人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
51 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
総説
原著
  • 栁澤 一機, 綱島 均, 酒谷 薫
    2015 年 51 巻 1 号 p. 42-51
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2015/07/25
    ジャーナル フリー
    ニューロフィードバック(NFB)トレーニングは,発達障害や精神疾患の治療方法として期待されている.本論文では,NIRSを用いたNFBシステムを用いて前頭前野を対象としたNFBトレーニングを行う.NFBトレーニングによるNIRS信号の特徴の変化を定量的に評価する指標の提案を行い,その指標を用いた評価方法の有効性を検証する.まず,実験参加者を,NFBシステムを用いてトレーニングを行う群,NFBシステムを用いないでトレーニングを行う群,全くトレーニングを行わない群の3群に分けて実験を行った.次に,トレーニングの効果を定量的に評価するために,oxy-Hbとその微分値に注目し,脳活動の特徴を重み付き分離度という指標を定義して評価した.その結果,NFBトレーニングを行った群のみ,前頭前野左外側部において重み付き分離度が局所的に上昇し,この部位における脳活動の変化が確認できた.このことから,提案した指標によりNFBトレーニングの効果を定量的に評価できる可能性を示した.
  • 増田 康祐, 芳賀 繁
    2015 年 51 巻 1 号 p. 52-61
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2015/07/25
    ジャーナル フリー
    携帯電話への文字入力の影響を実験室実験によって検証した.実験参加者は,携帯電話を用いて文字入力課題を行うと同時に,視覚探索課題と聴覚探索課題を行う.この多重課題を椅子に座った状態と,床にテープで描かれた3 m四方の正方形の辺に沿って歩きながらの状態とで行った.使用した携帯電話は,フィーチャーフォン,スマートフォン,タッチパネルに触覚手がかり付きのシートを貼ったスマートフォンであった.実験の結果,携帯電話を使用する条件で視聴覚ターゲットに対する反応時間の増大と主観的メンタルワークロードの上昇が確認された.歩行に関しては,携帯電話使用時に歩行距離が短く,歩幅が小さくなった.また,フィーチャーフォンに比べて,スマートフォンで歩行ルートからの逸脱回数が有意に多かった.一方で,フィーチャーフォンと手がかり付きのスマートフォンの条件の間に逸脱回数の差はみられなかった.これらの結果は携帯電話,とりわけスマートフォンによる文字入力が歩行者の事故リスクを高めることを示唆している.最後に歩行中の携帯電話使用をより安全に行えるための人間工学的改善可能性について検討する.
  • 末長 修, 中村 友樹, 劉 緒晟
    2015 年 51 巻 1 号 p. 62-70
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2015/07/25
    ジャーナル フリー
    ドライバは,車載情報機器の操作後,注意資源が十分に運転操作に戻らず,運転に支障をきたすことがある.これらは持続的注意転導効果と呼ばれている.本研究はこの時間的評価値の一つとして,復帰時間について実験的検討を行った.実験は二重課題法による.主課題は簡易な運転シミュレータを用いた運転課題であり,副課題は実験画面に提示される計算問題に対する暗算課題であった.復帰時間は暗算課題の解答後から運転課題に戻るまでの時間と定義した.この復帰時間により持続的注意転導効果を直接評価することはできないが,復帰時間と暗算課題(提示位置,難度)との関連,さらに持続的注意転導効果に関する事前教育との関連を検討した.その結果,復帰時間は暗算課題の難度とともに長くなるものの,事前教育に起因した,運転課題に速やかに復帰しようとする被験者の意図により,復帰時間を短くできる可能性を見出した.以上より,被訓練者への持続的注意転導効果に関する事前教育は,交通事故の予防安全に役立つと期待される.
学術集会参加報告
学会イベント報告
お知らせ
feedback
Top