これらの結果から, 運動の容易さと駆動力の点において段差やスロープ, 波打ち歩道といった日常的にみられる構造物に比して, 車いす走行に対するハンプのバリア度は低いと評価できた.
  • 西口 宏美, 齋藤 むら子
    2007 年 43 巻 3 号 p. 124-131
    発行日: 2007/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    GUI仕様のOSの登場により, 痙性や不随意運動のために上肢を用いた高度な位置決め動作が困難な脳性麻痺者にとっても, マウスなどのポインティングデバイスを用いてアプリケーションソフトの起動やメニュー選択が可能となった. 本研究では, ショートカット・アイコンやメニュー・アイコンの大きさやポインタの移動距離, 移動の方向が脳性麻痺者のポインタ操作に要する時間値にどのような影響を与えるかについて検討した. 設定した8つの移動方向毎に, 移動距離3種類および目標点のサイズ4種類の, 合計3×4=12の作業条件を設定できる「ポインタ移動ならびに位置決め作業課題」を作成し, 脳性麻痺者6名と若年健常者9名 (対照群) を被験者として実施した.
    その結果, 以下のことが把握できた. (1) 若年健常者群においては, フィッツの困難度指標 (ID) が増大すると作業時間値 (MT) も延長するが, ポインタの移動方向が異なってもMTに有意な差は見られない. (2) 障害等級2級の脳性麻痺被験者群では, IDとMTとの問には有意な相関が見られるが, 目標点のサイズに関係なく移動距離が短くなると健常若年者群に対する障害等級2級群のMT比が増加する. (3) 障害等級1級の脳性麻痺被験者の場合には, ほぼ全ての移動方向においてIDとMTとの間には相関が見られるものの, 移動方向により操作能力が異なる.
  • 藤田 徹也, 中嶋 芳雄, 高松 衛
    2007 年 43 巻 3 号 p. 132-137
    発行日: 2007/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 高野倉 雅人
    2007 年 43 巻 3 号 p. 138-148
    発行日: 2007/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    歩行補助車の車輪を段の上へ持ち上げたり段の下へ降ろしたりするために, 使用者がハンドグリップへ加える力を, 矢状面での力やモーメントの釣り合いから導出した力学モデルを用いて推定する. モデルの分析結果から, 制動装置の使用の影響およびハンドグリップやカゴの配置の影響について考察する. 制動装置を使用すれば, ハンドグリップをどこに配置しても, 水平方向の力だけで車輪を容易に操作できる. 制動装置を使用しないと, 車輪の操作が力学的に不可能になったり, 困難になったりする. 昇段および降段動作をする際に, 使用者がハンドブレーキなどの制動装置を適切に使用できるような機能を, 歩行補助車に備える設計が望ましい. カゴに荷物を載せる場合, 使用者がハンドグリップへ加える力は, カゴの水平方向の配置に依存し, 高さには依存しない. 荷物に作用する重力が前後輪に均等に配分されるように, 前輪と後輪との中間にカゴを配置するのが望ましい.
  • 文字入力操作における手指の移動方向と操作時間について
    山際 孝幸, 吉村 勲
    2007 年 43 巻 3 号 p. 149-156
    発行日: 2007/06/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    近年, モバイル機器の急速な普及と共に操作性の問題 (誤入力・誤操作など) や安全上の問題 (交通危険など) の発生が懸念されてきた. また, モバイル機器の使用場面として生産現場や医療看護現場等も想定される. このような場面では, 使用頻度が高く操作性の影響が一層顕著に現れることが予想される. このため, 機器の操作状況を一入力単位毎に測定し, 操作手指 (拇指) の動作特性について詳細に検討することは, 端末機器の形状や重量, テンキー配列ボタン, インターフェイス等の改善に寄与するものとして期待される. よって本研究ではモバイル機器操作時における手指の動作特性について, 主に各入力過程 (母音選択過程, 子音選択過程) における移動時間と移動方向の関係から検討・考察した. この結果, 端末操作時の手指動作について, 幾つかの特徴的な動作 (母音選択過程について: 1点, 子音選択過程について: 2点) が確認された. 本研究の結果がモバイル機器の操作性向上に関する一知見となることが期待される.
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