人間工学
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57 巻, 3 号
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表紙
エディトリアル
オープンデータ
  • 野原 佳織, 張 琰雯, 貨泉 朋香, 黒川 亜紀子, 小林 利彰, 夏 亜麗, 下村 義弘
    2021 年 57 巻 3 号 p. 107-110
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    現在,ストレス社会により唾液量が減少し口腔乾燥を訴える患者が増えている.唾液量の減少は,歯科口腔疾患だけでなく,嚥下障害にも関連し全身の健康に影響を与える.我々は唾液分泌を促進する簡便で安全な方法としてにおい刺激に着目し,本研究ではパイナップルの香り刺激に対する唾液量と唾液中コルチゾール濃度への影響を検討することを目的とした.健常成人10名を対象に,香りなし試行と香りあり試行の2試行を実施させ,実験中の唾液量と唾液中コルチゾール濃度を測定した.香りあり試行では,パイナップル香料を滴下したムエットを被験者の鼻孔から約3 cmの位置に設置し,鼻呼吸を行わせることにより香り刺激を与えた.その結果,パイナップルの香りにより唾液量は有意に多くなったが,唾液中コルチゾール濃度の有意な差は認められなかった.

原著論文
  • -回旋性視運動刺激を対象として-
    中村 駿也, 河合 隆史
    2021 年 57 巻 3 号 p. 111-118
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    バーチャルリアリティ(VR)を利用した時に発生する酔いを軽減する目的で,モーションベースという装置を用いて体全体を動かし前庭刺激を与える手法がしばしば用いられる.本研究では,VR酔いを誘発しやすい映像とされている回旋性視運動刺激を対象として,VR酔いに関連する不快な情動反応を軽減するモーションベースの制御方法について実験的な検討を行った.本実験では,20名の大学生を対象に,モーションベースの制御が異なる3条件下で同一の回旋性視運動刺激を観察させ,Self-Assessment Manikinを用いて感情尺度を測定し,さらに回旋性の眼球運動の様子を観察した.その結果,モーションベースを回旋性視運動刺激の回転方向,もしくはその逆方向に傾斜させることが不快感の抑制に効果的であることがわかった.さらに,不快感の抑制メカニズムが,モーションベースの制御方向により異なることが示唆された.

  • 深澤 伸一, 下村 義弘
    2021 年 57 巻 3 号 p. 119-128
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    情報機器で知的作業を行うユーザーが周辺視野で認知しやすい通知機能の設計指針をつくるため,多種類の「動き」の情報を付与した視覚刺激が気づきやすさと作業集中性に及ぼす影響を検討した.中心視野にあるメインディスプレイ上で暗算作業を行う実験参加者20名に対し,周辺視野にあるサブディスプレイ上に7種類の動き「瞬時」「透出」「拡大」「縮小」「水平」「垂直」「点滅」を個々に付与された視覚刺激を提示し,心理指標,行動指標および眼球運動から総合的に比較評価を行った.実験の結果,水平と拡大の動きが気づきやすさや意味伝達性が有意に高く,さらに,最終的な自由選択においても水平と拡大だけが通知のない知的作業課題のみ条件以上の選好票を集めた.そして,気づきやすさと作業集中性の関係性はトレードオフではなく,本研究の先行研究の結果を支持する有意な正の相関(両立性)が認められた.総合的には,選好を優先する場合は水平,意味伝達性を優先する場合は拡大の動きの情報を通知のデザインに取り入れるのが好適であることが示唆された.

短報
  • -酪農業における搾乳中の作業姿勢の提案-
    大賀 久美, 船井 孝
    2021 年 57 巻 3 号 p. 129-134
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    酪農業における搾乳中の作業姿勢は,両足の足底を床に接地させるしゃがみ姿勢(蹲踞(そんきょ)姿勢)である.本研究では,搾乳中の疲労感を軽減させるため,片膝を床に接地させるしゃがみ姿勢(互跪(ごき)姿勢)を提案した.互跪姿勢は蹲踞姿勢に比べて支持基底面の面積が大きい.酪農現場で互跪姿勢がとれるように,牛舎の床上に片膝を間接的に接地するための補助具を設計した.研究協力者は健康な若年の成人10名とし,2条件(片膝に補助具を着用して互跪姿勢をとる(互跪条件),膝に何も着用せずに蹲踞姿勢をとる(蹲踞条件))における搾乳を模擬したタスクを行い,課題中の所要時間や疲労感を比較した.互跪条件は,蹲踞条件と所要時間が同等であったが,蹲踞条件に比べてしゃがんでいる間の疲労感が有意に低いことを確認した.以上より,補助具を着用して互跪姿勢をとると,作業効率の改善は見られないが蹲踞姿勢に比べて疲労感は軽減することが示唆された.

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