人間工学
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エディトリアル
実践報告
  • 大場 義浩, 草彅 真人, 中川 淳, 廣野 元久
    2026 年62 巻2 号 p. 63-74
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/06/03
    ジャーナル フリー

    近年,AIシステムがステークホルダーに与える影響をあらかじめ評価し,適切に対策しておくことが重要になってきている.そこで本実践では,12名の評価者および開発者へのアンケートを通じて,従業員が対話トレーニングに用いるAIシステムの倫理的なリスクを明らかにすることを試みた.アンケートで得た記述から考察した結果,確証バイアスの影響,対話トレーニングの効果に関する説明方法,対話トレーニングの結果を人事評価に用いる是非などが明らかになった.これらへの対策について再度アンケートを行うことで,システムの安全性を検討した.また,本実践を通じて,アンケートの回答および集計方法に関するプロセスの課題が明らかになった.

オープンデータ
  • 八尋 美桜, Teerapapa LUECHA, 高井 伶遠, Ping Yeap LOH, 村木 里志
    2026 年62 巻2 号 p. 75-81
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/06/03
    ジャーナル フリー

    本研究は,相手の肩に触れて感情を伝達する際の上肢動作の特徴を明らかにすることを目的とした.若年成人22名を対象に,「嬉しい」「緊張を和らげる」「哀しみを和らげる」「挨拶」「声かけ」の5つの場面(条件)を設定し,手掌にて前方の人の肩に触れる課題を実施した.三次元動作解析の結果,肩・肘・手関節の動態(伸展・屈曲の最大やその出現タイミングなど)に感情ごとの特徴が認められた.特に,「嬉しい」条件では準備動作に時間を要し,「哀しみを和らげる」や「声かけ」では動作全体が緩やかになる傾向が示された.これらの知見は,人間の自然な非言語コミュニケーションの理解を深めるとともに,介護・教育ロボットにおける共感的タッチの実現などへの応用可能性を示唆する.

原著論文
  • 三嶋 泰生, 梅澤 幸太郎, 吉武 良治
    2026 年62 巻2 号 p. 82-91
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/06/03
    ジャーナル フリー

    本研究では,VR睡眠に代表される臥位姿勢でのVR利用需要の拡大を背景に,背中角度の違い(座位・半座位・仰臥位)がVRインタラクション特性に与える影響を明らかにすることを目的とした.Meta Quest 3を用い,全方位に配置されたターゲットをクリックする指向操作タスクを実施し,反応時間,頭部運動,および主観的な快適性を評価した.実験1の結果,仰臥位では座位と比較して反応時間が有意に遅延し,特に下方領域のターゲットに対する操作性が著しく低下することが示された.実験2では仰臥位条件での短期的な反復試行による習熟効果を検証したが,反応時間および頭部回転量に顕著な改善は認められなかった.以上の結果に基づき,姿勢に応じたユーザインターフェイス配置の最適化や代替入力手法の必要性について考察し,仰臥位姿勢を想定したVRインターフェイス設計のための設計上の示唆を提案した.

短報
  • 安木 佑介, 清水 祐樹
    2026 年62 巻2 号 p. 92-96
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/06/03
    ジャーナル フリー

    本研究では,将来の自動運転車による高速道路巡行時における車室内の快適性向上を目的に,「呼吸の引き込み現象」に着想を得た動揺制御手法を提案・検証した.上下方向のベース振動の知覚を低減するピッチ動揺を,乗員の呼吸周波数比0.8に設定した周波数で同期させて付与した結果,心拍変動の高周波成分(HF)の向上を確認した.これにより,呼吸に同期したアクティブシート制御が生理的快適性に寄与する可能性を示した.

  • -現実空間との比較に基づく視覚行動分析-
    辻本 恵祐, 山中 仁寛
    2026 年62 巻2 号 p. 97-101
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/06/03
    ジャーナル フリー

    本研究では,ヘッドマウントディスプレイ(Head-Mounted Display:HMD)を用いた仮想空間における奥行き知覚特性の制約を明らかにすることを目的とし,現実空間との比較実験を行った.被験者は健康な大学生12名とし,現実空間および仮想空間において,同一条件で配置した視標を用いた課題を実施した.評価指標として,課題視標注視時の両眼視差および課題視標の認識時間を用いた.その結果,現実空間では視距離の増加に伴い両眼視差が変化する傾向が見られたのに対し,仮想空間では視距離が変化しても両眼視差に明確な変化は認められなかった.また,仮想空間では視距離の増加に伴い課題視標の認識時間が増加する傾向がみられた.これらの結果から,HMD環境では距離変化が生理的奥行き手がかりとして十分に機能せず,視覚系がサイズ手がかりなどに依存して課題を処理している可能性が示唆された.本研究は,HMDを用いた仮想現実(Virtual Reality:VR)環境で得られた知覚・行動データを現実環境へ適用する際に留意すべき,人間工学的制約を示すものである.

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