人間工学
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エディトリアル
リサーチ・イシュー
  • -多様なドメインと研究トピックに着目して-
    青木 洋貴
    2024 年 60 巻 2 号 p. 60-65
    発行日: 2024/04/15
    公開日: 2024/04/24
    ジャーナル フリー

    人間工学アプローチの認知度向上を研究活動を通して実現していく方策について論じる.ターゲットとして企業を想定し,魅力ある研究とするために,多様な適用領域への展開と産学連携の有効性について考察する.特に方法論の開発を研究トピックとすることの有効性について焦点を当て論じる.同時にこれらの方策実施に当たって考慮すべき点についても論じる.

  • -現実から学び,人を活かす-
    狩川 大輔
    2024 年 60 巻 2 号 p. 66-70
    発行日: 2024/04/15
    公開日: 2024/04/24
    ジャーナル フリー

    航空・プラント・医療のような現代の複雑システムは,機械などの技術システムのみならず,その運用に携わる多数の人や組織などの社会システムとの密接な関わりのもとで運用されており,社会技術システムと呼ばれる.それゆえ,これらのシステムの一層の安全性向上のために,人間工学が担う役割は大きい.本稿では,近年提唱されたSafety-IIやレジリエンスエンジニアリングが主張する新たな安全の見方から得られる示唆に基づき,安全人間工学が今後より一層実践的かつ効果的な理論や方法論を構築していくための基礎として,ヒューマンエラーのような失敗面のみならず,日常の現場の現実(様々なトレードオフ,変化や相互作用,人間のポジティブな貢献など)を記述・理解するためのフレームワークの必要性について述べる.また,先行例としてNaturalistic Decision Makingをとりあげ,現場の現実や実践から学ぶことの意義とその課題について考察する.

  • 榎原 毅
    2024 年 60 巻 2 号 p. 71-74
    発行日: 2024/04/15
    公開日: 2024/04/24
    ジャーナル フリー

    作業関連筋骨格系障害(WMSDs, work-related musculoskeletal disorders)は,様々な職業において発生する.本リサーチ・イシューは医療労働,とりわけ内視鏡医療労働に焦点を当てる.内視鏡医療労働に関するWMSDsの動向ならびに人間工学対策やガイドラインの整備状況を俯瞰し,人間工学が取り組むべき3つのリサーチ・イシューとしてまとめた:1)内視鏡医療労働に関するWMSDsの適切な把握,2)根拠に基づく人間工学対策の知見の蓄積,3)多様なステークホルダへの対応.それらを推進するためには,各ステークホルダとのパートナーシップを形成し,産学官民協同により展開を図る必要がある.

  • -ピクトグラムの活用は有効か?-
    松田 文子
    2024 年 60 巻 2 号 p. 75-78
    発行日: 2024/04/15
    公開日: 2024/04/24
    ジャーナル フリー

    標識・案内表示におけるピクトグラムの有用性はよく知られている.これらを幼児向けの安全対策に活用できる可能性について検討した.幼稚園・保育園等における手作り文化との融合を考え,ピクトグラムのデザインを,就労現場の幼稚園教諭・保育士自身が容易にアレンジできるようなツールを作ることができれば,幼児が状況に応じて安全状態について知ることができ,幼稚園・保育園等での事故防止につながる可能性がある.ひいては幼児期から危険感受性を高めることで将来の労働災害や不慮の事故の防止に寄与できると考える.

  • 笠松 慶子
    2024 年 60 巻 2 号 p. 79-82
    発行日: 2024/04/15
    公開日: 2024/04/24
    ジャーナル フリー

    人間工学では,人・モノ・サービス・環境・システム(人工物)の関係を身体的,心理的,環境的,社会的要因から総合的に考慮してきた.この蓄積を活かして,エンパワメントするための人間工学におけるエコシステム(相互に連携し循環するシステム)をリサーチイシューとして提案する.エンパワメントするための人間工学として,個人からコミュニティ,社会までを対象とし,それら自身が持っている力を最大限に引き出し,よりよい生活の品質を実現できる人工物を提供するために何ができるかについて議論したい.

  • 庄司 直人
    2024 年 60 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2024/04/15
    公開日: 2024/04/24
    ジャーナル フリー

    本稿では,科学と実践の相補的実行を特徴の一つとするユニークな学問である人間工学において,社会実装や社会課題解決に向けたプロセスを,人々に大きな変化を受け入れさせ,人々のみならず組織や社会を適応させていくアダプティブ・リーダーシップのプロセスそのものとして捉えるという新たな視点を示した.社会課題解決のプロセスを丁寧に記述するリーダーシップの事例的研究が必要であることを主張した.人間工学は社会課題の解決を目指し,科学と実践の相補的実行を志向する特徴を持つが,社会課題の解決を果たすことは,重大な課題が解決され新たな生活様式へと移行した新しい未来を実現することであることを示した.その上で,未来をつくる過程でどのようにステークホルダー間の機微を乗り越えたのかを記述することが必要であることを述べた.また,社会課題解決のプロセスに着目した人間工学的なリーダーシップを再定義することができれば,アカデミアと実務家の接続を容易にし,科学と実践の相補的実行をさらに拡大することができることを論じた.

  • -基礎的だが取り残されがちな新しい産業人間工学課題-
    小川 有希子, 中谷 淳子, 榎原 毅
    2024 年 60 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 2024/04/15
    公開日: 2024/04/24
    ジャーナル フリー

    多様性が求められる時代だが,「きき手」「きき足」といった「きき」に関する研究は体系的に整理されているとはいえない.本リサーチ・イシューでは,業務上負傷に作業者の「きき」が関与するのかを明らかにするために必要と思われるリサーチ・イシューをまとめた.まず,生物学的,社会文化的な面から「きき」の歴史的な研究動向を俯瞰した.そして,基礎的だが取り残されがちな新しい産業人間工学上の課題として,1)労働災害統計分析および実態把握への応用,2)道具・機械と「きき」との相互作用が安全性に与える影響の解明,3)ワークステーション設計と「きき」との相互作用の解明,4)「きき」による業務上負傷のリスク推定,5)「きき」による業務上疾病の人間工学リスク対策の確立,の5つのイシューをまとめた.

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