教育カウンセリング研究
Online ISSN : 2433-751X
Print ISSN : 2185-4467
最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 深沢 和彦, 河村 茂雄
    2021 年 11 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/26
    ジャーナル フリー
    本研究は,小学校通常学級において,インクルーシブな学級(「通常学級において学級状態が良好であり,且つ,発達障害やその疑いのある児童の学級適応も良好な学級」と定義)を構築する教師の指導行動を明らかにすることを目的とした。インクルーシブな学級を構築している担任教師3名に対して継続的な聞き取り調査を行い,得られた指導行動項目についてKJ法を用いて分類・整理した結果,インクルーシブな学級を構築する担任教師の指導行動(以降,インクルーシブ指導行動と記す)は,(1)アセスメント機能,(2)メインテナンス機能,(3)パフォーマンス機能,(4)アドボカシー機能,(5)リクエスト機能の5つの機能に分類された。そして,インクルーシブ指導行動の特徴的且つ中心的な機能として,特別支援対象児と学級集団をつなぐ代弁者,通訳としての役割(アドボカシー機能)があることを明らかにした。
  • 煙山 千尋, 小川 千里
    2021 年 11 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,大学生アスリートの家族・家族的関係にある者への心理的依存尺度を作成し,スポーツ推薦入学経験の有無による依存性得点の違いを検討することであった。調査は,4年制体育系大学に所属する大学生アスリート311名(男性=202,女性=108,不明=1,平均年齢=19.59,SD=0.76)に対して実施され,対象者の属性,大学生アスリート版依存性測定尺度の原案,依存性についての測定尺度について回答を求めた。分析の結果,信頼性と妥当性のある4因子28項目の大学生アスリート版家族ら関係依存性測定尺度が開発された。また,スポーツ推薦群が一般学生群と比較して全ての依存性得点が有意に高い結果が認められた。これらの結果から,トップ・アスリートにおいて,選手と親や指導者との根深い依存関係が維持され,自立が先送りにされている可能性が高い。そのため,親や指導者との関係を再構築し,アスリートの主体性を育む支援が必須であると考えられる。
  • 小西 一博
    2021 年 11 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,小学校において全校合唱への参加を拒む対象児に対し,継時近接法を適用し,行動の変容について検討することを目的とした。継時近接法の導入においては,教師に促されずに一人でステージまで移動し,正しい位置に立って大きな声で歌うことを最終目標行動とし,13段階の下位目標行動を設定して実施した。結果として,対象児は各下位目標を順次達成することで徐々に自信をもつようになり,対象児にとって不安の高い全校合唱場面に適応することができた。このことから,本研究で用いた介入は,目標行動を達成する上で適した手立てであったといえる。また,本研究の継時近接法が適切であった理由として,①対象児の実態に合わせて行われたこと,②支援者である教師が温かい眼差しで対象児にかかわったことが挙げられた。本研究によって,学校教育現場において学校行事に参加できない他の児童に対しても継時近接法が十分に機能する可能性が示唆された。
  • 古角 好美
    2021 年 11 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,学校保健論を選択した学生を対象に,「LTD学習」を行い,全授業実践後の振り返りによる自由記述内容をディスカッション・スキル運用能力の高低で群別した集団毎への質的分析から,学生にどのような影響を及ぼしたかを明らかにすることであった。分析方法は,分析対象者の自由記述内容のうち,LTD学習が学生に及ぼした影響になることを留意しながら手順通りに抽出した。その際,ディスカッション・スキル尺度の下位尺度「場の進行と対処」「積極的関与と自己主張」「他者への配慮と理解」「雰囲気作り」をカテゴリーとして用い,それらの得点の中央値を基準に高群と低群に群分けし,各々の集団毎に集約されたデータを質的分析した。その結果,各下位尺度の高低群毎に,視野の広がりや幅広く理解できたこと及び自己成長等への肯定的な変化と,種々の学びに関するサブカテゴリーやコードから大学生に及ぼした影響を確認することができた。
  • 藤井 謙介
    2021 年 11 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,近年,在籍者が増加している知的障害特別支援学校高等部に不本意入学した生徒に対してピア・サポート活動を実施し,その成果と課題を明らかにすることを目的とした。対象生徒は,入学当初から特別支援学校への否定的な言動が目立ち,そこに在籍する自分に対する自己肯定感も低かった。しかし,ピア・サポート活動を継続していく中で,しだいに集団への帰属意識や他者信頼感,自己有用感に変化が生まれ,自分の長所を活かした進路選択を行うことができた。現在は,通常教育の枠組みの中で実施されることの多いピア・サポート活動であるが,今後,特別支援教育の分野でも積極的に取り組むべき活動だと考える。
  • 遠藤 勇汰, 高橋 幾, 河村 茂雄
    2021 年 11 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル フリー
    我が国では,インクルーシブ教育を実現することが求められている。そこで,特別支援対象児の在籍する学級におけるリレーション形成を促す手立てを考察するため,介入者と学級担任との間で共有された学級状態のアセスメントに基づいて構成されたSGEを実施した。対象は攻撃的な行動を表出する特別支援対象児が在籍する通常学級の小学3年生であった。その結果,学級全体の学級満足度尺度の承認得点が高くなり,被侵害得点が低くなった。また,学校生活意欲尺度の友人との関係,学級の雰囲気得点が高くなった。このことから,介入者と学級担任との間で共有された学級状態のアセスメントに基づいて構成されたSGEを実施する取り組みが特別支援対象児の在籍する学級全体のリレーション形成を促すことが示唆された。
  • 藤田 道子
    2021 年 11 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル フリー
    2020年度の学校教育は,新型コロナウィルス感染症による三密回避の影響を受け,教育カウンセリング の柱の一つである構成的グループエンカウンターをはじめ,ペア会話,グループワークも実施できない状 況に追い込まれた。特に,特別支援学級の児童に対し,どのように新しい生活様式を学ばせるのかが重要 な課題になった。一方で,三密を避けながらの,『主体的で対話的な深い学び』の実現,不安感を持たずに 登校できる学級並びに学習環境の調整も必要であった。そこで,二つの教育実践を行った。一つは,級友 との話題の共有化を図る。もう一つは,保護者との連携を図りながら,新聞の電子版を利用して新型コロ ナウィルスに関する新しい情報について学び,級友と相互に意見交流する授業を構想し,実践する。この 二つを約三カ月かけて実践した結果,個としての知的好奇心の伸長,親和的な学級の雰囲気など,仲間意 識の成長が見られた。
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