物理療法科学
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早期公開論文
早期公開論文の11件中1~11を表示しています
  • 奥山 航平
    論文ID: 2025-009
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/22
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    昨今,広義には人工知能(Artificial Intelligence:AI)ともいわれる深層学習や機械学習を活用した技術があらゆる領域で注目されている.リハビリテーション医学領域においても,多量なデータからAI を活用して特定の法則を導き出し,実臨床に活かしていこうとするデータ駆動型臨床実践の実現が期待される.そのために重要となるのが,定量的なデータを低コストで集積することができる簡易的な身体動作のセンシング技術である.本稿では,その技術としてワイヤレス筋電計,Inertial Measurement Unit センサ,深層学習による姿勢推定について取り上げ,実臨床の中での活用事例を交えて紹介する.

  • 永宗 直隆, 上原 翔真, 金井 秀作, 岡村 和典
    論文ID: 2024-016
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/20
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,足部内在筋の機能強化が扁平足症例の足部アライメントに及ぼす影響を検証した.扁平足症例16 名を対象とし,血流制限下で足部内在筋に対する神経筋電気刺激を週に3 回の頻度で8 週間実施した.8 週間の前後で足趾把持力,母趾外転筋の筋断面積,座位および立位でのArch Height Index,歩行立脚期における足部内側縦アーチ高の動態をそれぞれ測定し,統計学的に比較した.8 週間後の測定において,足趾把持力と母趾外転筋の筋断面積が有意に増加し,歩行立脚期に内側縦アーチ高が最小値に達するまでのタイミングが有意に短縮したことを確認できた.一方,座位および立位でのArch Height Index に統計学的な変化は確認できなかった.本研究の結果から,血流制限下神経筋電気刺激を用いた足部内在筋の機能強化は,扁平足症例の歩行立脚期における足部運動を変化させる可能性が示唆された.

  • 都志 宣裕, 行田 智哉
    論文ID: 2025-003
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/20
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    活発に研究がされてきた技術の一つに経頭蓋電気刺激法(tES)がある.非侵襲的な電気刺激により興奮性および抑制性の神経活動の調整を図るtES は精神活動,認知機能,運動機能等の幅広い分野において効果が報告されている.一方で,tES は,効果の個人差が大きいことが課題としてある.特に発症部位の個人差が大きい脳卒中後に刺激を行うために,刺激条件の個別化が必要となる.本稿では,世界におけるtES 技術に関する実用例や応用例について紹介するとともに,我々が失語症を対象として行っている個人化研究を例に,社会実装に向けたtES 研究を詳述する.また,近年は臨床にアプリケーション(アプリ)を用いた取り組みも注目されている.リハビリテーション分野で使用されるアプリには,患者自身がトレーニングや学習として利用できる自主トレーニング用アプリと,医療者が評価や治療を行う際に補助的に利用できる医療者用のアプリに大別される.本稿では,我々が失語症を対象として取り組んでいる自主トレーニング用アプリおよび医療者用アプリを例に,アプリを用いたリハビリテーション分野への応用の可能性について紹介する.

  • 李 佐知子, 佐光 幸叶, 花﨑 拓人
    論文ID: 2025-004
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/04/28
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    痙縮は中枢神経傷害により生じ,伸張反射の亢進を呈し,意図しない筋収縮や筋トーヌスの亢進により日常生活動作が困難になる.さらに,過剰な筋収縮により筋線維の短縮・筋の硬化・関節拘縮・疼痛などの運動器障害を呈する.その痙縮の原因については,脊髄抑制性機能の低下や脊髄運動神経細胞の興奮性の高まり, Ia 線維軸索 - 運動神経細胞間の接続数の増加,上位中枢からの下降路の可塑的変化などにより,中枢神経損傷後に生じる『不適応な変化(Maladaptive plasticity)』によるとされているが,未だ詳細は不明な点が多い.近年,痙縮に対して早期発見し,早期介入することで重症化や関節拘縮や筋の硬化などの二次障害の予防が必要とする専門家もいる.本稿では,近年までの痙縮病態の報告をまとめ,早期介入の可能性および,物理療法手法を用いた介入の可能性や想定される治療的仮説について述べる.

