人間工学
Online ISSN : 1884-2844
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最新号
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オープンデータ
  • San SRISURO, Su-Young SON, Satoshi MURAKI
    2024 年 60 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/12
    ジャーナル フリー

    Older adult consumers need easy access to packaging contents through their closure mechanisms. We propose design requirements to make a product more inclusive of older adult users by providing useful packaging design guidelines for easier usage by senior citizens. We examined packaging-versus-consumer interaction in opening procedures for 50 varied consumer products in the Japanese market. The experiment comprised observational analysis and objective and subjective assessments of 48 young and older adult users of both genders. Senior users preferred firm, compact, familiar, and light packaging with intuitive closure and an uncomplicated grip. These results may aid manufacturers in producing more universally friendly closure mechanisms.

  • -主観評価を用いて-
    秋元 美咲, 依田 光正
    2024 年 60 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/12
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,つえ歩行という歩行者側の条件が,歩行者系舗装材(舗装材)の評価に与える影響を検討すること,および歩行性の観点からつえ歩行において主観的に高く評価される舗装材に関する基礎的データを得ることであった.舗装材に対する主観的評価方法としてはSD法と選択法を用いた.36名の大学生および大学院生が,5種類の舗装材の印象を6対の形容詞対を用いて,つえ使用歩行の有無を想定して回答した.因子分析の結果,堅牢性,嗜好性および安定性の3因子を得た.SD法と選択法の結果から,つえ使用の有無という歩行者側の条件は,舗装材の印象に影響を与えていることが示唆された.SD法の因子の観点から,石材平板を除く,アスファルト,ILブロック,タイルおよびゴムチップが,つえ歩行時の舗装材として比較的高く評価された可能性が示された.選択法の結果からは,つえ使用時に歩きやすいと思うと選択した人数が多かった舗装材は,アスファルト,ゴムチップであった.

原著論文
  • 寺尾 京芽, 狩川 大輔, 高橋 信
    2024 年 60 巻 1 号 p. 22-34
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/12
    ジャーナル フリー

    作業手順の追加による統制の強化は,複雑な産業システムにおける主要な安全性向上策の一つとなってきた.その一方で,過度な手順化がオペレータによる状況に応じたレジリエントな行動の妨げとなり,かえってリスクを高めることにつながる可能性が近年指摘されている.本研究では,作業手順による統制がレジリエントな行動に及ぼす影響の実験的検証を目的として,火災の消火指揮をモデルとしたタスクを用いて,達成すべき目標に加えて,作業手順を遵守義務のない参考指針として示したリファレンス群と,目標を強調した上で詳細な作業手順を課したルール群の2群の実験参加者群のタスクパフォーマンスを比較した.その結果,目標と作業手順が矛盾する状況を含むシナリオにおいてレジリエントな行動をとった回数は,ルール群のほうが有意に少なく,かつパフォーマンスも有意に低いことが示された.また,インタビューからも,作業手順が適合しない状況に対する注意深い監視という面でリファレンス群の優位性を示唆する結果が得られた.

  • 南口 拓巳, 土井 幸輝, 西村 崇宏, 藤本 浩志
    2024 年 60 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/12
    ジャーナル フリー

    点字図書や点字教科書などの点字出版物で用いられる図やグラフには,凸点・凸線に加え,罫線等に凹点・凹線が用いられている.点字出版物で用いられる凸点や凸線といった凸刺激は様々な研究が行われ,JISなどの規格も存在する.しかし,凹点や凹線といった凹刺激の識別容易性に関する学術的な知見は少なく,識別し易い凹刺激に関する定量的な指針が求められている.その中でも,グラフに用いる凹線による罫線は,凹線を補助として使用する際に触察しやすい凹線と凸線の距離で設計され,製作する必要がある.そこで本研究では,点字出版物で多く用いられる凹刺激からなる罫線に着目し,凹線と凸線の間の距離が触読性に及ぼす影響を評価することにした.その結果,凹線と凸線の間の距離は,2 mmや3 mmのような狭い条件が識別しやすいことがわかった.一方,5 mmや6 mmといった広い条件では触察自体が困難であることがわかった.これらの知見は点字出版物の校正を行う際の一助となると考えられる.

  • 山中 仁寛, 大本 浩司, 平垣内 一子, 郡山 奈津子, 佐藤 亮太郎
    2024 年 60 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/12
    ジャーナル フリー

    先行研究では,ポジティブな感情状態において我々は周囲の広い範囲に注意を向けることができ,柔軟な思考や行動ができることが明らかとなっている.また,チョコレートには気分修飾効果があり,チョコレートを喫食することでポジティブな感情が生起することが示されている.これらの先行研究から考えると,チョコレートを喫食することで心理的にポジティブな効果が現れ,視覚的注意範囲である有効視野が拡大する可能性がある.そこで,本研究はチョコレート喫食と感情の変化,ならびにチョコレート喫食と有効視野の関係を明らかにすることを目的とする.実験では,スイーツ心理尺度による感情の評価,ならびに心理測定曲線を用いた有効視野の計測が実施された.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)好みのチョコレートを普段通りに喫食することで,心理的にポジティブな効果が現れることがわかった.(2)好みのチョコレートを普段通りに喫食することで,視覚的な注意の範囲を表す有効視野が拡大することがわかった.

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