人間工学
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45 巻, 5 号
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総説(感性情報処理・官能評価部会)
原著
  • 為末 隆弘, 佐伯 徹郎
    2009 年 45 巻 5 号 p. 270-277
    発行日: 2009/10/15
    公開日: 2010/12/03
    ジャーナル フリー
    騒音の音圧レベル値および周波数構成ともに時々刻々と不規則に変動する実生活環境音場において音声を聴取している場合の音声聴取成績および音声の聴き取り易さに関する心理的印象を,加齢による聴力損失特性を考慮して予測するための一手法を提案したものである.具体的には,音声と騒音の振幅・周波数特性に関する相対的関係を短時間スケールで捉えるための新たな指標Iを導入し,現実的な音環境下で単音節音声を聴取している場合の音声聴取成績および音声の聴き取り易さに関する心理的印象の予測問題について考察している.加齢による聴力損失を模擬した周波数フィルタに音声と騒音を通過させることにより模擬難聴状態を実現し,模擬難聴状態の健聴者による音声聴取心理実験を行った結果,得られた実測データと予測結果の間にほぼよい一致性が認められた.
  • 大矢 雅之, 福田 康明, 山田 裕昭
    2009 年 45 巻 5 号 p. 278-285
    発行日: 2009/10/15
    公開日: 2010/12/03
    ジャーナル フリー
    本研究では,6工程からなる事務機器の作業工程について,作業因子を基に作業構造の分類を検討した.そして,単一作業の6種類と作業内容が異なる組合せ作業(セル生産)の3種類の習熟特性について,達成度手法により習熟解析を行うとともに,習熟の評価指標を提示した.
    結果を要約すると,以下のようになる.
    (1)習熟を達成度Qにより評価すると,単一作業が74.68%,身体労働作業を対象とした組合せ作業Aが71.70%,地殻・知的労働作業を対象とした組合せ作業Bが65.52%,および身体労働作業と知覚・知的労働作業を対象とした組合せ作業Cが68.53%となった.
    すなわち,組合せ作業Cは組合せ作業Aと組合せ作業Bの平均の値に近似した.
    (2)変動率δと傾向指数bの関係において,すべての作業は変動率δが減少すると,傾向指数bは増加する負の相関関係が観察できる。そこで,両者間の検定を行った結果,有意が認められた。
    (3)単一作業とセル生産において,習熟状態を容易に把握し,評価することができる習熟の評価指標を提示した.
  • 柴里 弘毅, 大塚 弘文, 大林 千尋, 川路 茂保
    2009 年 45 巻 5 号 p. 286-293
    発行日: 2009/10/15
    公開日: 2010/12/03
    ジャーナル フリー
    人間中心設計の観点から,上肢運動モデルは機械操作を支援するパワーアシストやコラボレータなどの人間-機械調和系の構築に欠くことができない.著者らは先に,位置決め作業において,視覚により手先と標的の誤差を認識し上肢を動かす運動を表した「視覚フィードバックモデル」を提案したが,ステップ応答などの急速な動作の再現性には対応できていない.これに対し,手先が目標を追跡する随意運動制御における急速運動と緩徐運動に関する知見から,視覚情報とむだ時間のない力覚情報に基づいて上肢のインピーダンスを調整するフィードバック構造を持つ新たな「視覚・力覚混合型フィードバックモデル」を提案する.次に,ディスプレイ上に提示される仮想目標指針に1軸リンクを追従させる操作実験を行い,提案モデルのパラメータを同定した後,応答特性が改善されることを確認した.また,操作力の観点からも,提案モデルの妥当性を検証した.
  • 曽我 知絵, 三宅 晋司, 和田 親宗
    2009 年 45 巻 5 号 p. 294-302
    発行日: 2009/10/15
    公開日: 2010/12/03
    ジャーナル フリー
    近年,労働者の精神的ストレスは増大しており,ストレス評価機器の開発が求められている.我々はこれまでにストレスの定量評価のための研究を行ってきたが,過去の結果において,作業後の生理反応が作業前の状態に完全に回復しない場合が認められた.その原因を探るため,本研究では,作業時および作業後の感情状態と生理反応の関連性を明らかにすることを目的とした.18名の健常な男性に4段階の難易度に設定した計算課題を遂行させ,作業時および作業後に生じた感情状態と生理量を記録した.その結果,作業時には,RR間隔(RRI)と皮膚電位水準(SPL)が満足感や集中度の因子と関連する可能性が示唆され,鼻部血流量(TBF_N)と指尖容積脈波振幅(PTG)が低下した.作業後では,どの生理量と感情状態にも関係は認められなかった.また,RRIとSPLは作業後すぐに回復したが,TBF_NとPTGは回復に時間を要することが示唆された.
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