人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
55 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
実践報告
  • 妻木 翔太, 松隈 浩之, Ping Yeap LOH, 村木 里志
    2019 年 55 巻 6 号 p. 233-238
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    足踏み運動は高齢者の運動として手軽にかつ安全に行える反面,娯楽性に欠ける問題がある.しかし,シリアスゲームとして実践できれば,実施や継続を促すことが期待できる.そこで著者らは足踏み運動を用いたシリアスゲームの開発に加わり,開発を進める上で必要な課題となった足踏み運動の動作特性の検討を担った.そして次の知見を提供し,開発に貢献した.1)足踏み運動のリズムや足部挙上高を変えることにより2.5~5.9 METsの範囲にて運動強度を調節可能であること,2)両脚支持期割合をモニタリングすることにより,股関節屈曲角度を推定できること,3)足踏み運動シリアスゲームは高齢者にとって容易に実践でき,安全かつ効果的に実施できる運動強度内に概ね収まること.

原著論文
  • 松井 真弓, 村本 淳子, 長谷川 智之, 犬飼 さゆり, 斎藤 真, 三澤 哲夫
    2019 年 55 巻 6 号 p. 239-246
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,術者への身体負担の最も少ない沐浴槽の高さについて明らかにすることを目的に,2段階の実験を実施した.第1実験では,術者の主観的評価による作業のしやすい沐浴槽の高さ,すなわち調整高と人体計測値の関係を検証した.調整高と人体計測値間には強い正の相関を認め(p<0.01),身長から調整高を推算するための一次回帰式が得られた.調整高は身長の平均57.7%に相当し,肘頭高よりも平均55.0 mm下方であった.第2実験では,既存の沐浴槽の高さと調整高を基準に4段階の沐浴槽の高さを設定し,沐浴施術時の筋活動および生体力学的モデルを用いた作業姿勢の評価を行った.腰部脊柱起立筋の%MVCおよび腰部椎間板圧縮力は,沐浴槽の高さが低い場合に増加し,腰部への負担が大きいことが示された.一方,僧帽筋の%MVCや肩関節まわりのモーメントは,沐浴槽の高さが高い場合に増大し,肩部や上肢への負担が大きいことが示された.これらの腰部および頸肩部の負担を総合的に評価した結果,術者にとって至適な沐浴槽の高さは調整高と思われた.したがって,術者ごとに身長から算出された調整高に設定することが推奨される.

  • -一対比較は必要か?-
    三宅 晋司, 倉岡 宏幸, 黒坂 知絵
    2019 年 55 巻 6 号 p. 247-253
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    多重課題の難易度を3段階に設定した実験1と6作業(セルフペースおよびマシンペース(2回)暗算,レイブン・プログレッシブ・マトリックス・テスト,埋め込み図形テスト,鏡映描写)を用いた実験2において,NASA-TLXの重み付け平均値(WWL),下位尺度の単純平均値(RTLX),適応重み付け平均値(AWWL)の3つの指標間および重み係数と下位尺度(順位値)の相関を検討した.その結果,指標間には非常に高い相関が得られ(実験1:WWL-RTLX .84,RTLX-AWWL .96,WWL-AWWL .88.実験2:RTLX-WWL .95,RTLX-AWWL .98,WWL-AWWL .96),重み係数と下位尺度の相関は実験1で.73 (ns),実験2で.83 (p<0.05)となり,一対比較を行わないRTLXとAWWLの有用性が示唆され,AWWLはRTLXよりも感度が高い可能性が示唆された.

短報
  • 大山 剛史, 綾部 誠也, 齋藤 誠二, 井上 里加子, 迫 明仁, 犬飼 義秀
    2019 年 55 巻 6 号 p. 254-257
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    西日本豪雨に遭遇した人々を対象に災害時における避難行動に関するアンケート調査と運動パフォーマンスの主観的見積りに関する実験を行った.運動パフォーマンスを評価する課題として歩幅課題とペグボード課題を設定し,歩幅課題では歩幅を,ペグボード課題では作業に要した時間を運動パフォーマンスとして計測した.アンケートの回答によって参加者らを災害時に避難しようと思った群(Y2群)と避難しようと思わなかった群(N2群)に分けて運動見積りの乖離(自身の運動パフォーマンスを過信するほど値が大きくなるように定義.歩幅課題:見積もった歩幅-実際の歩幅,ペグボード課題:実際の作業時間-見積もった作業時間)を群間で比較した結果,Y2群の方が自身の運動パフォーマンスを過少に評価する傾向が明らかになった.この結果は,自身の運動パフォーマンスを過少に評価する人ほど災害時に避難行動を取ることを意図しやすい傾向を示唆している.

お知らせ
feedback
Top