  • 森 健次郎, 中野 治郎
    論文ID: 2024-015
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/04/16
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究は,学生の物理療法に対する認識および関心を明らかにするため,質問紙調査と自由記述形式のアンケート回答をテキストマイニングで分析を行った.対象は,専門学校と大学の理学療法学科に所属する126 名の学生であった.質問紙調査とテキストマイニング分析の結果,学生の多くが物理療法を重要と認識し,痛みの管理や機能回復における効果を理解している一方で,禁忌や治療機器の操作,適応基準に関しては十分な理解が得られていない点が明らかになった.「禁忌」の理解度には個人差があり,十分に理解している層と不十分な層が存在する可能性が示唆された.特に,理解不足が不安や苦手意識につながることが考えられるため,基礎知識を整理し,メカニズムを理解する学習を促進することが重要である.

  • 芝田 純也
    論文ID: 2025-002
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/04/11
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    経頭蓋静磁場刺激(tSMS)は強力な小型のネオジム磁石を頭皮上に留置し,磁石直下の脳皮質の機能を抑制する非侵襲的脳刺激法である.従来の非侵襲的脳刺激法である,反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)や経頭蓋電気刺激と異なり,けいれん発作の誘発や皮膚火傷のリスクはない.また,刺激装置は磁石のみのため安価であり,刺激を行うにあたり特別な手技は必要とせず簡便である.磁石からの距離が大きくなると,静磁場の強さは急激に減衰するため,tSMS の直接的な効果は磁石直下の脳皮質に限定される.しかし,tSMS は磁石から離れた部位の脳領域の機能も脳内ネットワークを介して変化させることができる.我々はこの遠隔効果を利用してtSMS を脳卒中リハビリテーションに応用し,脳卒中患者の巧緻運動障害を改善させることに成功した.近年は新たなデバイス開発も進んでいる.我々が開発したシン磁場刺激装置はネオジム磁石を3 個組み合わせることで体表からより深い領域にまで,神経調節に必要な強度の磁場を形成することができる.シン磁場刺激装置によりtSMS の応用範囲が飛躍的に拡大すると考えられる.

  • 森 健次郎, 安孫子 幸子, 阿部 勉, 中野 治郎
    論文ID: 2024-014
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/13
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】訪問リハビリテーションにおける物理療法の使用状況をアンケートにて調査した.【方法】アンケート調査は,訪問リハビリテーションに従事する理学療法士を対象に無記名による自己記入式のインターネット調査にて実施した.【結果】回答数は63名であり,半数以上が物理療法を使用しておらず,その要因は機器の保有状況や職場内教育であった.一方,使用する者は温熱療法や電気刺激療法を特に使用しており,疼痛緩和目的が最も多かった.【考察】訪問リハビリテーションにおいては痛みに対する温熱療法や電気刺激療法が多く行われており,また,使用していない理学療法士は物理療法に対して否定的というわけではないことが明らかとなった.

  • 渡 哲郎, 加賀谷 斉, 前田 寛文, 木曽 昭史
    論文ID: 2024-011
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/11/19
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    我々は,永久磁石を回転させ磁束密度を変化させて誘導電流を発生させる小型の末梢磁気刺激「Spinning permanent magnet:SPM」を開発した.SPM装置の刺激強度は感覚閾値未満である.パルス変動磁場による運動閾値以上の末梢磁気刺激は上行性入力を介して皮質脊髄路興奮性変調効果が報告されている.しかし,SPM装置が発する末梢磁気刺激が皮質脊髄路興奮性を変調させるかは不明である.本研究は,SPM装置で右前腕橈側手根伸筋を刺激し,支配領域の皮質脊髄路興奮性変調効果を検証した.方法は健常成人10名を対象に,SPM装置を用いた実刺激と装置を模した偽刺激の二条件を行い,皮質脊髄路興奮性の指標となる運動誘発電位(Motor evoked potential : MEP)を測定した.MEPの測定時期は,刺激介入前,直後,10分後,20分後とし,MEPの変化を検証した.結果,各測定時期および両刺激条件間でMEPの変化は認めなかった.SPMによる磁気刺激によって,皮質脊髄路の変調を認めなかった原因は,SPM刺激は従来の磁気刺激と比べて刺激強度が低いことや,刺激範囲が局所的であることが考えられる.しかし,本研究のサンプルサイズでは,皮質脊髄路興奮性を変調させる可能性について明確な結論を導くことは難しく,さらなる検証が必要である.

  • 中村 謙介, 小久保 雄太, 荒井 沙織, 兎澤 良輔
    論文ID: 2024-013
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/10/25
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】肩関節周囲炎拘縮期患者を対象に拡散型圧力波(RPW)を複数回照射した際の経時的変化について報告することを目的とした.【対象と方法】対象は,平均年齢62.6歳の肩関節周囲炎拘縮期患者でRPWを施行した8例8肩である.照射条件は,3.0〜4.0 bar,10 Hz,2,000発照射した.照射間隔は原則1週間に1度とし計8回照射した.評価はRPW照射前(初回評価),4回照射終了後の翌週(中間評価),8回照射終了後の翌週(最終評価)に行った.評価項目は,肩関節関節可動域(ROM),疼痛評価(VAS)とした.【結果】ROMの変化は(初回評価,中間評価,最終評価),屈曲115.0°,132.5°,137.5°,外転100.0°,130.0°,160.0°と改善を認めた.VASは48.0 mm,17.0 mm,17.0 mmと改善を認めた.【考察】RPWを複数回照射することでROMとVASの数値が経時的に改善することが認められた.要因として筋間の滑走性改善,自由神経終末の変性と再生抑制効果による可能性が考えられる.【結論】肩関節周囲炎拘縮期症例に対してRPWを複数回照射することでROM,VASの改善を認めた.

  • ─ランダム化比較試験─
    中村 潤二, 新山 実優, 内沢 秀和, 井川 祐樹, 藤田 大輝, 生野 公貴, 庄本 康治
    論文ID: 2024-012
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/10/25
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】近年,痙縮への拡散型体外圧力波療法(Radial extracorporeal shockwave therapy: rESWT)の効果が報告されている.しかし,刺激強度が痙縮の関連要因に及ぼす影響は明らかではない.本研究は,健常者への異なる強度のrESWTが,痙縮の関連要因である末梢組織の柔軟性や脊髄運動ニューロン興奮性に与える影響を調査した.【方法】健常者21名を高強度群,低強度群,sham群に割り付けた.評価項目は,末梢組織の柔軟性の評価として腓腹筋の筋腱移行部の移動距離を,脊髄運動ニューロン興奮性の評価としてヒラメ筋 H 反射を選択し,刺激前後で測定した.【結果】筋腱移行部移動距離は高強度群において,刺激後に有意に増加した.ヒラメ筋H反射に有意な変化はみられなかった.【結論】rESWTによる末梢組織の柔軟性増加には,高強度の刺激が適切となる可能性がある.

  • 松原 貴哉, 豊栄 峻, 宮良 広大, 保坂 結衣, 大池 涼, 井上 靖章
    論文ID: 2024-003
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/08/09
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    右一次運動野のHand knob領域に急性期脳梗塞を生じ,左手指に限局した運動麻痺を呈した症例の治療を経験した.リハビリテーションには,持続的神経筋電気刺激下の促通反復療法を1週間実施した.介入前後での上肢機能評価,上肢使用頻度は退院1ヶ月後でのフォローアップ評価も行った.結果として,Fugl-Meyer assessment上肢運動項目は56から59点,Action research arm testは24から32点,Box and block testは17から27個,Motor activity log のAmount of use は0.62から1.32,退院1ヶ月後4.00点,Quality of movement は0.62から1.50,退院1ヶ月後3.90点と変化が得られた.持続的神経筋電気刺激下の促通反復療法は急性期の手指に限局した運動麻痺に対して実施可能であり,物品操作能力と上肢使用頻度改善の可能性が示唆された.

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